既存顧客へのアプローチに有効的なリテンション営業とは

既存顧客へのアプローチに有効的なリテンション営業とは

既存顧客へのアプローチに有効的なリテンション営業とは
既存顧客には継続的なアプローチが必要だ

はじめに

新規顧客獲得にかかるコストは既存顧客の維持にかかるコストの5倍といわれています。企業が効率よく収益を上げるためには、既存顧客へのアプローチの優先度は高く、そのためのリテンション営業は欠かせません。今回はリテンション営業の既存顧客へのアプローチや既存顧客を維持するためのマーケティング手法などをご紹介します。

リテンション営業のポイントとは

リテンション営業とは、既存顧客にアプローチをかけて、良好な関係を維持するための手法です。リテンション営業の質が高いと、その分だけリピート率が上がり、企業の収益の安定と向上が見込めます。既存顧客のリピート率を上げるには、次のようなポイントを押さえておきましょう。

  • 丁寧な対応とサポートを継続する
  • メールやDMで情報を伝える
  • 優良顧客限定のキャンペーンを開催する

既存顧客と接するときは、営業時だけではなく、成約後にも丁寧な対応とサポートを継続することが大切です。また、メールやDMで商品やサービスに関係する時事ネタやお役立ち情報を伝えましょう。さらに購買意欲を高めるために、特別なキャンペーンや限定イベントの開催も有効です。これらのポイントを押さえて営業活動することで、既存顧客と強い信頼関係を築くことができます。

既存顧客へのアプローチ方法とは

リテンション営業におけるポイントを理解いただいたところで、次に既存顧客へどのようにアプローチすれば効果的な成果が出るのかを検討しましょう。代表的なアプローチ方法や手法をピックアップしてご紹介します。

優先順位を決めてアプローチ

顧客や見込み客へアプローチするときは、優先順位を決めてアプローチするのが効果的です。その優先順位は下記のとおりです。

  1. 既存顧客の深堀
  2. 休眠顧客の掘り起こし
  3. 新規顧客の獲得

この順位を決める基準となるのが「1:5の法則」と「5:25の法則」です。

一般的に新規顧客に販売するコストは既存顧客へ販売するコストの5倍かかるといわれています。この法則を「1:5の法則」といいます。また、顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善されるという法則もあります。これが「5:25の法則」です。双方の法則から新規顧客や休眠顧客へのアプローチより現在、利用してくれている既存顧客へ優先的にアプローチすることで、利益改善につながるといえます。

販売方法を工夫する アップセル、クロスセル

リテンション営業において、既存顧客に対しての施策として、アップセルやクロスセルがあります。アップセルとは、既存顧客に対し、いつも購入している商品やサービスより上位のものを勧める営業手法です。そして、クロスセルは既に購入してもらった商品の関連商品や別のサービスを勧める手法です。これらの営業手法をもちいることで、顧客単価向上や購買頻度向上がみこめます。アップセルやクロスセルを成功させるために重要なのは、顧客の視点に立って提案を行うことです。顧客ロイヤルティを高めることを意識し、蓄積した顧客データの分析を参考に、顧客一人ひとりにあった提案をすることが成功のカギとなります。

既存顧客の掘り起こし方

それでは、具体的にアップセルやクロスセルをする場合、どのような手順で進めれば良いかをご紹介します。

  • データを整理してランク分けする
  • 継続的に人的なアプローチする仕組みを作る
  • リテンションマーケティングの実施

まず、自社の蓄積している顧客に関する情報を整理し、顧客をランク分けします。取引額や今後の売上の拡大見込に応じて整理し、ランクが高い顧客からアプローチします。そしてCRMを生かしてアプローチした履歴はきちんと記録し、継続的にアプローチできる仕組みを構築します。またMAツールを使い、オンラインでのアプローチもおこないます。メルマガやキャンペーンの案内を定期的に行うことで顧客の離反を防ぎます。

アプローチに使える心理学

ビジネススキルとして、心理学を身につけることは必須です。もし、人間心理を理解できれば、営業のトークやアプローチが変わります。今回は、アプローチのときに使える心理学をいくつかご紹介します。

  • オープンクエスチョン

会話の方向性を相手の回答に委ね、幅を広げていくための質問です。顧客との信頼関係を築き、ニーズを深く探るときに効果的です。

  • ミラーリング効果

人間が自分と同じしぐさ・行動をする人は仲間と認識する習性を利用し、相手の行動を意図的に真似ることで、顧客との信頼関係を築けます。

こちらで紹介した以外にも「ザイオンス効果」や「一貫性の法則」などアプローチに使える心理学はいろいろとありますので、ぜひ、身につけて実践してみてください。

既存顧客マーケティング の効果とは

既存顧客へのマーケティングを「リテンションマーケティング」といいます。リテンションとは「引き止める」という意味を指しており、既存顧客との関係維持を目的としたマーケティング戦略です。具体的には、サービスの継続利用や商品を再購入していただくために

  • キャンペーンの案内
  • イベントへの招待
  • メルマガやDMの配信
  • アフターサポート

などの施策を行います。リテンションマーケティングの最大の効果は、「1:5の法則」でもお伝えした通り、コストを抑えて売上を上げていくことができる点です。既存顧客との関係を構築することで、商品・サービスに対する要望やフィードバックをもらうことができ、アフターサポートの充実や商品の改良による商品の改良や新しいサービス作りに役立てることができます。

既存顧客マーケティング のポイントとは

リテンションマーケティングによって得られる効果を理解したところで、次にリテンションマーケティングで何をするのが効果的に活用できるのか押さえておきたい重要なポイントを4つご紹介します。

ターゲットに合わせた施策

1つ目は、顧客一人ひとりに合わせて施策を行うことです。施策を行うことで顧客のロイヤルティ向上を目指します。顧客一人ひとりのロイヤルティを高めるためには、顧客の興味・関心に合わせたメール配信やマイページ構築などが有効です。また、自社ポイントや優待イベントなど顧客が喜びロイヤルティ向上につながる施策も必要です。

顧客を分類する

2つ目は、顧客をセグメント別に分類することです。そうすることで施策が打ちやすくなり、顧客との関係性構築にも役立ちます。蓄積した顧客データを属性・興味などのセグメントに分類すれば、属性に合わせた情報提供やイベントなどの開催が可能になります。ただし、セグメント別の分類を継続運用、管理には人的負担がかかるため、顧客管理システムを使用する企業が増えています。

マーケティング の効果を測定する

3つ目は、リテンションマーケティングで行ったアプローチの効果を測定することです。アプローチの効果を測定することで現状を把握できるだけでなく、問題点などを発見できます。こうして発見した問題点は改善され、次の商品やサービスのヒントにもなります。顧客の反応を検証・分析することは、継続的に施策の効果を高めていくうえでも必要不可欠です。

収集データをマーケティングに生かす

4つ目は、収集したデータを新たな施策に生かすことです。収穫したデータを新たな施策に生かすことによってマーケティングの質がより高まります。そして、アプローチの効果測定から得られたデータは、顧客心理を深く理解するための企業の”財産”になります。その財産を生かすために単に収集、整理、分析するのではなく、その先の新たな施策立案することを常に見据えて取り組むことが重要です。

顧客維持の改善ポイント

顧客を継続的に維持するためには、現状を把握し、問題点を改善することが必要です。顧客を維持するために課題になりやすいポイントを5つご紹介します。下記を参考に自社の状況を確認してみてください。

双方向コミュニケーション

顧客維持において顧客とのコミュニケーションは欠かせません。コミュニケーションというのは、原則、双方向でのやり取りを指し、企業は一方的な情報発信にならないように気をつけなければいけません。顧客からの声をいただいたときには即座に応対・対応していくことは非常に重要です。顧客の声に真摯に応えていくことで顧客との信頼関係はより深まります。たとえ、それがクレームや批判であっても、まだ自社に期待してくれているからこそと思い、対応しなければいけません。その結果、クレームいただいた顧客と仲良くなることはよくあることです。互いの感情や意思を伝達しあうコミュニケーションは、顧客が抱えているニーズや、企業が成長するために有効な方法だともいえます。

ワンストップサービスへの転換

ワンストップサービスとは、複数の場所や担当に分散していた関連する手続きやサービスなどを一ヵ所にまとめて提供するものです。一カ所にまとめることによって、企業は商品やサービスの提供がスムーズに行えるようになり、顧客のストレス軽減や満足度の向上といった成果に結びつきます。現在、さまざまな企業がワンストップサービスを取り入れています。例えば、大塚商会の「たよれーる」という、システムのIT活用だけでなく、企業の業務に対して総合的に支援するサービスがあります。こちらは「ITサポート」と「業務支援」によって顧客の抱えるさまざまな経営課題をワンストップで解決するというサービスです。他にもワンストップサービスを取り入れている企業は各分野でありますので、参考にしてみてください。

ワンツーワン対応

既存顧客を維持するためには、顧客一人ひとり趣味嗜好が異なり、適したアプローチも違うため、顧客ごとのカスタマイズしたコミュニケーションが必要です。これを1to1コミュニケーションといいます。1to1コミュニケーションの目的は、お客様に最適な情報・サービスを提供することによる顧客体験価値の向上です。1to1コミュニケーションでは、お客様から情報を聞き取るという視点が重要です。現在、1to1コミュニケーションのチャネルはEメールからアプリプッシュやLINE、SMSと拡がり、最近ではDMも再評価されています。さらにMAを活用すれば、お客様ごとに最適なタイミングを予測して1to1で「問い」を投げかけることができます。お客様の行動や状況変化に応じてタイミングよくアプローチすることによって、「今この瞬間の」お客様の気持ちや要望を効率よく聞き出すことができます。

特別プログラムの実施

顧客のロイヤルティを高めるためには、特別なプログラムを用意することが必要です。これをロイヤルティプログラムといいます。ロイヤルプログラムは、自社の商品やサービスを長期にわたって利用してくれた感謝として、特別なサービスや還元を行う仕組みのことです。自社ポイントプログラムや会員特別優待セール、会員限定非売品プレゼントなどが代表的なものです。ロイヤルティプログラムを実施することによって、顧客はその企業のロイヤルカスタマーになり、継続的に購入してくれたり、積極的に商品やサービスの宣伝を周囲にしてくれたりします。ロイヤルティプログラムを開催するときは少なくとも顧客の情報を把握していることが前提です。顧客の好みなどを認識していれば、より満足度のあるプログラムの提案ができます。

従業員教育

顧客維持の改善ポイントとして最後に従業員の教育です。先ほど双方コミュニケーションの重要性をお伝えしましたが、そのコミュニケーションを実際に行う従業員の教育が行き届いてなければ顧客を維持できません。教育をすることでサービスの質が上がり自社のブランディングにもつながります。ただし、教育ばかりではなく、従業員のモチベーションを上げることも重要です。そのためには、職場環境の整備や福利厚生の改善なども検討する必要があります。また、現状を把握するために定期的な従業員の満足度調査をすることもおすすめです。最近では、NPSを従業員の満足度調査にも使われており、収益などに連動して調査することも可能になり、さまざまな企業が取り入れています。

顧客維持によるブランド力の強化150

顧客を維持するためのブランドの強化には、アメリカの経営学者デービッド・A・アーカー氏の提唱する「ブランド・エクイティ」に沿って考えると良いでしょう。

  1. ブランドロイヤルティ
  2. ブランド認知
  3. 知覚品質
  4. ブランド連想
  5. その他の知的所有権のある無形資産

今回は、「ブランド・エクイティ」をもとに、既存顧客を維持するためのポイントを3つご紹介します。

既存顧客をファンにする

ブランドを強化するためには、ロイヤルカスタマー(=根強いファン)を多く創出し、「ブランドのロイヤルティ向上」と「ブランドが認知されること」に取り組むことです。ロイヤルカスタマーを多く持つ企業や商品・サービスは、競合との競争やシビアな価格競争に巻き込まれるリスクが比較的低くなります。それは、ロイヤルカスタマーは自社の商品やブランドに深く愛着を持ち、長期的な関係を築いてくれ、継続的に利用してくれるだけでなく、口コミやSNSで商品やサービスの情報を発信してくれるからです。そのため、ロイヤルカスタマーを創出する取り組みが必要となります。まずは既存顧客のニーズを把握し、きめ細かいアプローチを行って深い関係性を築き、顧客の心に寄り添った、共感される仕組みを構築することが重要です。

顧客維持に必要なこと

既存顧客がロイヤルカスタマー化すれば、単純にブランド強化が成功するわけではありません。ブランド強化を成功させるためには、既存顧客が他へ目移りしないように取り組む必要があります。そのためには、消費者が感じるブランドの品質(知覚品質)、ブランドから連想されるイメージ(ブランド連想)を向上させるために意識して取り組むことがポイントです。そのためには、顧客の声に耳を傾け、顧客目線で商品の開発やサービスの提案を行わなければなりません。また、顧客情報を有効活用し、顧客のニーズが現れるタイミングに合わせて提案をすることも重要です。そして、顧客一人ひとりに合わせたアプローチをしましょう。サービスも商品も飽和状態になっている今の時代では、既存顧客をしっかりとフォローしていくことで売上拡大にもつながります。

既存顧客の囲い込み

既存顧客の囲い込みは、戦略を持って既存顧客を維持して顧客離れを防ぎ、さらには有力な見込み顧客を取り込むことが重要です。顧客の囲い込みとは、顧客との長期的関係性の構築であり、長期的に関係を築くことで、ブランド・エクイティで示されているブランドの持つ5つ資産価値のさらなる向上が見込めます。5つの資産価値が向上するということはブランド向上につながります。ビジネス的には、自社に、いかにして顧客との関係性を構築させ続けられるかがカギになり、関係継続の長さが「経営の安定」や「利益の増加」に直結します。その施策としては、コアなファンが集まるイベントの開催や会員限定のコミュニティの開催などがロイヤルティ向上には効果的だといわれています。

まとめ

既存顧客へのアプローチに有効的なリテンション営業について、ポイントは以下のとおりです

  • リテンション営業の質が高いと、その分だけリピート率が上がり、企業の収益の安定と向上が見込める
  • 顧客へのアプローチには、既存顧客へのアプローチを最優先にし、販売手法を工夫することでさらなる売上アップにつながる
  • リテンションマーケティングでは、サービスの継続利用や商品を再購入していただくためには、メルマガやDMの配信などが有効である

リテンション営業の質を上げることで、既存顧客のロイヤルティを向上させることが可能になり、収益の確保による経営の安定化が見込めます。今回紹介した内容を参考に自社のファン作りに挑戦しましょう。

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サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

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大企業はその企業に応じたマーケティング予算と手法があり、スタートアップ企業や中小企業、あるいはニッチャーには、それぞれに応じたマーケティングや新規開拓の方法があります。企業の成長過程では、取り組みが異なるのは当然ですし、それを構築することが何より重要です。そのお手伝いをするのが私たちの使命です。そして成長すれば、その取り組みコストは回収できるはずです。サブ丸は年間運用で60万円あまりのコストがかかります。そのコストを回収し、さらなる飛躍をめざす企業にご利用いただきたいと考えています。

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