新規顧客の獲得

新規顧客の獲得で考慮すべきファクターとは

新規顧客の獲得
新規顧客の獲得時に押さえておきたいポイントがある

はじめに

既存顧客の集客よりも時間やコストがかかる新規顧客。しかし企業の事業成長のためには、新規顧客を戦略的に獲得し続ける仕組みが必要です。新規顧客の集客はコストパフォーマンスが悪いため、やみくもな施策は避けるようにします。

目的と手段を明確にし、状況に応じて変化させる柔軟性も必要です。今回は、新規顧客の獲得に必要な戦略を立てる前に確認しておきたい項目を解説します。

新規顧客の獲得で必要なビジネス上の戦略と戦術

ビジネスにおける戦略とは、目標を達成するために準備・計画し、そのために最適な手法を考えて実行することです。戦略と似た言葉として戦術がありますが、両者の意味は明確に異なります。

戦略が地図にあたるとすれば、その地図の航路を行くための具体的な手法が戦術です。したがって、戦略を立てるには、自社の市場や顧客の状況、そしてリソースの実状を把握した上で、目指すゴールを明確に設定する必要があります。

このゴールは漠然とした設定では意味がないため、「前年度比110%成長」など進捗を計測できる具体的数字を入れ込みましょう。

新規顧客の獲得の目標の立て方

目標とは自社が中長期にわたって描くビジョンといえます。例えば、営業目標であれば、数年後の自社の売上や粗利率、顧客リストの数などそれぞれの目標を数字で表します。

目標を具体的な数字にすることで、自社の施策がどの程度効果があったのかを計測でき、より効果を高めるためのPDCAサイクルを回すことができるのです。

目標の達成度を評価し、PDCAサイクルを回すための指標としては、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)がよく利用されています。

進捗を評価して把握し、時には軌道修正するといったPDCAサイクルによる評価と改善を行うことで、定期的な戦略の見直しができ、事業の成長を図ることができます。

目標と目的の違い

目標と目的という言葉は、しばしば混同されがちです。目的とは、最終的に到達したいゴール地点を指しています。その目的にどれだけ近づけているか、指標となる途中経過の地点を目標と呼びます。目的と目標は、それぞれ方向性は同じです。長期的なものが目的、中短期的なものが目標だと捉えておきましょう。

新規顧客の獲得戦略では製品・サービスの差別化ポイントをまとめる

新規顧客に自社商品・サービスの魅力を伝えるためには、競合他社との明確な違いをアピールし、差別化する必要があります。差別化戦略の具体的な手法としては、使用用途や機能、提供方法はもちろん、ブランドのコンセプトやストーリーを活用したポジショニングも有効です。

特にブランドのイメージやストーリーは他社が模倣しにくい部分であり、顧客に情緒的あるいは自己実現的な価値を提供できます。人の感情に訴えるコンセプトやストーリーの設定を考え、顧客から共感されるブランディングを目指しましょう。

社内リソース(資源)の活用

自社の経営資源であるリソースには次のような種類があります。

  • モノ
  • 情報
  • 時間や知的財産

これらの資源を一度整理し、自社の強みとして活用していきましょう。特に競合他社と比べながら、自社の強みとなるリソースを洗い出すことで、顧客へのアピールポイントが明確になります。

社員のスキルを把握する

社内リソースの中でも可視化しづらい部分の一つが、社員のスキルです。社員のスキルはそれぞれ、次のような種類で区分できます。

  • エチケットマナーやホスピタリティなどの基本スキル
  • チャレンジ精神やモチベーションなどのマインドのスキル
  • 担当部署によって異なる業務知識や能力などのジョブスキル
  • 管理者以上の職責に求められるマネジメントスキル

こういった個々人のスキルを把握し、適切な教育を加えてスキルを伸ばしていきましょう。そうすることで、社内組織がより活性化し、顧客に提供できるサービスの質の向上にもつながります。

技術やサービスを再評価する

自社の持つ技術やサービスについても、定期的に再評価する仕組みを設けましょう。インターネット技術が進歩し、競合他社をはじめ世界中の企業のリソースをインターネット経由で容易に調べられるようになりました。

もちろん社内機密に該当する部分はリサーチできないものの、現在の最新技術やサービスの動向を知ることで、自社の強みや弱みの分析は十分可能です。

特にインターネットを活用したデジタル・ビジネスでは、ビジネスの前提条件そのものが、社会の変化で大きく変化することがあります。そのため、従来のさまざまな常識もふくめて、定期的に再評価すべきでしょう。

その上で、どのような点を今後強化していくべきなのかを検討し、今後の商品展開や改良プランを検討していくとよいでしょう。必要に応じて、有識者からの意見を仰ぐのも有効です。

目的達成の予算の策定

自社の目標達成を目指す場合、それぞれの数値達成に必要な予算を策定する必要があります。全体目標を念頭に置かずして、効果的な予算組みをすることはできません。

全体だけではなく、組織の各セッションに応じて目標数値が設定できればベストです。これらの目標数値は、会社全体の売上目標から逆算して設定するとよいでしょう。

各セクションの目標数値を営業メンバーの数で割ると、一人あたりの売上目標ができます。マーケティング部全体でいえば、MRR:Monthly Recurring Revenue(月次収益)とアポイント獲得数、CAC:Customer Acquisition Cost(顧客獲得単価)などが目標数値に該当します。

また、売上目標に基づいた必要アポイント数を達成するために必要な人件費、広告宣伝費なども計算することで、効果的な計画が策定できます。

コネクションの整理

商機を増やすためには、決裁権のある役員以上とのコネクションが必要です。そういったコネクションを構築するには、既存の派閥やOB会などの活用のほか、外部リソースとして企業顧問などを活用する方法もあるでしょう。

逆に、不要なコネクションもあるため、場合によっては事業の成長とともに削減すべきつながりもあるでしょう。定期的にコネクションを整理し、今後の成長につながる人脈に投資できれば理想的です。そうすることで、紹介からの新規集客の獲得もスムーズになります。

新規顧客の獲得では外部リソースを活用も考える

社内リソースが不足している場合、外部リソースの活用も検討しましょう。たとえば広告宣伝の立案をアウトソーシングを活用すれば、マーケティングプランの立案を円滑にすすめることが出来ます。

また専門知識や技術が不足している場合、外部顧問を採用することで顧問先の専門のノウハウや知恵を活かすことができます。

社内でノウハウが蓄積できないという欠点はありますが、自社のフェーズに合わせて社外リソースを選択肢に入れるとよいでしょう。新規集客についても、たとえば営業やコンテンツ運用を外注することもできます。自社の状況によっては、そういった外部利用も検討するとよいでしょう。

提携先の確認

企業にとって、提携先の存在は大きなリソースです。たとえば、ネットワークの管理やハッキング対策など、どうしても自社だけでは行き届かない面も出てきます。そういった際に、外部でその分野を専門としている企業と提携することで、自社内ではまかなえない部分を補うことが出来ます。

中小企業の場合は、大企業にも増して人材不足が深刻です。たとえば企業法務や財務など、専門知識がなければ対応できない分野については、社内で人材の雇用や育成を行うにはリソースが足りないという事態も生じるでしょう。

こうした背景から、高度な専門性を有する社外の提携先を求める企業が増えています。そういった提携先を確保することで、結果的にリスクヘッジをしながら、顧客の集客に集中できる環境が整うのです。

メディアの活用

新規顧客を獲得するためには、自社の商品・サービスの魅力やブランドイメージ、価値観などを認知してもらうための発信が欠かせません。そういった発信を効果的に行うためには、メディアの育成が必要です。メディアの種類は大きく分けて次の3種類があります。

  • オウンドメディア
  • アーンドメディア
  • ペイドメディア

それぞれの特徴や強みをまとめました。

オウンドメディア

ブログなどの自社メディアやECサイト、パンフレットなど、自社で情報発信をコントロールできる媒体であり、顧客視点からコンテンツを作成しているものをオウンドメディアと呼びます。

オウンドメディアの役割は、自社のコンテンツを通じて顧客に「自社への理解」を促すことです。昨今では、自社視点からの広告の効果が落ちており、その分、顧客視点のコンテンツマーケティングが注目されています。その結果、オウンドメディアの運用に取り組む企業も増加しています。

オウンドメディアの育成には時間やコストがかかるため、即効性はありません。とはいえ、長期視点で顧客の集客や育成を行いたい場合には効果的な手法といえるでしょう。

アーンドメディア

アーンドメディアとは、FacebookやTwitterなどの各種SNSや、はてなブックマークなどのソーシャルブックマークなどを指した呼称です。

自社で発信情報をコントロールできるオウンドメディアとは異なり、顧客も巻き込んで情報発信を行う点が特徴といえるでしょう。PR活動を行った結果、たとえばテレビ番組や新聞の取材を受けたり、キュレーションメディアのまとめ記事に取り上げられたりといったこともアーンドメディアの一種と考えられます。

アーンドメディアの強みは、拡散力です。いわゆるバズが発生すれば、自社の商品やコンテンツが爆発的に伝播する可能性もあります。

反面、自社のコントロールが及ばない範囲で、炎上が起き、ネガティブな評価を受けるケースもあります。完全なリスクヘッジはできませんが、ブランドイメージと合ったインフルエンサーを把握し、そういったインフルエンサーの力を借りて情報を拡散できれば、大きな集客効果が見込めます。

ペイドメディア

ペイドメディアとは、テレビやラジオ、新聞、雑誌などのマスメディアを使った広告やインターネット広告、交通広告、スポンサーシップなど、不特定多数の消費者にアプローチする広告媒体を指します。

お金を払って掲載するため、総称してペイドメディアと呼ばれています。アーンドメディアであるFacebookなどSNSでも広告展開ができ、顧客を細かくセグメンテーションしてから比較的低コストで出稿できるメリットがあります。

特に、これまで自社と接点がない層に対して、まずは認知を獲得するのが特異なメディアです。アーンドメディアやオウンドメディアと組み合わせて、接点を作った顧客が他のメディアに流れていくよう、あらかじめ導線を設計しておくとよいでしょう。

新規顧客の獲得における戦略の組み立てとは

自社の目的を達成するために最も効率の良い方策を考えることを、戦略の組み立てといいます。たとえば新規顧客の集客であれば、最もコストが少なく、かつ集客がしやすい方法を検討することになります。こういった戦略を立てるための思考法として、次の2種類があります。

  • 拡散思考
  • 収束思考

いずれもアメリカの心理学者、ジョイ・ギルフォードが提唱した概念ですが、効果的な戦略を立てる際には効果的な考え方です。この2つの思考法について説明します。

拡散思考とは

拡散的思考とは、常識や先入観などといった制限を取り払い、思考の幅を大きく広げるときの思考モードです。既存の情報からさまざまな方向に考えを拡散し、新たな発想やアイデアを生み出す際に役立ちます。

代表的な例は、参加者が自由に多くの意見を出しあうことで、独創的なアイデアを引き出す集団思考法、ブレーンストーミングです。ブレーンストーミングは一人でも実施できるため、戦略を立てる際にぜひ積極的に活用してみましょう。

収束思考とは

収束的思考とは、既存の情報から論理的に思考を整理し、結論に早く正しく到達するための思考法です。特に、正解が決まっているような課題に対して取り組む際に有効な思考法といえるでしょう。

拡散思考と比べると思考の対象範囲は狭くなってしまいますが、その分集中して思考を深く掘り下げやすくなります。すでにデータが揃っていて、かつ早期に結論を出さなくてはならないような場面では、収束的思考が役立ちます。ある程度時間にゆとりがあれば、拡散思考を行った後に収束的思考で結論を出していくと、効果的です。

ランチェスターの法則に学ぶ選択と集中

中小企業の生き残り戦略として、よく取り上げられるのがランチェスターの法則です。軍事戦略に基づいた理論であり、弱者と強者それぞれのとるべき戦略を示しています。

ランチェスターの法則において、弱者が取るべき戦略は強者との一騎打ち、つまり戦うべき市場を選んでそこにリソースを集中させる方針が有効とされています。

この選択と集中の考え方は小資本の事業者にとっては基本の考え方です。とはいえ、たとえばあまりに狭い市場でかつニッチなニーズを狙ってしまうと、その分新規顧客の集客ハードルが上がり、全体の売上を上げづらくなってしまいます。

全ての条件を絞るのではなく、「商品」「地域」「客層」どれかの分野を選択し、残りはあえて選択をしない、という戦略もありえます。

特に、地方都市の中小企業であれば、地元密着を打ち出し、たとえば地元食材を使った銘菓を販売するというようなコンセプトで、地元客や観光客を集めている成功事例も多数あります。集中と選択のデメリットにも着目し、効果的な集客戦略を打ち立てましょう。

パレートの法則に学ぶ選択と集中

選択と集中を行う際、ランチェスターの法則だけではなくパレートの法則を基準に加えても良いでしょう。パレートの法則とは、いわゆる20:80の法則であり、全体の8割の収益は2割の顧客が生み出しているという考え方です。

つまり、8割の収益を生み出している2割の顧客のケアにリソースを集中し、事業全体の足を引っぱっている下位2割の顧客や商品、事業を集中的に改善していくと、全体の事業価値を高めることができます。

ただし、この考え方だけだと既存顧客のケアにのみ目がいきがちになり、次第に顧客が目減りして事業成長が止まってしまう可能性があります。事業の成長を行うためには、コストをかけてでも新規集客を併用する必要がある点にも注意しましょう。

新規顧客の獲得における戦略の進行管理

戦略を打ち立てたあとは、具体的な実行に進みます。どの程度目標が達成できているのか、それぞれのフェーズのタスクや進捗について管理し、必要に応じて修正を加えていく必要があります。戦略のアクション段階で必要なタスク管理と進捗管理のポイントを解説します。

タスク管理とは

To Do管理やスケジューリングによって、仕事の優先度を可視化し、各タスクの完了度合いを管理するプロセスをタスク管理といいます。最近でTrelloやGoogle Keepなど使いやすいタスク管理アプリがあるため、チーム全体の仕事状況を全員が把握できるようにツールを上手に活用しましょう。

タスク管理を行うことで、全体の無駄を省くことができ、結果として納期の短縮や想定外の対処がしやすくなります。タスク管理を主に行うのは管理職以上のポジションですが、個々人のレベルでもタスク管理は非常に重要です。たとえばタスク管理によって、時間効率が上がり、1日1アポでも増やすことができれば、年間で見た際の集客効率や売上数字は大きく変わるでしょう。タスク管理の重要性を組織全体で認識し、生産効率の工場に努めていくのが理想的です。

進捗管理とは

進捗管理には、大きく分けて品質の進捗管理と納期の進捗管理があります。特に製造業では徹底されている考え方であり、品質の進捗管理がより重視されています。

理由として、たとえば1部品でも品質問題が発生すれば全体の進捗が大幅に遅れ、結果的に納期も狂ってしまうからです。

複数人で納品物の制作を進めている場合、それぞれの担当領域を連携させ、シームレスに進捗を管理していく必要があります。また進捗管理ではつい結果ばかりに目が行きがちですが、より重要なのはプロセスです。

商品を作る過程でどんなトラブルが生じているのか、また計画と比べて完成の度合いはどの程度なのか、できる限り数値で計測する必要があります。この考え方は新規顧客の集客においても重要です。たとえば営業部門とマーケティング部門がそれぞれ連携しプロジェクトを進めていく場合、部門をまたがった進捗管理が必要でしょう。

チームマネジメントとは

チームマネジメントとは、目標達成のために個々のメンバーが動きやすくなるように体制を整え、一人ひとりの体調やメンタルに配慮しながら、働きかけを行ったり、活動を支援する仕組みを作ったりする取り組みのことです。

各メンバーがそれぞれの力を最大限に発揮できるチームを構築し、全体の生産効率を向上させることを目的としています。チームマネジメントを行う管理職は、個々のメンバーに対して以下の働きかけを実施する必要があります。

  • 現実的なアクションプランにもとづく目標設定
  • 個々の個性を発揮し、目標を達成するためのコーチング
  • 個々のモチベーションを管理するためのコミュニケーション

チームマネジメントが円滑に行えれば、顧客へのアプローチ効率も高まり、新規顧客の集客もしやすくなります。

まとめ

新規顧客の集客効率を高めるために必要な組織の戦略と戦術のポイントをまとめると、以下のようになります。

  • 新規顧客の集客をより効率的に行うためには、組織として目標を設定し、その達成のための戦略を立てる必要がある。
  • 戦略立案の基本は、選択と集中である。選択と集中を行いすぎると逆効果になることもあるため、市場の規模や自社リソースをもとに判断すべきである
  • 組織内の業務効率を高めるためには、タスク管理や進捗管理、チームマネジメントなどのマネジメントスキルが不可欠である

新規顧客の集客を組織の仕組みとして効率化していくためには、社内外の戦略を見直す必要があります。今回の記事を参考に、ぜひ自社の状況をふりかえり、改善プランを検討するとよいでしょう。

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