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起承転結は古い?現代に合った論理構成の考え方

文章構成の基本として誰もが一度は習う「起承転結」。しかし、ビジネスの現場では「古い」「使えない」と言われることも少なくありません。この記事では、なぜ起承転結が現代のコミュニケーションに合わないとされるのか、その理由を解き明かします。そして、現代の主流である「結論ファースト」の考え方と比較しながら、それぞれの長所と短所を整理します。目的に応じて最適な構成を選び、伝わる文章を書くための知恵を学びましょう。

そもそも「起承転結」とは何か?

文章構成の代名詞ともいえる「起承転結」ですが、その本来の意味や役割を正しく理解している人は意外と少ないかもしれません。もともとは漢詩の構成法として生まれたこの型は、物語をドラマチックに展開させるための優れた仕組みを持っています。

なぜこの構成が読者の心を引きつけるのか、その基本構造を再確認することが、現代における上手な使い方を考えるための第一歩となります。

漢詩から生まれた物語の型

「起承転結」は、四行詩である漢詩(絶句)の効果的な構成法として生まれました。それぞれの漢字が持つ役割は以下の通りです。

  • 起:物語の導入部。登場人物や時代背景、状況などを提示し、話を起こします。
  • 承:「起」を受けて、物語を具体的に展開させる部分。大きな変化はなく、穏やかに話を進めます。
  • 転:場面や視点が大きく変わる、物語の山場。読者の予想を裏切るような新しい展開が起こります。
  • 結:物語全体の締めくくり。すべての要素を収束させ、結論や結末を示します。

特に重要なのが「転」の存在です。ここで予期せぬ展開が起こることで、読者はハラハラドキドキし、物語にぐっと引き込まれます。

この流れ全体が、人の感情を揺さぶり、記憶に残るストーリーを生み出すための優れた設計図となっているのです。

なぜ物語やエッセイに向いているのか?

起承転結が物語やエッセイ、体験談といったジャンルと非常に相性が良い理由は、結論が最後まで明かされない構造にあります。読み手は「この後どうなるんだろう?」という期待感を持ちながらページをめくることになります。

ミステリー小説で犯人が最後まで分からないのと同じで、この「未知」の状態が読み進める上での推進力になるのです。特に「転」で視点がガラリと変わることで、単調になりがちな話に刺激が加わり、読者を飽きさせません。

共感や感動、驚きといった感情的な反応を引き出したいとき、起承転結は非常に強力な型となります。個人の体験を語るブログ記事や、聴衆の心をつかみたいスピーチなどでも効果を発揮します。

なぜ「起承転結は古い」と言われるのか?

物語作りには最適な起承転結ですが、なぜビジネスシーンなどでは「古い」「使えない」と評されてしまうのでしょうか。その主な理由は、スピードと明確性が最優先される現代のビジネスコミュニケーションのスタイルと、起承転結の持つ構造的な特徴が合わないためです。

ここでは、起承転結がビジネス文書や実用文において抱える弱点を具体的に見ていきましょう。

結論が最後に来る構造的な問題

起承転結の最大の弱点は、最も重要な「結論」が一番最後にしか出てこないことです。

多忙なビジネスパーソンは、毎日大量のメールや報告書に目を通します。彼らが知りたいのは「で、結局何が言いたいの?」「何をすればいいの?」という結論です。

起承転結で書かれた文章は、結論にたどり着くまでに時間がかかり、読み手に「まだるっこしい」というストレスを与えてしまいます。

Web記事においても同様で、ユーザーは自分の悩みを解決する答えをすぐに求めています。結論がなかなか見えない記事は、即座に離脱されてしまう可能性が高いのです。時間的効率が重視される現代において、この構造は致命的な欠点となり得ます。

「転」が論理のズレを生むリスク

物語を面白くする「転」の部分は、論理的な説明文においては逆効果になることがあります。報告書や企画書で、テーマと直接関係ない話や急な視点の変更が入ると、読み手は「急に何の話?」「本筋からズレている」と混乱してしまいます。

ビジネス文書で求められるのは、A→B→Cと続く一貫した論理の流れです。意図的に話を転換させる「転」は、この一貫性を断ち切り、論理的なノイズ(雑音)と受け取られかねません。

物語ではスパイスとなる「転」も、正確な情報伝達を目的とする文章においては、論理の飛躍や脱線と見なされるリスクをはらんでいるのです。

起承転結でレポートを書いたら怒られたのはなぜ?

もしあなたが起承転結の形式でビジネスレポートを書き、上司から「分かりにくい」と指摘されたとしたら、その原因は明確です。上司が求めていたのは、感動的な「物語」ではなく、事実を端的に伝える「報告」だったからです。

ビジネスにおける報告の基本は、まず何が起きたか、どう判断したかという「結論」を伝え、その後に詳細な経緯や理由を説明する流れです。起承転結で書くと、最も重要な結論や報告事項が一番最後になってしまい、読み手は状況を把握するのに時間がかかります。

このような場合は、「結論ファースト」を基本とするPREP法などを用いるべきでした。目的が「報告・説得」であるならば、それに適した型を選ぶ必要があるのです。

現代の主流「結論ファースト」の考え方

起承転結が抱える課題を克服するために、現代のビジネスやWebライティングで広く採用されているのが「結論ファースト」という考え方です。これは、文章の冒頭で最も伝えたい要点を提示することで、読み手の時間と関心を効率的に掴むための構成法です。

その代表的なフレームワークである「PREP法」を例に、その分かりやすい構造とメリットを詳しく見ていきましょう。

PREP法:結論から始める論理構成

PREP法は、以下の4つの要素の頭文字を取った論理構成の型です。その流れは非常にシンプルで分かりやすいのが特徴です。

P (Point) = 結論:まず、文章全体で最も伝えたい結論や主張を述べます。
R (Reason) = 理由:次に、その結論に至った理由や根拠を説明します。
E (Example) = 具体例:理由を裏付けるための具体的な事例、データ、エピソードなどを挙げます。
P (Point) = 結論(再提示):最後に、改めて結論を述べ、全体を締めくくります。

この「結論 → 理由 → 具体例 → 結論」という流れは、話のゴールが最初から明確なため、聞き手や読み手は安心して内容を追いかけることができます。

起承転結のように「話はどこに向かうのだろう?」と迷うことがなく、一貫した論理で主張が展開されるため、非常に説得力が高まります。

結論ファーストがもたらすメリット

結論ファーストの構成(PREP法など)は、書き手と読み手の双方に大きなメリットをもたらします。特にビジネスシーンでは、その効果は絶大です。

  • 要点が瞬時に伝わる:忙しい相手でも、文章の冒頭を読むだけで最も重要な情報を把握できます。
  • 読み手のストレス軽減:話の全体像が最初に見えるため、内容を理解しやすくなります。
  • 書き手の思考が整理される:最初に結論を決めるため、話が脱線したり、論点がブレたりするのを防げます。
  • 説得力が増す:「結論→根拠」という流れが、主張の論理的な正しさを補強し、相手を納得させやすくなります。

これらのメリットは、情報過多で時間に追われる現代において、円滑なコミュニケーションを行うための不可欠な要素と言えるでしょう。

起承転結と現代的構成の使い分け

「起承転結は時代遅れ」というわけでは決してありません。大切なのは、古いか新しいかではなく、文章の「目的」と「読者」に応じて、最適な武器(構成)を選ぶことです。

ここでは、どのような場面で起承転結が輝き、どのような場面で結論ファーストが適しているのか、具体的な使い分けの基準を整理していきましょう。

構成は「目的」で選ぶ

文章構成を選ぶ際の最も重要な判断基準は、「その文章で何を達成したいのか」という目的です。読者に感動してほしいのか、それとも報告を理解してほしいのか。目的によって選ぶべき型は全く異なります。

目的適した構成具体例
共感・感動・娯楽の提供起承転結小説、エッセイ、体験談ブログ、自己紹介スピーチ、映画のあらすじ
報告・連絡・説得・情報伝達結論ファースト(PREP法など)ビジネスレポート、企画書、業務メール、ニュース記事、Webの解説記事

このように、読者の感情に訴えかけ、物語の世界に引き込みたい場合は「起承転結」が有効です。

一方で、事実を正確かつ迅速に伝え、相手の理解や行動を促したい場合は「結論ファースト」が最適です。常に「この文章のゴールは何か?」を自問自答する癖をつけましょう。

Web記事で起承転結を使うのはNGですか?

一概にNGというわけではありませんが、使い方には工夫が必要です。結論や答えを最後まで隠すような、記事全体を厳密な起承転結で構成するのは避けるべきです。

なぜなら、情報を探しに来たWebユーザーはすぐに離脱してしまうからです。しかし、部分的にストーリーテリングとして活用するのは非常に効果的です。

例えば、記事の冒頭で「〇〇を解決する方法は3つあります」と結論を提示した上で、本文中でその解決策に至った筆者の「失敗談」や「成功体験」を起承転結の形で語る、といった使い方です。このような物語は読者の共感を生み、記事へのエンゲージメント(関心度)を高める効果があります。

結論ファーストの大きな枠組みの中で、スパイスとして起承転結を用いるのが現代的なWebライティングのテクニックです。

まとめ

今回は、「起承転結」が古いと言われる理由と、現代に合った論理構成の考え方について解説しました。結論として、「古い」か「新しい」かの二元論ではなく、目的に応じた使い分けが最も重要です。

  • 起承転結:物語性が高く、読者の感情に訴えかけるのに適した型。ただし、結論が最後に来るため、迅速な情報伝達が求められるビジネスシーンには不向き。
  • 結論ファースト(PREP法など):最初に結論を提示するため、分かりやすく説得力が高い。ビジネスやWebなど、効率と明確性が重視される場面での標準的な型。
  • 最も大切なこと:文章の「目的」と「読者」を常に意識し、それに最も適した構成を選ぶこと。

それぞれの型の特性を理解し、TPOに合わせた最適な構成を選ぶことで、あなたの文章はもっと伝わるようになります。

余談ですが、起承転結の「転」がもたらす面白さは、日本の伝統的な話芸である「落語」にも通じるところがあります。

落語では、噺家が本筋を淡々と語りながら(承)、突拍子もない登場人物や出来事(転)を差し込むことで笑いを生み、最後に「サゲ(オチ)」で見事に話を締めくくります(結)。

この予期せぬ展開による驚きと、それがきれいに収束する快感は、まさに「転」の妙技と言えるでしょう。人を惹きつける物語の構造は、時代や形を変えながら、今も私たちの文化の中に深く根付いているのですね。

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「この価格で本当にオウンドメディができるんですか?」「サブ丸は安価ですね。コンサルが入るのと比較できませんが、一般的な費用の1/4ぐらいじゃないですか」このサービスをローンチする前に相談したマーケティング&コンサルタント会社の担当者から聞いた言葉です。サブ丸はサービス内容と比較して安価かもしれませんが「私たちは値段を売っているのではない。サービスを提供しているのだ」と信念を持って取り組んでいます。大企業はその企業に応じたマーケティング予算と手法があり、スタートアップ企業や中小企業、あるいはニッチャーには、それぞれに応じたマーケティングや新規開拓の方法があります。企業の成長過程では、取り組みが異なるのは当然ですし、それを構築することが何より重要です。そのお手伝いをするのが私たちの使命です。そして成長すれば、その取り組みコストは回収できるはずです。サブ丸は年間運用で60万円あまりのコストがかかります。そのコストを回収し、さらなる飛躍をめざす企業にご利用いただきたいと考えています。

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