顧客ターゲット

顧客ターゲットの決め方

顧客ターゲット
ターゲティングは具体的であればあるほどよい

はじめに

商品やサービスを営業する際、手当たりしだいにセールスを行うのは非効率的です。どれだけ優れた商品でも、相手が欲していないなら訴求できません。大切なのは、自社の商品を必要とする顧客をあらかじめターゲッティングしておくことです。そうすれば、自ずと顧客にアピールすべきポイントがわかり、セールストークやコピーの効果も高まります。今回は、マーケティング担当者のみならず、現場の営業職にも役立つターゲッティングについて解説します。                                 

ターゲティングとは

商品を売る相手をしぼりこみ、勝負する市場を定める戦略をターゲッティングと呼びます。顧客の年齢や性別、職業、購買力、ライフスタイルなどさまざまな情報をもとに、顧客をグループ分け(セグメント)し、その中から自社商品にマッチする顧客を選びます。

ターゲッティングによって販売プロセスが大きく異なるため、企画の段階から顧客ターゲットをしっかりと決め流必要があります。

ターゲティングによる効果とは

ターゲティングを行うと効果的な販売方法が確立しやすくなります。アップセルやクロスセルを活用してさらなる売上アップも期待できます。

たとえば、ヘッドスパやリンパマッサージの施術を提供する美容院が増えている背景にはターゲットの拡大があります。特に都心部のサービス拡充には次の理由があげられます。

  • オフィス街が近いなど店舗の商圏と相性がいい
  • 日頃の疲れを取りたいと思っている人が多い
  • 抜け毛が気になっている人にも訴求できる

さらにこれら3要素を考慮するとリラクゼーションサービスも視野に入れるべきです。

QBHouseのように短い時間でカットのみを提供している美容室は以下にターゲットを絞り、サービスやコストをぎりぎりまで縮小した展開で、ヒットしています。

  • 仕事前に身支度をスピーディに整えたい男性サラリーマン
  • 髪が伸びた分だけカットしてヘアスタイルを整えたい女性
  • じっとしない子どものカットを手早くすませたい主婦

ターゲット設定はフレームワークを使用する

ターゲット設定は、市場調査や顧客データをもとにフレームワークを用いて情報を整理して決めます。まずは大きな市場を決め、そこから絞り込んでいくとターゲット像をより明確化できます。合わせてライバルとの差別化や自社の強みの訴求方法も考えます。ターゲット設定にはよくSTP分析が用いられます。

STP分析とは

STP分析は、マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・コトラーが提唱したフレームワークです。マーケティングの根幹である「誰に、何を、どのように売るか」のうち、「誰に」と「何を」のブラッシュアップに適しています。

  • Segmentation(セグメンテーション)
  • Targeting(ターゲティング)
  • Positioning(ポジショニング)

それぞれの軸について解説します。

セグメンテーション

セグメンテーションとは「細分化」という意味です。無数にいる顧客をその属性や行動などを基準に分類し、それぞれのグループが顧客全体に対して占める割合も算出します。

実際にセグメンテーションを行う場合は、以下のいずれか、あるいは組み合わせて分類します。

  • 人口統計学的な属性であるデモグラフィック変数
  • 顧客の個性や感情を示すサイコグラフィック変数
  • 顧客の居住する地域などのジオグラフィック変数

デモグラフィック変数の代表例は、年齢、性別、収入、学歴、結婚歴などです。一方、サイコグラフィック変数には、行動やライフスタイル、趣味、顧客の好きなメディアなどが挙げられます。サイコグラフィック変数は、インタビューやアンケートなどを活用して、データを集めるのが一般的です。ジオグラフィックは都道府県、市区町村、東日本、西日本などエリアの特性で分けます。

セグメンテーションはターゲティングの土台部分を担います。そのため、この段階のセグメント設定が不適切だと、最終的なターゲティングも失敗しやすくなります。 しっかしとしたセグメントを行い、ターゲットに落とし込むと基盤の強いプロモーションが可能になります。

ターゲティング

ターゲティングは前述の通り、セグメンテーションで分類されたグループの中でどのグループに自社商品を販売すると最も利益効率がよいかを考え、メイン顧客を絞り込む作業です。自社の商品特性と各グループの特性を照らし合わせ、自社商品が最も求められている層を見極める必要があります。

もちろん商品を販売した後で、思わぬ顧客のニーズが掘り起こせる場合もあります。たとえば、本来は子供の学習用に開発された家庭用プラネタリウムは本来の想定顧客以上に夜空が好きな大人に受け、ヒーリングアイテムとして人気を博しました。ターゲッティングは、顧客の反応を見ながら適宜見直しを加えるとよいでしょう。

ポジショニング

ターゲッティングで絞り込んだ顧客を分析し、その層に自社商品の魅力や価値をどう訴求するかを決めるのがポジショニングです。同じ商品でも見せ方によって、顧客が受け取る価値が変わります。

わかりやすい例が、無印良品の「体にフィットするソファ」でしょう。顧客のヒアリングを重ねて丁寧に開発した商品にもかかわらず、当初はなかなか売れ行きが伸びない商品でした。しかし、あるブロガーが「人をダメにするソファ」と紹介した途端に、一気に売上が伸び、大ヒット商品に転じました。
商品の質だけではなく、顧客ターゲットにより魅力的に映るようにポジショニングを活用してブランドの価値を高めていく必要があります。

誤りがちなターゲット設定とは

STP分析の土台であり、営業やマーケティングなどさまざまな場面で用いるターゲット設定ですが、本来の狙い通りの適切なターゲッティングは意外と難しいものです。たとえば、誤ったターゲット設定にはどんなものがあるのか以下の3つを使い説明します。

  • 性別・年齢別のみのターゲット
  • あいまいなターゲット
  • 企業の方針を流用しただけのターゲット

性別・年齢別のみのターゲット

ターゲッティングの際に、顧客の年齢や性別は頻繁に用いる要素です。しかし、年齢と性別のみでターゲッティングするとさまざまな問題が生じます。たとえば、ターゲット設定で散見される「20代の若い女性」の事例を考えてみましょう。この層の中には、学生もいれば、社会人もいるでしょう。結婚した人や、すでに子どもを養っている主婦もいるはずです。

「20代の若い女性」だけではターゲットといえません。まだセグメントの段階です。このままでは、顧客のライフスタイルや購買力を推測できず、ターゲットとしては、ほとんど何も決めていない状態に等しいといえます。

  • 顧客の1日はどんな過ごし方なのか?
  • どんなメディアを好んで見るのか?
  • 大切にしている価値観は何なのか?
  • どんなニーズを内在しているのか?

上記のような問いを立てながら、想定している顧客像をより深く理解し、ターゲットをより煮詰めていきましょう。これをペルソナ設定といいます。

オールターゲットやあいまいなペルソナは避ける

ターゲットを決める際にありがちな失敗としてターゲットをいくつも設定したり、先述した年齢・性別だけのセグメント決めのようにぼんやりとした範囲を指定していたり、といったケースがあります。「たくさんの顧客に自社商品を届けたい」という気持ちの表れなのですが、このやり方には多くの問題があります。

最大の問題は、一人ひとりが抱く顧客のイメージのズレが大きくなり、統一感のある施策が打てなくなるということです。たとえば広告で発信しているメッセージと実際の営業活動に齟齬があると、「何をやっているのかよく分からない企業」に終わってしまいます。

たとえば子どもの記念写真文化を世に広めたスタジオアリスは「子どもの写真をキレイに残したい」「子どもと一緒の家族写真を撮りたい」というファミリーにターゲットを絞って、ブランドを構築しました。その結果、一気に知名度を高めてシェアを拡大し、現在では少子化の時代にも関わらず世界進出まで果たしています。

企業の方針をそのまま流用

ターゲッティングでありがちな失敗として、企業が目指しているミッションやビジョンをそのまま現場のターゲッティングに流用する事例があります。たとえば「お客様の健康的なライフスタイルに貢献する」というビジョンを掲げる健康グッズの企業があると仮定します。その場合、顧客ターゲットは「健康的なライフスタイルを求めている人」でいいのでしょうか?

「健康的なライフスタイル」といっても、今もすでに健康に気を配っていてこれからも維持していきたい層と、現状では不健康な生活を送っているからこそ病気の予防を考えて健康を目指したい層とでは、ニーズも訴求ポイントも全く異なります。

もしそのような状態に陥っていたら、商品の強みと顧客の特性をすり合わせながら基本に立ち返って顧客ターゲットを設定し直すとよいでしょう。

戦略的な6Rのフレームワークとは

顧客ターゲットを絞り込めば、顧客の集合体である市場も戦略的に選ぶ必要があります。STP分析のポジショニングをより細かく、戦略的に行いたい場合は、6Rのフレームワークが役立ちます。6Rとは以下の6つの指標です。

  • Realistic scale(有効な規模)
  • Rank(優先順位)
  • Rate of growth(成長率)
  • Rival(競合)
  • Reach(到達可能性)
  • Response(測定可能性)

それぞれ説明しましょう。

Realistic scale(有効な規模)

ターゲティングを行う際、顧客ターゲットだけを追求していると、しばしば市場がニッチ過ぎてビジネスを成り立たせる母数が存在しないことがあります。そのため、市場の規模が有効かどうかは事前に調べる必要があります。

市場規模を知るためには、官公庁や業界団体、民間企業がそれぞれリリースしている調査レポートが役立ちます。レポートがない場合は

  • 想定される顧客数と顧客1人当たりの平均単価を掛け合わせて算出する
  • その市場に参入している企業数と1企業当たりの平均の売上高から算出する
  • 過去の市場規模とそれに相関関係のある指標を目安にする

などの方法があります。市場規模がわかれば、あとは自社がその中で獲得できるシェアを仮定し、自社が目指す売上額の実現可能性を予測します。

Rank(優先順位)

想定される市場で自社商品を展開した時に、顧客から優先的に興味関心を向けてもらえるかどうかも考慮すべき要素です。毎日のように新商品がリリースされている市場では、顧客は刺激に慣れてしまっています。そのため市場に埋没しやすく、なにか話題性や付加価値を持たせない限り、顧客から優先してもらえる可能性は低いと考えられます。合わせて、顧客ターゲットの嗜好が先進的なのか保守的なのかという違いも視野に入れましょう。前者であれば、新商品というだけで顧客からの優先度が高まります。

顧客からの優先順位が高ければ、売上につながるのはもちろん、SNSなどで拡散や周囲への波及効果も期待できます。

Rate of growth(成長率)

これから参入しようとしている市場のライフサイクルも、戦略上重要なポイントです。

  1. これから成長する市場
  2. 現在、急成長している市場
  3. ある程度成長しきって伸び悩む市場
  4. 今後衰退していく市場

ターゲットにしている市場のサイクルが1~4のどのフェーズにあるのか、事前に見極めておく必要があります。市場の成長率のリサーチには、先述した行政・民間の調査レポートを活用するとよいでしょう。

特に資本力が少ないスタートアップは3や4の市場は原則避けるべきです。もし自社商品が3や4の市場に該当するのであれば、見せ方を変えて別市場に持ち込む戦略を立てましょう。1の市場は規模こそ小さめですが、閾値を超えた瞬間2のフェーズに移行するため、急拡大も期待できます。

Rival(競合)

どんな市場を選んでも、必ず競合が存在します。競合他社が圧倒的なシェアを占めているような市場は、一般的に新規参入するメリットが少ないといえます。

代表的な例でいうと、携帯電話のキャリア市場でしょう。ドコモ、au、ソフトバンクの3強が市場のシェアを握っているため、新規参入を許さない状態です。楽天モバイルが2020年4月に新規参入をしたものの、巨額の赤字を生み出しました。

特に自社のリソースが少ない場合、最初は多少規模が小さくても競合他社と共存しやすい市場を目指すべきでしょう。その市場の中で他社と差別化を図り、時に顧客基盤を利用し合う共創関係を築きながら、利益拡大を狙う戦略が有効です、

Reach(到達可能性)

どんなビジネスでも最初は顧客基盤がゼロの状態から始めます。その際に、営業リストを手に入れる方法があるなど、顧客に到達するための手段を用意しておかないと、ビジネスの拡大が困難です。

リアル店舗であれば、オープン前からのDM展開や近所へのあいさつ回りなど、できることはたくさんあります。オンライン展開であれば、サイトのSEO対策を行う、ランディングページを用意して顧客のリストを集める手法が考えられます。オンライン・オフラインともに、広告やテレマーケティングなども有効です。

顧客に到達するまでにかかるコストと売上予測とのバランスも計算した上で、その市場に参入すべきかを考えましょう。

Response(測定可能性)

広告などのアプローチを行う場合、その反応や効果の測定が可能かどうかも市場を検討する際の基準になります。仮に反応や効果を測定できるシステムがあったとしても、それを使いこなせる人材が自社にいなければ、外注してPDCAを回す必要があります。外注分のコストを計算しても、なおそれを上回る売上が期待できるのか、あるいは一定期間赤字を覚悟する計画であれば、想定の売上や利益が出なかった場合に撤退するボーダーラインも決めておくべきでしょう。

仮に反応や効果測定にもとづくPDCAを外注するにしても、外注先に正しい指示をするためには社内の人間をスキルアップさせる必要があります。そのため、ある程度人材が育つまでは、経営陣自らがこういった数値測定を行うケースも珍しくありません。

まとめ

顧客ターゲットの効果的な選定について、ポイントをまとめると以下の3点でした。

  • 顧客ターゲットを捉えるには、STP分析を用い、特にセグメンテーションを丁寧に行うとよい
  • 顧客ターゲットの失敗の多くは、セグメントの誤りがある
  • 顧客の集合体である市場をターゲティングする際は6Rのフレームワークを活用しよう

顧客ターゲットが適切に定まっていなければ、どれだけ時間やコストを投入しても、想定する結果にはつながりません。自社商品の売れ行きが伸び悩んでいる場合やこれから事業をオンライン化するなど新しい市場に参入予定の場合は、ぜひこの記事を参考に顧客ターゲットを見直してみてください。

原稿は「顧客を増やす方程式」に掲載しています。サイトではファンマーケティングBtoBマーケティング新規顧客の獲得差別化などの記事をラインナップしています。

>サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

「この価格で本当にオウンドメディができるんですか?」「サブ丸は安価ですね。コンサルが入るのと比較できませんが、一般的な費用の1/4ぐらいじゃないですか」このサービスをローンチする前に相談したマーケティング&コンサルタント会社の担当者から聞いた言葉です。サブ丸はサービス内容と比較して安価かもしれませんが「私たちは値段を売っているのではない。サービスを提供しているのだ」と信念を持って取り組んでいます。

大企業はその企業に応じたマーケティング予算と手法があり、スタートアップ企業や中小企業、あるいはニッチャーには、それぞれに応じたマーケティングや新規開拓の方法があります。企業の成長過程では、取り組みが異なるのは当然ですし、それを構築することが何より重要です。そのお手伝いをするのが私たちの使命です。そして成長すれば、その取り組みコストは回収できるはずです。サブ丸は年間運用で60万円あまりのコストがかかります。そのコストを回収し、さらなる飛躍をめざす企業にご利用いただきたいと考えています。

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