顧客のランク分け方法

顧客のランク分け方法とアプローチのコツ

顧客のランク分け方法
顧客のランク分けで投入できる資源をうまく分割しましょう。

はじめに

会社の売上や収益を安定させるためには、顧客の管理が不可欠です。経営戦略にありがちな失敗として、全ての顧客に平等なサービスを提供しようと考えるあまり、リソースが分散してしまい、重要な顧客を伸ばしてしまうことがあります。企業経営を安定させるために必要な顧客のランク分けとそれぞれのポイントについて今回は解説します。

顧客のランクとは

多くの企業が、実は顧客を明確にランク分けしています。なぜなら、顧客のランクを決めておくと、効果的なマーケティング施策が打ち出しやすくやすくなるからです。

ヒト・モノ・カネといった企業のリソースは有限であり、マーケティング戦略を立てる際には優先順位を考えてリソース配分を決める必要があります。顧客のランク分けは、その優先順位の判断に役立ちます。

パレートの法則にあるように、優良顧客と呼ばれる2割の顧客が企業全体の売上の8割を生み出しているといわれています。売上割合の大きい顧客に対して、リソースを多めに割くのは当然の施策といえます。

ただし、顧客のランク分けは手段であって、ゴールではありません。大切なのは、ランク分けをもとに下記のような目的を達成することです。

  • 顧客単価を増やす
  • 顧客の購入頻度を増やす
  • より多くの新規顧客を獲得する

ABC管理とは

顧客のランク分けには様々な方法がありますが、その一つがABC管理です。企業側からたとえば次のような基準をもとに、顧客にA・B・Cのラベルを貼って管理します。

  • A:上位売上20%
  • B:中位30%
  • C:下位50%

ABC管理の際に特に重視すべき層は、Aの優良顧客です。明確にランク分けした上でAの顧客を優遇し、他社への離脱を防ぐことで企業の売上が安定します。

Bランクの顧客は自社のファンになりつつある層といえるでしょう。あるいはすでにファンになっているものの、提案不足で売上が伸びていない場合も考えられます。Aの顧客も必ず新陳代謝が起きるため、未来のA顧客として育成しましょう。

Cの顧客に対しては、リソースを極力割かずに対応していきましょう。C層の顧客は全体の50%を占めるにもかかわらず、わずか5%程度の売上しか生み出しません。いくらリソースを割いても、その分のリターンが見込めないため、最低限のコストで維持を図りましょう。

RFM分析による顧客のタイプ分けとは

RFM分析とは、次の3つの基準で顧客を区分する方法です。

  • Recency(最終購買日):最終購買日が現在に近いほど優良顧客
  • Frequency(購買頻度):購買間隔が短い、購買回数が多いほど優良顧客
  • Monetary(累計購買金額):現在までの累計購買金額が多いほど優良顧客

RFM分析の結果にもとづいて、顧客をランク分けしてもよいでしょう。

デシル分析による顧客のタイプ分けとは

デシル分析とは、顧客からの購入金額を集計し、顧客をランク分けするための分析法です。この分析法を活用すると、高い収益性を確保するマーケティング施策を実施できます。顧客購入データさえあれば着手できるため、RFM分析よりもハードルが低めです。

会員ランク制とは

会員ランク制とは、店舗やサービスの利用状況に合わせて顧客をランク分けする手法です。購入金額に応じてブロンズ・シルバー・ゴールドという風にランクアップしていく仕組みは、ECサイトやリアル店舗など業界問わずさまざまな場面で使われています。リアル店舗の場合はポイントが貯まる会員カードを用意したり、会員アプリを準備したりといった施策を用意するケースが多いようです。

会員ランクを用意すると、顧客自身に「上得意である」と認識してもらうことができ、購買意欲を高められるほか、特典などを工夫することで再来店の促進やリピート率向上も見込めます。ランクアップに応じたお得感の演出を心がけましょう。

法人営業のランク分けとは

法人営業の場合も、顧客のランクによってアプローチを変化させる必要があります。そうすることで営業効率が上がり、売上や収益が高まるからです。対法人の場合、顧客のランク付けの基準として次の5項目がよく用いられます。

  • 企業規模
  • 年間予算
  • これまでの取引実績
  • 直近の取引時期
  • コネクション度(上層部同士のつながり)

これらの項目を元に、顧客の過去実績と今後の拡大余地を検討します。

法人顧客のランク分け

顧客の過去実績と今後の拡大余地を軸に考えると、法人顧客は以下の4ランクに区分できます。

  1. 取引実績もあり拡大余地もある顧客
  2. 取引実績はないが拡大余地のある顧客
  3. 取引実績はあるが、拡大余地のない顧客
  4. どちらもない顧客

このうち、法人営業が最も力を注ぐべき顧客は2です。1を重点的にアプローチしているケースが多いのですが、永続的に関係が続く保証はないため、2の顧客を育成していくのが理想的といえます。3についてはコストを抑えつつ、購入後のアフターフォローなどを中心に行うとよいでしょう。4の顧客に割くリソースは最小限にし、メルマガなど省コストなアプローチに絞りましょう。

顧客のランクアップ戦略とは

いくら新規顧客の集客ができても、既存顧客の離脱率が高いと売上や収益が安定しません。企業経営を安定させるには、見込み顧客を育成し、最終的には優良顧客へとランクアップさせていく必要があります。

顧客のランクアップに求められる施策

見込み顧客から商品の購入、そしてリピート顧客へとランクアップさせていくために必要なのは、次の施策2点です。

  • 顧客とのコミュニケーション量を増加させる
  • 自社の背景などを積極的に自己開示する

コミュニケーション量の増加に関しては、質よりも量が重要です。タッチポイントを見直し、接触頻度を増やすことで、顧客との関係を改善できます。さらに会社や店舗の背景情報や、商品を作っているプロセスやそこに込められた想い、会社の理念やビジョンなどを自己開示すると、顧客からの信頼を得やすくなります。

コミュニケーション量の増加と自己開示を両立できる施策として、非常に効果的なのが会員制サイトです。代表的な事例が、ソニー損保が用意しているコミュニケーションサイトでしょう。顧客からの声を吸い上げる役割に加え、コミュニケーション頻度の向上や自己開示率アップの効果もある優れた取り組みです。

顧客のランク別アプローチとは

顧客のランクによって、適切なアプローチは異なります。たとえば顧客回数に応じて次の2ランクに分類すると、重視すべきポイントが違います。

  • 商品を初めて購入した顧客
  • リピート購入をした顧客

商品を初めて購入した顧客へのアプローチ

商品を初めて購入した顧客は、お金を支払った直後に後悔めいた感情を抱きやすいものです。こういった現象をバイヤーズリモースといいます。バイヤーズリモースを防ぐためには、顧客の目線に立って「自社商品を買ってよかった」と納得できる情報をきちんと提供するとよいでしょう。こうした配慮の有無が初回客の信頼度や安心度に大きく影響します。

リピート購入をした顧客へのアプローチ

2回目以降の商品購入をしてくれたリピート顧客に対しては、商品だけではなく、自社やブランドに対する愛着を増やすような働きかけが必要です。企業やブランドのファンになった顧客はロイヤルティが高くなり、仮に価格面や機能面で優位な競合商品が市場に出てきても、離脱しにくくなります。会社の自己開示を増やし、顧客からの親近感を得ていきましょう。また、ある程度の信頼関係を顧客と構築できたら、ニーズに合ったクロスセルやアップセルを行い、満足度を高めながら顧客単価を増やしていきましょう。

まとめ

マーケティング戦略における顧客のランク分けについて、重要なポイントをまとめると以下の通りです。

  • 顧客ランクを設定することで、営業アプローチやマーケティング戦略の効率を高めることができる
  • 顧客をランク付けする基準としては、ABC管理やRFM分析、デシル分析などがある。対法人の場合は、取引実績と拡大余地が基準になる
  • 顧客のランクに応じてアプローチを変えることで、企業の収益性が向上する

目的を持って顧客のランク分けを行うと、より効果的なマーケティング戦略を展開しやすくなります。今回の記事を参考に、顧客のランクを整理してみることをおすすめします。

>サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

「この価格で本当にオウンドメディができるんですか?」「サブ丸は安価ですね。コンサルが入るのと比較できませんが、一般的な費用の1/4ぐらいじゃないですか」このサービスをローンチする前に相談したマーケティング&コンサルタント会社の担当者から聞いた言葉です。サブ丸はサービス内容と比較して安価かもしれませんが「私たちは値段を売っているのではない。サービスを提供しているのだ」と信念を持って取り組んでいます。

大企業はその企業に応じたマーケティング予算と手法があり、スタートアップ企業や中小企業、あるいはニッチャーには、それぞれに応じたマーケティングや新規開拓の方法があります。企業の成長過程では、取り組みが異なるのは当然ですし、それを構築することが何より重要です。そのお手伝いをするのが私たちの使命です。そして成長すれば、その取り組みコストは回収できるはずです。サブ丸は年間運用で60万円あまりのコストがかかります。そのコストを回収し、さらなる飛躍をめざす企業にご利用いただきたいと考えています。

CTR IMG