UX+UIで顧客体験(CX)を差別化する

UX+UIで顧客体験(CX)を差別化する

UX+UIで顧客体験(CX)を差別化する
顧客体験は顧客との接点からはじまる

はじめに

現在、ビジネスにおいてDXが定着する中で、UX、UI、CXは欠かせない概念です。それぞれの特徴を理解し、互いに組み合わせることで相乗効果を生み出し、潜在顧客の発掘から既存顧客のロイヤルティを上げることができます。今回は、UX、UI、CXにおいて、それぞれの概要と活用方法をご紹介します。

UXとは

UXとは「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」を略です。ユーザーが得られる体験のことを指し、「Experience」は「体験・経験」といった意味を持つため、「ユーザー体験」、「ユーザー経験」とも訳されています。UXは、あらゆる商品やサービスを通してユーザーが感じる、使いやすさ、印象といった体験すべてを指します。たとえば、ユーザーが食器洗浄機を購入したとします。「手を汚さず食器がきれいになる」「洗剤に触れないから手が荒れなくなった」など実際に商品やサービスを使ったことで得られた体験や気持ちがUXにあたります。UXは、ユーザーが商品やサービスをより使いやすく改良するための指針といえます。

UXとCXの違いとは

CXとは、「Customer Experience(カスタマーエクスペリエンス)」を略です。顧客が、自社の商品やサービスを購入する前の対応から購入後のサポートまでを体験したすべてを指します。たとえば、「商品購入後のサポートや保証などのアフターケアが充実していて満足だ」「商品購入後も定期的にお得な情報を送ってくれて嬉しい」といった体験や気持ちがCXにあたります。CXとUXを比べると、CXに該当する「体験」は、広範囲であると捉えておくとわかりやすいでしょう。ちなみに、「ユーザー」と「カスタマー」は似ているようで異なります。ユーザーとは商品やサービスの利用者で、カスタマー(顧客)とは商品・サービスの購入者を指します。つまり、ユーザーとカスタマーが異なる場合も少なくありません。

UXの5段階モデルとは

UXの5段階モデルとは、UXの要素を5つの段階に分類したものです。この分類は、アメリカのUXデザイナーであるジェシー・ジェイムス・ギャレット氏が著書『Elements of User Experience』にて、UXの概念図に表したものが元になっています。その5つの段階とは、以下の通りです。

  • 戦略(Strategy):ユーザーニーズとプロダクト目的の設定
  • 要件(Scope):ユーザーにとって必要なコンテンツ・機能の設計
  • 構造(Structure):ユーザーがほしい情報や使いたい機能にたどり着くための全体構造設計
  • 骨格(Skeleton):ユーザーが理解しやすいインターフェース上の情報設計
  • 表層(Surface):ユーザーが視覚的に認識するデザイン

ジェシー・ジェイムス・ギャレット氏は、抽象的な概念である戦略を土台として、徐々に具体的な段階に移っていくことで、プロダクトの目的から外れずに開発を進めることができると提言しています。UXの5段階モデルは、提唱されて20年経った今でもUXデザインの指針となる考え方として使われています。

UXモデルの進め方とは

それでは、UXの5段階モデルを実際のプロダクト開発に生かすためには、それぞれの段階の概要に加えて、具体的な進め方とアウトプットを理解する必要があります。その進め方を5つのステップにて解説します。

戦略の目的設定

戦略の目標設定では、UXの5段階モデルにおいて土台となる重要な要素です。下記の2つを明らかにすることで、以降の段階の指針です。。

  • プロダクトの目的(企業が実現したいビジネス上のゴール)
  • ユーザーニーズ(どんなユーザーが何を求めているのか)

この段階での進め方は、ユーザーインタビューやアンケート、エスノグラフィ調査などの調査を行います。また、ユーザー調査と同時に、戦略が自社の情報や競合優位性に則したものになっているかを検証します。そして、収集した情報を元に具体的にプロダクトの目的を設定します。代表的なものは、ペルソナの設定やビジネスモデルキャンバス、ブランドの特徴を打ち出すブランドアイデンティティ、KPI設定などです。

要件の定義

要件段階では、戦略段階で定めたプロダクトの方向性を元に問題解決に必要なコンテンツと機能を明確にします。この段階での進め方は、ユーザーがいつ、どこで、どんなシチュエーションでどんな問題を抱え、それをどのような形で解決したいと考えているのかを可視化、ユーザー体験のモデル化をします。ユーザーがプロダクトを通して、自社の価値を感じるストーリーを描くことで、必要な要件が見えてきます。そして、カスタマージャーニーマップを用いて、ユーザーの行動・感情を時系列で整理します。またユーザーストーリーを一目で理解できるストーリーボードを作成することもあります。

全体構造の構築

全体構造の構築では、要件段階で定めたコンテンツと機能を構造化します。この段階での進め方は、各コンテンツと機能をユーザーにとって利用しやすいように組み合わせていくことが重要です。どの箇所にどんなコンテンツがあるのが分かりやすいのか、コンテンツ同士の関連性をどのように見せるのかといった設計を行います。そして、Webサイトでいえば、

ボタンや入力フォームといった機能面の操作性も、インタラクションデザインの観点から設計します。プロダクトの全体構造を可視化したサイトマップも作成します。

インターフェイスデザイン

インターフェイスデザインでは、実際にユーザーが接するインターフェース上の情報設計を行います。また、画面に表示される情報の配置や優先順位を、ユーザーが理解しやすいように設計します。その進め方は、必要な情報にアクセスするためのナビゲーションや、情報のレイアウトをワイヤーフレームに落とし込みなどを検証しながら行います。具体的な検証手段としては、ユーザビリティテストがあげられます。ユーザビリティテストとは、ユーザーにタスクを実行してもらいストレスを感じず利用できるか検証するテストです。ユーザーから「目的を達成できそうか」「分かりにくい設計になっていないか」などのフィードバックをもらうことが目的です。

ビジュアルデザイン

ビジュアルデザインでは、今までの段階を踏まえて、UXデザインを最終的に仕上げます。ユーザーが実際に認識するものをデザインするので、より感性に訴える設計が必要です。その進め方は、ユーザーがプロダクトに対してどのような印象を受けてほしいのかをカラーリングやフォント選定、ロゴデザインなどUIに関するあらゆる要素を駆使してデザインします。そして、プロダクトのイメージを視覚化するために、ビジュアルアイデンティティに沿って具体的なデザインを進めて、Webサイトであればデザインカンプという形で完成させます。

UXハニカムとは

UXハニカムとは、「ユーザー・エクスペリエンス・ハニカム」の略です。UXを構成する要素を示した構造モデルのことです。その構造は、ユーザーが感じる「価値(valuable)」を中心にUIを構成する6つの要素が配置されています。これら6つの要素がバランスよく満たされて、はじめてユーザーにとって価値のある体験を想像することができるという考え方です。その6つの要素は、下記の通りです。

  • Useful(役に立つか)
  • usable(利用できるか)
  • desirable(望ましいか)
  • findable(見つけられるか)
  • accessible(アクセスできるか)
  • credible(信用できるか)
  • valuable(価値があるか)

UXハニカムの6つの要素をすべて実現することが理想ですが、すべてを実現する必要はなく、ターゲットとしているユーザーや、必要となるコストを考えてバランスを調整することが大切です。

UXピラミッドとは

UXピラミッドとは、「ユーザー・エクスペリエンス・ピラミッド」の略です。UXピラミッドは、ユーザー体験の成熟度を測る方法です。UXピラミッドのパターンはいくつかありますが、下記が6階層に分けた場合のUXピラミッドです。

  • レベル6:意義
  • レベル5:嬉しい、楽しい、心地よい
  • レベル4:便利
  • レベル3:使いやすい、わかりやすい
  • レベル2:信頼できる
  • レベル1:機能的である

その構造は、下部が機能の実用性/客観的で、上部が感情性/主観的を指しています。基本的には、下層のレイヤーから満たされていきます。たとえば、ブランディングの効力を高めようとすると、レベル6の「意義」をユーザーに体感してもらえることを目指します。

UIとは

UIとは「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略したものです。「Interface」とは接点や接触面を意味です。UIはユーザと企業をつなぐ接点を意味します。Webサイトでいえば、文字の大きさやメニューの場所、申し込みボタンの色・文言といった視覚的な情報のことです。これらの工夫や改善を行うことで、顧客の操作効率や使いやすさの向上を実現できます。UIとよく一緒に使われる言葉で「ユーザビリティ」があります。ユーザビリティとは使い勝手の良さを意味します。Webサイトおいて特定のユーザーに対しての使いやすさを示すという指標で使われます。近年、IT技術が発達し、さまざまな分野でコンピューターを使用するようになり、ユーザビリティが注目されるようになりました。ユーザビリティを考慮することで、UIが向上してきたという背景があります。

UIの進め方

UIは大きく3つのステップにて進めていきます。それぞれのポイントについて解説していきます。

  • 調査
  • 方針作成
  • デザイン

調査

調査フェーズでは、競合調査、ユーザビリティ評価、ユーザーインタビューを行います。競合調査では、自社と他社とのサービスを比較して、強みや弱みを分析し、差別化を図るためにどうすればよいかを考えます。そして、ユーザビリティ評価とユーザーインタビューでは、ユーザーに実際、サービスを使ってもらい、具体的な改善点やニーズの発掘を行います。このフェーズでは、実際にユーザーが体験した内容を把握し、分析するとともにその奥に隠れているインサイトを見つけるようにすることが重要です。

方針作成

方針作成では、ペルソナの策定、カスタマージャーニーマップの作成を行い、情報に優先度を決めます。ペルソナ設定では、調査によって得た情報を元に自社が求める顧客像を詳細に描いて設定していきます。そして、次にそのペルソナに基づき、カスタマージャニーマップを作成します。カスタマージャニーマップでは、先ほど設定したペルソナの購買行動を想像し、それぞれに発生するタッチポイントを明確にし、ペルソナが何を求めているのかを整理します。そして、カスタマージャニーマップで明確になった情報を戦略を立てていきます。戦略を立てるときは、どこに重きを置くのか優先順位を決めて方針を固めていきます。

デザイン

最終ステップのデザインでは、先ほど決めた方針に従い制作をします。UIデザインは、サービスやプロダクトをユーザが快適に利用できるように設計することを重要です。ユーザーが迷ったり考えたりせずに、感覚的に操作して目的を達成できる設計になっていることが、優れたUIデザインの条件です。UX専門家であるSteve Krug(スティーブ・クリュッグ)によれば、優れたUIデザインとは「ユーザーに考えさせない(Don’t make me think)」デザインであるとされています。そのためには、これまで得た情報やカスタマージャニーマップを確認しながら、ユーザーの購買行動や購買心理を想像し、効果的なデザインをします。

UX+UIでCXを生かす3つのポイント

UX、UI、CXのそれぞれの概要と違いを紹介してきましたが、こちらではそれぞれの関係性や特性を生かして顧客のロイヤルティを高めるためのポイントを3つご紹介します。

  • 顧客理解によるUIデザインとUX設定
  • UXとCXの連動
  • スコアリングの活用と改善

顧客理解によるUIデザインとUX設定

アンケートやインタビューなどの調査で得た情報やカスタマージャーニーマップをもとに顧客のロイヤルティ、購買意欲を向上させるために機能的な役割のUIデザインと視覚的役割のUXを使い、コンテンツを制作します。Webサイトでいえば、UIデザインは、文字の大きさやメニューの場所、申し込みボタンの色などを、UXでいえばカッコイイ、きれい、使いやすいといった設計します。そして、総合的にシームレス、かつユーザビリティが高いサイトを構築できます。その評価の指標となるのが、先ほどご紹介したUXピラミッドです。レベル1から3まではUXのみで達成をすることは容易ですが、レベルで4以上を達成するためにはUIデザインと合わせて設計した方が効果的です。シームレスでストレスを感じないWebサイトを構築することで顧客のロイヤルティは向上し、CXも上がります。

UXとCXの連動

UXとCXを上手に連動させるには、まず、UXデザイナーが具体的なゴール設定のもとでユーザーとビジネスの具体的なゴール設定を達成することが重要です。一方でCXデザイナーは、企業やブランド全体の体験に対してのゴールを達成することが役割です。。言い換えると、UXでズームイン、CXでズームアウトになるイメージです。たとえば、VRの体験イベントを実施する場合、CX担当者はイベント全体を楽しんでもらうように企画します。そして、UX担当者はVRそのものを楽しんでもらう企画をします。それぞれの役割をきちんとこなすことで、結果的に参加いただいた顧客に満足いただくことが互いのゴールです。

スコアリングの活用と改善

CXに対して、どのような体験がどの程度影響を与えているかを把握するために、カスタマージャーニーマップで洗い出された顧客タッチポイントにおける体験を計測する必要があります。そのCXを計測するためにはCXを測る指標が必要です。CXを測る時によく使われるのは以下の指標です。

  • CSAT(顧客満足度)
  • NPS®(推奨度)
  • CES(顧客努力度)

CXスコアを計測し、スコアを向上させるために何を改善すべきか?を把握したら改善策を検討し、実行します。ただし、ここで注意点として、改善を実行したとしてもすぐにスコアに効果が表れるとは限りません。マーケティング的な課題が抽出された場合等は、計画・実行した施策がきちんと顧客体験を改善させているかを計測し、効果が芳しくない場合は代替策を講じる必要です。

まとめ

UX+UIで顧客体験(CX)を差別化するについてのまとめは、以下の通りです。

  • UXは、あらゆる商品やサービスを通してユーザーが感じる、使いやすさ、印象といった体験すべてを指す。
  • CXは、顧客が、自社の商品やサービスを購入する前の対応から購入後のサポートまでを体験したすべてを指す。
  • UIは、ユーザと企業をつなぐ接点を指す。
  • UX、UI、 CXはそれぞれ異なるものだが、組み合わせることによって相乗効果を生み出し、購買意欲の向上やロイヤルティ向上に寄与する。

UX、UI、 CXの概念はご理解いただけましたでしょうか。本記事を参考にそれぞれの特徴をきちんと理解し、顧客ロイヤルティが向上するコンテンツに取り組んでみてください。

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サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

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