ロイヤルカスタマー

ロイヤルカスタマー戦略の事例とマーケティング手法

ロイヤルカスタマー
ロイヤルカスタマー戦略を導入する

はじめに

ロイヤルカスタマーを創出するためには、顧客のロイヤルティを向上させる必要があります。そのためには的確な戦略が必要です。また消費者が持つデバイスが進化したことによってマーケティング戦略も重要になっています。今回は、ロイヤルカスタマーを創出するための戦略とマーケティング手法について参考事例を交えながらご紹介します。

ロイヤルカスタマーとは ?

ロイヤルカスタマーとは、既存顧客の中でも「企業のブランドや商品・サービスに忠誠心が高い顧客」のことです。ロイヤルカスタマーは、商品・サービスに愛着心を持っているため価格や利便性などで購買行動を左右されず、定期的に購入してくれます。さらに商品やサービスの良さを周囲の人々に口コミで広げてくれます。ロイヤルカスタマーが増加すれば顧客の離反率を下げ、リピート率向上、コスト削減にもつながります。コスト面においては、一般的に既存顧客にかかるコストは新規顧客にかかるコストの1/5といわれており、ロイヤルカスタマーが増加することで収益の向上が見込めます。企業にとって、ロイヤルカスタマーを創出するということは重点課題です。

ロイヤルカスタマーサービスの事例

最近は競合他社との差別化が難しくなり、さまざまな企業がロイヤルカスタマーの創出をもくろみ、独自の戦略で挑戦しています。今回は特徴のある5つの企業の取り組みをご紹介します。ぜひ、参考にしてみてください。

ソニー損保

ソニー損保では、「お客さま本位の業務運営方針」を打ち出し、顧客ロイヤルティ向上に取り組んでいます。その取り組みは、顧客一人ひとりの声に真摯に耳を傾け改善し、顧客ロイヤルティを高めようと対策を実施しています。例えば、顧客から寄せられた声と改善状況をまとめた「コエキク改善レポート」では、実際の顧客の声に対し、「改善しました」「検討します」「申し訳ございません」で答え、その改善状況を公開しています。その他にも、「コエキク質問箱」「みんなの満足度」「保険なるほど知恵袋」など顧客のためになる施策に取り組んでいます。ご紹介した施策は短期的な費用対効果を見ればマイナスですが、ソニー損保は、長期的な顧客との関係構築が企業の発展につながるという判断から、このような施策を進めています。

ハーレーバビッドソンジャパン

ハーレーダビッドソンでは、顧客ロイヤルティを向上させるために、顧客のライフスタイルに注目し施策を講じています。例えば、ハーレーは趣味のバイクとして定義し、自由にカスタマイズができるように非正規でしかなかったカスタムパーツを正規で製作をしたり、女性ライダー向けのライダージャケットやシャツなどを作り、ファッションショーを開催しています。また、顧客のライダーだけでなく非ライダーである家族まで楽しめるイベントを行ったりして、ハーレーダビッドソンのあらゆる製品や体験を通して顧客に楽しんでもらうように取り組んでいます。その結果、市場規模が縮小する中、毎年新規の顧客を開拓し、約13%しかなかった市場シェアを37%まで引き上げに成功しています。

スターバックス

スターバックスでは、顧客ロイヤルティの向上のためにWebやアプリを使い「デジタル上でもお客様の体験をより豊かにする」ことを目指しています。その代表的な施策が「STARBUCKS REWARDS(スターバックスリワード)」と呼ばれるロイヤルティプログラムです。その仕組みは購入金額に応じて「Star」が付与され、集めたStarを電子クーポンと交換しドリンクの購入などに使えます。また、新商品の先行購入や会員限定のイベントなどにも参加できるなどの特典も用意されています。現在のユーザー数は800万人以を超えており、成功事例のひとつといえます。他にもWebやアプリを使った「マイストアパスポート」や「Starbucks eGift 」などのコンテンツを展開しています。

ナノユニバース300

ナノ・ユニバースでは、顧客ロイヤルティ向上のために、ECサイトを社長自ら陣頭指揮を取ってすべてロイヤルカスタマー視点でWeb上でのリッチな体験、検索の利便性、リコメンドの見やすさにこだわり、システム・サイト改修を行いました。また、2020年から開発プロジェクトとして「ナノコ(nanoco)」を始動しており、膨大なアンケートリサーチや数回繰り返された座談会などで顧客の生の声を聞き、作り手の企画チームと売り手の販売員、買い手の顧客の目線を合わせて「今すぐ着たくなる」洋服作りに取り組んでいる。そして、最近では、オンラインの顧客行動データと店舗在庫データを組み合わせた新たな顧客体験価値の開発が進められており、タッチポイントをつなげる戦略として現在、注目されています。

高島屋

髙島屋では、顧客ロイヤルティ向上のために2017年10月9日から「タカシマヤプラチナデビットカード」を導入しています。本カードは、申込制の高島屋グループの最上級カードで、クレジットカードではなくデビットカードですが、高島屋の優待サービス、Visaプラチナカード特典、ソニー銀行のVisaブランド搭載型キャッシュカード「Sony Bank WALLET」が一体となったプラチナカード相当のサービスが付帯しているユニークなカードです。年会費は30,000円と安くはないですが、上記の特典以外にもさまざまな特典が受けられます。例えば、JTBや帝国ホテル、ホテルオークラなどと提携しており、カードを持っている顧客のための特別な旅行プランやレストランの特別コースなどが用意されています。ワンランク上のサービスを受けることができます。

ロイヤルカスタマー マーケティング とは

多くの企業が「ロイヤルカスタマー」の存在に着目し、その創出に力を入れています。ロイヤルカスタマーの創出には顧客ロイヤルティを高めることが必須です。そこで顧客ロイヤルティを高めるために必要な3つのステップを紹介します。

  • ロイヤルカスタマーを設定する
  • 顧客との接点を増やす
  • 顧客分析を行う

3つのステップに沿って、自社の取り組みをチェックしてみてください。

ロイヤルカスタマーを設定する

ロイヤルカスタマーの具体的な定義は、各企業の製品・サービスごとに異なります。そのため「自社製品・サービスのロイヤルカスタマーは誰なのか」「自社ではどんな顧客を大切にしたいか」を設定します。例えば、「3カ月に1回購入する顧客」や「1カ月に4回来店する顧客」などです。さらに、もっと具体的に設定しても良いかもしれません。設定したロイヤルカスタマーは全社員がわかるように明確することが必要です。そうすることで一貫したロイヤルカスタマー戦略を実現できます。

顧客との接点を増やす

ロイヤルカスタマーの設定ができたら、次は顧客接点(タッチポイント)を増やすための検討をします。その検討するときには、カスタマージャーニーマップを使います。カスタマージャーニーマップとは、顧客購買行動を正確に予測して、可視化する方法です。顧客と企業とのタッチポイントを可視化することで、「顧客が興味を持ちそうなポイント」や「顧客が離反しそうなポイント」などを探り、どのポイントで顧客と接触するか検討し増やします。

顧客分析を行う

タッチポイントを増やしたら、顧客の分析を行います。設定したロイヤルカスタマーが顧客の中のどの程度を占めていて、どのように行動しているのか、購入回数や購入金額はどのくらいなのかなどを分析することで現状を把握します。そして、定期的に分析しながらPDCAを回して、改善をはかります。ロイヤルカスタマーの定義も、定期的に見直し、ロイヤルティ向上のための施策がきちんと収益向上に結びついているのかをチェックも重要です。

ロイヤルカスタマーを創出するマーケティング 手法 

ロイヤルカスタマーの創出には、顧客のロイヤルティを高めることが重要です。ロイヤルティを高めるための手法はいくつか存在します。そのうちの代表的な手法を7つ紹介します。

  • CRM
  • CEM
  • one to one
  • アンバサダーマーケティング
  • MA
  • SFA
  • アプリの活用

まずは、自社の現状と見比べ、必要な手法を試してみてください。

CRM

CRM(顧客関係管理)とは「Customer Relationship Management」の略称です。CRMでは、顧客の連絡先や購入履歴、メールのやりとり、商談状況などを一元管理します。そうすることで自社と顧客との関係性やコミュニケーション、自社の従業員と顧客との関係などを一元的に把握します。その結果、全社で顧客をサポートできるようになり、その結果、ロイヤルティ向上によりロイヤルカスタマーの創出につながります。

CEM

CEM(顧客経験管理)とは、「Customer Experience Management」の略称です。ロイヤルカスタマーの創出を目的として、顧客が商品・サービスを購入するプロセスや利用シーンを想定しながら、そこに価値のある経験や体験を付け加えることです。最高の顧客体験をどのように生み出し、どのように顧客からの信頼感を得るかがポイントです。企業として、顧客にどのような体験を提供できているのだろうかと検証し、改善することが必要です。

one to one

One to One マーケティングとは、顧客一人ひとりの購買傾向からニーズを読み取り、個々に対してそれぞれアプローチを変える販促活動のことです。具体的な手法としては、レコメンデーション、リターゲティング広告、LPOなどがあります。これまでの画一的なマーケティングやセールスではなく、個々の顧客に最適なアプローチが必要です。個々のニーズに合わせてアプローチするので顧客ロイヤルティを高めるとともに、離脱を防ぐことにもつながります。

アンバサダーマーケティング

アンバサダーマーケティングとは、自社の商品・サービスの熱心なファンを「アンバサダー(Ambassador)」として起用し、自社商品の宣伝を行ってもらう手法のことです。企業のSNSプロモーションの一貫として、商品・サービスの熱心なアンバサダーを募集し、感想を含む投稿を定期的に行ってもらう仕組みです。成功事例でいえばネスカフェのネスカフェアンバサダーです。ネスカフェはアンバサダーマーケティングを採用し、アンバサダーをSNSなどで募集し、10万人ものファンを獲得しました。

MA

MAとは、「Marketing Automation」の略称です。顧客や見込み客の行動を記録し、「最適な情報」を「最適な方法」で「最適なタイミング」に届けるためのマーケティングプロセスを自動化する手法・ツールのことです。MAは、導入に手間やコストがかかりますが、ターゲットの属性や関心度合いに応じて、最適なアクションを起こせることで、マーケティング・営業業務の効率化をはかれるだけではなく、成約率のUPにもつながります。

SFA

SFAとは、「Sales Force Automation」の略称です。営業プロセスや情報を可視化し自動分析することで、管理業務の効率化と営業効果の向上を図ることができる営業支援システムです。主に案件管理、営業プロセス管理、予実管理、商談フロー管理などができ、情報を管理、共有できるようになります。情報共有ができるようになることで、組織的な活動ができるようになり、高いレベルで均一な顧客対応を目指せます。また、ロイヤルカスタマー獲得のためのノウハウも共有できます。

アプリの活用

アプリの導入はロイヤルカスタマーの創出・育成に非常に有効な手段です。アプリの機能を活用すればさまざまな手法をアプリ一つで賄えることがメリットです。例えば、アプリの「プッシュ通知」機能を使い、店舗のセール情報やクーポン情報を配信することができますし、「スタンプ機能」で来店するごとにお得感に感じてもらうことも可能です。また、お客さまが使い続けるほどメリットが生まれる施策などを講じていれば、長期的に利用してくれるため、結果、ロイヤルカスタマーの創出につながります。

ロイヤルカスタマー戦略で重要なポイントとは

これからの企業は、計画的にロイヤルカスタマーを増やし、育てていく戦略を成功させることが重要な課題です。そこでロイヤルカスタマーに関する戦略において重要なポイント4つ紹介します。

ロイヤルカスタマーを育成する

ロイヤルカスタマーの育成によって、売上向上やコスト削減、新規顧客獲得などが見込めます。そのためのロイヤルカスタマーを育成する方法には大事なポイントは3つありますので紹介します。

  • 接触回数を増やす

増やすための手法としてはメルマガや対面などがあり、繰り返し適切な情報をもって接触することで好感度も上げる効果があります。

  • 定期的な情報発信

情報配信する場合は、新商品の情報を発信するだけではなく、自社の商品へのこだわりや企業方針、競合他社との違いといった情報を提供することが大切です。

  • 特別感を持ってもらう

特別感を感じてもらうために、一般の顧客との差別化する必要です。そのためには、ロイヤルカスタマー限定の商品・サービスを用意したり、限定会員サイトやSNSグループを作成したりといった方法が有効的です。

ロイヤルカスタマー育成のシナリオを作成する

ロイヤルカスタマー育成には、リード(見込み顧客)の段階からアプローチすることが大切です。その手法としてリードナーチャリング(Lead Nurturing)が有効的です。リードナーチャリングを成功させるためには、リードの行動や状態別に適切なシナリオを設計していくことが重要といわれています。そのシナリオの作成方法は3つの行程を経て作成します。

  • ターゲットとなるリードの情報収集する
  • カスタマージャーニーマップの作成する
  • リードの行動をシミュレーションする

つまり、リードに関する情報を収集し、購入までに至る購買行動を予測して可視化します。そして可視化した内容をシミュレーションすることでリードのニーズが明確になり、どのように行動すれば良いか適切なアプローチ方法が見えてきます。

ロイヤルカスタマーを把握する(NPS)300

ロイヤルカスタマーを把握するために使用されているのがNSPです。NSPとは「Net Promoter Score」の略称です。顧客ロイヤルティの企業やブランドに対する愛着・信頼の度合いなどを数値化する指標です。その調査方法はいたって簡単で顧客に「あなたは○○を友人や知人に、どの程度すすめたいと思いますか?」と質問し、0〜10点で評価してもらいます。その中で0〜6点を付けた人を「批判者」、7・8点を付けた人を「中立者」、9・10点を付けた人を「推奨者」と分類します。NPSは「すすめたいと思いますか?」という質問を通して、「他者にすすめる」という未来の行動を点数化するため、今後の収益性と連動して分析できるのが特徴です。

ロイヤルカスタマーの囲い込みをする300

顧客の囲い込みとは、獲得した顧客の離脱や流出を戦略的に食い止めることです。企業にとって、顧客の囲い込みはロイヤルカスタマーを増やすためにも重要な課題です。囲い込みといっても獲得した顧客を単に放置しておくという意味ではありません。囲い込んだ顧客には商品・サービスを購入すること、自社と付き合うことのメリットを深く理解してもらう必要があり、手法として、定期的なメルマガやSNSによる情報配信を、購入後のアフターケアのサービスなどがあります。顧客の囲い込みを成功させるためには、個々の顧客に対するきめ細かい管理が必要不可欠です。しかし、膨大な情報管理は人の手で行うには限界があるため、SFAやCRMと呼ばれるツールの導入も検討する必要があります。

まとめ

ロイヤルカスタマーを創出するためについて、ポイントは以下のとおりです

  • まずは、他社事例を見て、できるところから始める
  • ロイヤルティを向上させるためには「ロイヤルカスタマーを設定する」「顧客との接点を増やす」「顧客分析を行う」の3つのステップが重要です
  • ロイヤルカスタマーを創出するマーケティング手法はいろいろとあるが、まずはCRM、CEMから行うことをお勧めします。
  • ロイヤルカスタマー戦略を成功させるためには、ロイヤルカスタマーを計画的に増やし、育成することが重要である。

ロイヤルカスタマーを創出することができれば、売上の安定が見込めるだけでなく、コスト削減にもつながります。ロイヤルカスタマーを増やすためには自社にあった施策が必要です。今回、紹介した他社事例を参考にしながら、あなたの会社に合う施策にチャレンジしていきましょう。

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サブ丸はスタートアップ企業やニッチャー向き

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大企業はその企業に応じたマーケティング予算と手法があり、スタートアップ企業や中小企業、あるいはニッチャーには、それぞれに応じたマーケティングや新規開拓の方法があります。企業の成長過程では、取り組みが異なるのは当然ですし、それを構築することが何より重要です。そのお手伝いをするのが私たちの使命です。そして成長すれば、その取り組みコストは回収できるはずです。サブ丸は年間運用で60万円あまりのコストがかかります。そのコストを回収し、さらなる飛躍をめざす企業にご利用いただきたいと考えています。

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