顧客との関係強化

顧客との関係強化で必要な9つの行動とは?

顧客との関係強化
顧客との関係(リレーションシップ)はナーチャリングに応じて施策を練る

はじめに

ネット技術の普及により情報収集が容易になった現在、顧客は多様な選択肢の中からその商品やサービスを選んで購入しています。場合によっては、顧客のほうが営業担当よりも豊富な知識を持っているケースもあるでしょう。そんな中、自社の商品が選ばれるためには、顧客との関係(リレーションシップ)構築が不可欠です。今回はそんな顧客との関係構築について解説します。

リレーションシップとは

リレーションシップとは、その名の通り顧客との関係性を示す言葉です。企業と顧客の関係は、従来では「売り買い」の関係でした。しかし、2017年にアメリカで提唱された「リレーションシップ営業」にもあるように、売って終わりの関係づくりでは商品がもはや売れません。企業は、顧客の人生に長期的に関わるパートナーであり、顧客が抱えている課題に対する解決策を提示することが求められます。自社都合で売り込むことは決してなく、顧客の声に耳を傾けて提案するスタイルです。そうして、双方がWin-Winになる形で最終的には自社利益を最大化していくのがリレーションシップの目的といえます。

リレーションシップ・マーケティングとは

顧客との良好なリレーションシップを戦略的に築き、結果として商品やサービスの成約率を向上させる手法をリレーションシップ・マーケティングといいます。この手法の土台となった考え方が「パレートの法則」です。別名「80:20の法則」と呼ばれており、上位20%の優良顧客の購入分が会社全体の売上の80%を占める傾向を示しています。リレーションシップ・マーケティングの役割は優良顧客を育て、会社の売上を拡大させることとも言いかえられます。一時的な売上よりも顧客満足度を高めることを優先し、継続的な取引を大切にします。また、顧客ごとに意見や要望を吸い上げて、それぞれの満足度を高めるように努めるのが基本です。

カスタマー・リレーションシップ・マネジメントとは

顧客とのリレーションシップは、戦略的に構築していくべきもの。そのために用いられる各種施策をCRM(Customer Relationship Management)システムと呼びます。システム(ツール)を使う場合もそうでない場合も、CRMに必要なのは次の4点です。

  • 顧客の話をしっかりとヒアリングする
  • 顧客のプロフィールを詳細まで把握する
  • 成約を焦らず、長期視点を持つ
  • 具体的な課題解決案を提示する
  • 顧客との会話はファクトを重視する
  • 顧客の日常現場を把握する
  •  

さらに抽象度を上げるのであれば、「顧客を知り、顧客にあった提案を、適切なタイミングで行うこと」がCRMの本質といえるでしょう。より具体的な方法については、後のパートでくわしく説明します。

顧客とのリレーションを強化する方法とは

顧客とのリレーションを強化するためには、まず顧客への理解を深めるところから始まります。そのため、以下の項目は特に重視したいポイントです。

  • 顧客の話に耳を傾ける
  • 顧客の立場を理解する
  • 顧客に解決策を提示する
  • 顧客の理念や価値観を共有する
  • 顧客との会話はファクトを重視する
  • 顧客とは定期的に連絡する
  • 顧客が喜ぶことをする
  • サービスに対するヒアリングをする
  • 顧客とは1人対1人の立場で振る舞う

それぞれくわしく見ていきましょう。

顧客の話に耳を傾ける

顧客とリレーションを築くためには、何より顧客の話をしっかりと聞きましょう。成果が出ない営業にありがちな例として、自社商品のアピールばかりを一方的に話してしまう失敗がよく見られます。そういったケースで顧客の視点に立ってみると、自分の都合を考えずに売り込まれているように感じられるはずです。仮に押し負けて商品を購入したとしても、なかなか次の購入にはつながらないでしょう。

まず顧客の話を引き出し、適度に相づちを打ちながら、ひたすら聞くこと。そうすれば、顧客に関するさまざまな情報や根本的な悩みが見えてきます。仮に自社の製品がそのお悩みを解決できない場合でも、解決できる商品やサービスとつなぎ合わせをすれば、長期的な信頼を勝ち取り、次の取引チャンスが生まれます。

顧客の立場を理解する

顧客が置かれている立場を理解できれば、効果的なアプローチ法を絞り込みやすくなります。例えば、今後マーケティングに注力したい営業の方なら以下の質問に対する答えをリサーチしておく必要があります。

  • 顧客が現在解決したいと思っている課題は何か
  • 相手の現時点での予算感は?
  • これから予算感は増える見込みなのか、減る見込みなのか
  • 法人であれば従業員数や売上規模、決算月
  • 顧客が意識している競合他社の商品・サービス
  • 顧客が重視している価値基準(例:クオリティ、速度、アフターケアなど)

上記はほんの一例で、他にもまだまだ顧客について調べておくべき事項はたくさんあります。やりとりをしている相手が担当者レベルなのか、決裁者レベルなのかによっても、アプローチの内容が変わるでしょう。

相手の立場を知る方法としては、特に取引が始まる前段階であれば、ネットを駆使したリサーチが有効です。ホームページやSNSなどをチェックすると、ある程度の情報を知ることができます。

顧客に解決策を提示する

顧客は何のために、商品やサービスを購入するのでしょうか? 何かしらのインサイトやニーズに基づく、課題解決を目的としていることは明らかです。したがった、単に商品を売るのではなく、その先にある「課題が解決された未来」を示すことができれば、販売につながると同時に、顧客からの信頼を得られます。販売後のアフターフォローで、課題がきちんと解決されているかを確認し、必要に応じて追加サービスを提供するのも有効です。

その領域のプロであると顧客から認識されれば、他の商品やサービスも今後自然と売れやすくなり、大きな利益へとつながります。顧客の課題を知るためには、先述した「顧客の話を聞く」こと、そして「顧客の立場を理解する」ことが重要です。

顧客の理念や価値観を共有する

対法人の場合は、相手企業の理念や価値観もぜひ確認しておきましょう。ホームページに明確に記載されている内容以外にも、たわいないやり取りから情報が得られることがあります。たとえば「社内の必読書は何か」「社長の口ぐせは何か」といった質問からも、会社全体の理念や価値観を知ることができるでしょう。遊び心を好む会社とスタンダードなやり方を好む会社とでは、仮に似たような課題内容であったとしても好まれる提案内容は異なります。相手の理念や価値観を調べる過程で、課題の本質を発見できるケースも珍しくありません。また自社と価値観が近い企業であれば、互いに共感を生み出しやすく、双方がWin-Winの強固な信頼関係を結びやすいというメリットもあります。

顧客との会話はファクトを重視する

顧客との会話では、相手の感情を察しつつも、課題の本質に関係する部分は明確なファクトを提示し、言葉を濁さないのがポイントです。もちろん礼儀作法や言葉遣いは重要ですが、それ以上に相手が求めているのは「その提案が本当に課題を解決できるのか」の問いに対する答えです。根拠の提案となる事実を、明らかな数値やデータとともに示すことで、顧客はその提案に安心感を得られます。

ただし、知ったかぶりをするのは避けましょう。自社の提案が顧客のニーズと合わなくなりますし、仮に知ったかぶりで商品を販売できたとしても見透かされた途端に信頼関係が破綻する可能性があります。事前リサーチを徹底した上で、それでも分からないことは素直に顧客から「教えていただく」姿勢をとりましょう。

顧客の日常現場を把握する

顧客と関係を深めるためには、必要に応じて相手先の職場を訪問したり、現場のスタッフから話を伺ったりする方法も有効です。相手の日常を知ることで、より顧客の立場に寄り添った提案が可能です。相手先のトップと現場との間に距離感がある場合は、課題の本質をつかむためにも必要なプロセスでしょう。

もちろん現場に訪問するためには、その前段階である程度の信頼を得ておく必要があります。社外の人間を現場に迎えるのは、顧客にとってコストだからです。この手法をとる際には、相手への配慮を忘れずに、多忙な時期や時間帯を避けてアポを取りましょう。どうしても現場を訪問しにくい場合、現場スタッフに電話取材などを試みてもよいでしょう。

顧客とは定期的に連絡する

顧客との関係を保つためには、コミュニケーションを密にする必要があります。相手への気遣いから連絡をためらうケースも珍しくありませんが、基本的にはこまめな報告はいくら行ってもやり過ぎにはなりません。報告がない状態だと、顧客は進捗状況を何一つ把握できず、不安になってしまいます。何かアクションを起こしたときや、進展があったとき、そして不明点や疑問点が少しでも生じたときは何かしらの手段で連絡を取りましょう。相手が多忙な場合は、緊急以外はメールかチャットでの連絡が喜ばれます。

また疎遠になっている顧客に対しては、時候のあいさつなどを活用して、定期的に連絡をとることをおすすめします。そうして取引が途絶えた顧客ともやりとりをしているうちに、突然取引再開につながることも多々あります。

顧客が喜ぶことをする

人間心理として、当然喜ぶことをしてくれる相手のことを好きになるものです。つまり、顧客とのリレーションシップを強化するためには、相手が喜ぶことを知り、そして実践すればよいといえます。

たとえば、相手が急ぎの仕事を頼んできた場合、多少厳しい納期であってもその要望に応えられれば先方は喜ぶでしょう。また、ちょっとした気遣いやアフターフォローも付加価値として使えます。

相手の悩みを先読みして動き、相手の想定を上回る結果を出せば、一つ一つは小さな積み重ねであっても大きな信頼へとつながっていきます。短期的には自社利益にならないケースや、場合によっては赤字になるケースもあるでしょう。先行投資の要素が強いため、コスト対リターンの見極めは必要です。

サービスに対してヒアリングを行う

お客様が商品を購入した段階で、多くの場合、企業側の売上が発生します。この段階で企業側からすれば「終わった」感覚になりがちですが、顧客からすれば、購入後のプロセスや結果の方が重要なことがほとんどです。

そのため購入後のアフターフォローや効果のヒアリングをどれだけ丁寧に行うかによって、顧客とのリレーションシップに大きな影響が生じます。

顧客が商品を購入した後、たとえば1カ月後や3カ月後にヒアリングのメールを送る仕組みを導入するだけで、顧客の印象が変わります。場合によっては、商品に対する改善提案を伺えるケースもあるでしょう。そういった声を拾い上げていけば、次のビジネスチャンスや新商品開発に活かすことができます。

顧客とは1人対1人の立場で振る舞う

一企業につき、当然ながら取引先は1社ではありません。B to Cであれば、無数の顧客に対して商品をセールスし、購入頂いているはずです。しかし、顧客をマスで捉えてしまうと、「人対人」の意識が弱くなり、相手に対する気遣いが不足しやすくなります。

大切なのは、相手と「人同士」の関係を意識したリレーションシップを構築することです。たとえば、「最近は寒いですが、いかがお過ごしですか?」といった人柄が見えるメッセージや、相手の居住地に合わせた話題の提供など、やり取りの中にほんの少し個性を入れ込むだけでコミュニケーションが円滑になります。そうすると、“あなた”に親しみを感じた顧客はより多くの情報を教えてくれるのです。

まとめ

顧客とのリレーションシップに関するポイントを以下の3点にまとめました。顧客との関係性を良好にしておくと、短期的には利益が少なくなっても、将来的に優良顧客が増え、大きな利益拡大につながる。

  • カスタマー・リレーションシップ・マーケティング(CRM)に重要なのは、「顧客を知り、顧客にあった提案を、適切なタイミングで行うこと」である。
  • 顧客から直接話を聞くほか、SNSやホームページ上の情報をフルに使って、多角的にデータを集め、顧客の状況を把握しながらこまめに連絡を取ると、顧客との関係は改善する。

今後営業方法を改善していきたい方は、ぜひ今回の記事の要点をふまえて、自社の顧客との関係構築法を改善してみてください。

原稿は「顧客を増やす方程式」に掲載しています。サイトではファンマーケティングBtoBマーケティング新規顧客の獲得差別化などの記事をラインナップしています。

>サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

「この価格で本当にオウンドメディができるんですか?」「サブ丸は安価ですね。コンサルが入るのと比較できませんが、一般的な費用の1/4ぐらいじゃないですか」このサービスをローンチする前に相談したマーケティング&コンサルタント会社の担当者から聞いた言葉です。サブ丸はサービス内容と比較して安価かもしれませんが「私たちは値段を売っているのではない。サービスを提供しているのだ」と信念を持って取り組んでいます。

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