
BtoBビジネスにおいて、顧客の成功事例は、製品やサービスの信頼性・効果を証明する上で非常に強力なマーケティングツールとなります。しかし、多忙な顧客に取材を依頼し、快諾を得ることは容易ではありません。本記事では、顧客に気持ちよく取材協力してもらうための依頼メールのテンプレートと、承諾率を高めるための具体的なコツを解説します。
BtoB事例取材依頼メールの基本構成
効果的な依頼メールは、以下の要素で構成されます。
| 要素 | 説明 |
| 件名 | 「【株式会社〇〇】〇〇様 事例取材ご協力のお願い」のように、誰からの何の依頼か一目でわかるようにする。 |
| 宛名 | 会社名、部署名、役職、氏名を正確に記載する。 |
| 挨拶と自己紹介 | 誰が、どのような関係で連絡しているのかを明確にする。 |
| 依頼の背景と目的 | なぜ取材を依頼したいのか、その背景と目的を丁寧に説明する。 |
| 顧客への提供価値(メリット) | 取材に協力することで、顧客にどのようなメリットがあるのかを具体的に提示する。 |
| 取材内容の詳細 | 取材の日時、場所、所要時間、形式、質問内容の概要などを伝える。 |
| 相手の負担を軽減する配慮 | 事前準備の有無、公開までの流れ、確認・修正の機会があることなどを伝え、相手の不安や手間を最小限にする配慮を示す。 |
| 複数の選択肢の提示 | オンライン、対面、書面など、複数の取材形式を提案し、相手が選びやすいようにする。 |
| 結びの言葉 | 協力への期待と感謝の意を伝える。 |
| 署名 | 会社名、部署名、氏名、連絡先を記載する。 |
【テンプレート】BtoB事例取材依頼メール
件名:【株式会社〇〇】「(製品・サービス名)」導入事例取材ご協力のお願い
株式会社△△
〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。
株式会社〇〇の〇〇です。
この度は、貴社における弊社サービス「(製品・サービス名)」のご活用状況について、ぜひお話を伺いたく、ご連絡いたしました。
(導入の背景や成果などを簡潔に記載し、なぜ貴社に取材したいのかを説明する)
例:〇〇様が「(製品・サービス名)」をご導入後、〇〇という課題を解決し、〇〇の成果を達成されたと伺っております。同様の課題を抱える多くの企業様にとって、貴社の取り組みは大変貴重な学びになると確信しており、ぜひその成功事例をご紹介させていただきたく存じます。
取材にご協力いただいた暁には、以下のメリットをご提供いたします。
•貴社ウェブサイトへの被リンク設置によるSEO効果
•弊社メディア(月間〇〇PV)での貴社サービス・取り組みのPR
•取材記事の二次利用(貴社ウェブサイトや採用活動などでのご活用)
取材の詳細は以下の通りです。
•所要時間:約60分
•形式:
•オンライン会議(Zoomなど)
•貴社へご訪問しての対面取材
•書面でのご回答(ご都合の良い方法をお選びいただけます)
•主な質問内容:
•導入前の課題
•導入の決め手
•導入後の効果や変化
•今後の展望 など
もちろん、公開前には貴社に原稿をご確認いただき、ご納得いただいた上で掲載を進めさせていただきます。万が一、公開が難しい情報が含まれる場合は、遠慮なくお申し付けください。
ご多忙の折、大変恐縮ではございますが、ご検討いただけますと幸いです。
以下の日程でご都合の良い日時をいくつかお教えいただけますでしょうか。
(候補日を3つほど提示)
•〇月〇日(〇)〇時~〇時
•〇月〇日(〇)〇時~〇時
•〇月〇日(〇)〇時~〇時
上記日程でのご調整が難しい場合は、お気軽にご希望の日時をお知らせください。
何卒、よろしくお願い申し上げます。
株式会社〇〇〇〇部 〇〇 〇〇
〒123-4567東京都〇〇区〇〇1-2-3
TEL: 03-1234-5678
Email: example@example.com
【シーン別】そのまま使える!事例取材の依頼メール文面テンプレート
ここでは、状況に合わせて使い分けられる3つの基本テンプレートを紹介します。コピー&ペーストして、自社や顧客の状況に合わせて微調整して活用してください。
1. 標準的な事例取材依頼テンプレート
最も汎用性が高く、信頼関係ができている顧客に対して有効な文面です。
件名:【ご協力のお願い】貴社導入事例の取材・掲載に関するご相談(株式会社〇〇)
株式会社〇〇 〇〇部 〇〇様
いつもお世話になっております。 株式会社〇〇(自社名)の〇〇でございます。
貴社におかれましては、弊社サービス「〇〇」をご活用いただき、誠にありがとうございます。 先日の定例会にて、〇〇の導入により〇〇(具体的な成果)が出ていると伺い、弊社一同大変嬉しく思っております。
さて、本日は貴社の素晴らしいお取り組みと成果を、ぜひ「導入事例」としてご紹介させていただきたくご連絡いたしました。
貴社のような先進的な活用事例は、同じ悩みを持つ多くの企業様にとって非常に有益な指針になると確信しております。また、弊社サイトでの掲載を通じて、貴社の先進的な取り組みを広く社会へ発信する一助となれば幸いです。
つきましては、下記の通りオンラインまたは対面での取材をお願いしたく存じます。
■取材概要 ・取材内容:〇〇導入の背景、選定理由、導入後の効果など ・所要時間:1時間程度 ・形式:オンライン(Zoom/Teams等)または貴社ご指定の場所 ・公開先:弊社公式WEBサイト、営業資料等
■ご掲載までの流れ
- 取材(1時間)
- 弊社にて原稿作成(1〜2週間)
- 貴社にて原稿・写真のご確認
- 公開(修正等のご要望には柔軟に対応いたします)
ご多忙中とは存じますが、〇月〇日(〇)までの間に一度、ご検討状況をいただけますと幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
2. 特に関係が深い・重要顧客への依頼テンプレート
営業担当者から個人的なメッセージを添えて送る場合や、よりエモーショナルなアプローチをしたい場合に適しています。
件名:〇〇様、ぜひ貴社の成功ストーリーをお聞かせいただけませんか?
株式会社〇〇 〇〇様
いつも大変お世話になっております。 〇〇(自社名)の〇〇です。
先日はお忙しい中、〇〇の件で貴重なお時間をいただきありがとうございました。 〇〇様から「導入後、現場の工数が〇%削減された」というお話を伺った際、私自身も自分のことのように感動いたしました。
その際のお話を、ぜひ弊社の「成功事例」として形に残させていただけないでしょうか。
〇〇様が直面された課題をどのように乗り越えられたのか、そのプロセスは他の多くのお客様にとっても大きな励みになるはずです。 また、微力ながら弊社サイトでのご紹介を通じて、〇〇様の専門性や貴社の革新的な社風をPRさせていただく機会になればと考えております。
詳細については、〇〇様の業務に一切の支障が出ないよう、柔軟に調整させていただきます。 改めて私からお電話でもご説明させていただきますが、まずはメールにてご相談申し上げます。
ご検討のほど、心よりお願い申し上げます。
3. 新規導入直後・早い段階での依頼テンプレート
導入直後の「熱量が高い」時期に依頼する場合の文面です。
件名:弊社WEBサイトへの貴社名・ロゴ掲載および取材のご相談
株式会社〇〇 〇〇様
いつも大変お世話になっております。 株式会社〇〇の〇〇でございます。
この度は、弊社サービス「〇〇」をご導入いただき、誠にありがとうございます。 無事に稼働を開始されたと伺い、安心いたしました。
本日は、今後のパートナーシップの強化も兼ねまして、弊社サイト内での「導入企業様一覧」への貴社ロゴの掲載、および将来的な取材のご相談をさせていただきたくご連絡いたしました。
貴社のような業界大手企業様に弊社サービスを選んでいただいたことは、私共にとっても大きな誇りでございます。 ぜひ、まずは「導入速報」としてのロゴ掲載からお願いできればと考えております。
もちろん、具体的な成果が出る数ヶ月後に改めてお話を伺う形でも構いません。 まずは貴社のご意向を伺えますと幸いです。
今後とも末永いお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。
顧客に快諾してもらうための5つのコツ
1. メリットを具体的に提示する
取材は顧客にとって時間的コストがかかるものです。「自社の宣伝になる」という漠然としたメリットだけでなく、「貴社サイトへの被リンクによるSEO効果」「弊社メディアでのPR効果」「記事の二次利用権」など、具体的で魅力的なメリットを提示しましょう。
2. 依頼の背景と目的を明確に伝える
なぜ他の顧客ではなく、「あなた」の会社に依頼したいのか、その理由を具体的に伝えましょう。「〇〇という素晴らしい成果を出されている貴社の事例は、多くの企業の参考になる」といったパーソナルなメッセージは、相手の「協力したい」という気持ちを引き出します。
3. 相手の負担を最小限に抑える配慮を示す
多忙な担当者の手間をいかに軽減できるかを伝えることが重要です。「所要時間は60分程度」「事前準備は不要」「公開前に必ず内容を確認・修正いただける」といった一言があるだけで、相手は安心して取材に応じやすくなります。
4. 複数の選択肢を用意する
取材形式を一つに限定せず、オンライン、対面、書面回答など、複数の選択肢を提示することで、相手の都合に合わせやすい柔軟な姿勢を示せます。これにより、「この形式なら対応できる」と前向きに検討してもらえる可能性が高まります。
5. パーソナライズされた内容にする
一斉送信のような定型文ではなく、顧客の導入背景や成果に具体的に言及することで、「自社をよく理解してくれている」という信頼感が生まれます。手間はかかりますが、一社一社に合わせた丁寧なアプローチが、結果的に承諾率を大きく向上させます。
まとめ
BtoBの事例取材は、顧客との良好な関係があってこそ実現します。今回ご紹介したテンプレートと5つのコツを活用し、相手への感謝と敬意を忘れずに、丁寧なコミュニケーションを心がけることで、きっと顧客はあなたの「仲間」として、快く協力してくれるはずです。
FAQ(よくある質問)
Q1. 取材謝礼(ギフト券など)は用意すべきですか?
BtoBの場合、金銭的な謝礼よりも「事例公開による顧客のメリット」を強調するのが一般的です。ただし、負担が大きい場合は数千円程度のAmazonギフト券や、自社ノベルティ、あるいは次回の利用料割引などを検討することもあります。まずは謝礼なしで、ベネフィット提示を中心に依頼してみるのがセオリーです。
Q2. 競合他社にノウハウがバレるのを嫌がる顧客にはどう対応すべきですか?
「数値の出し方を比率(%)にする」「具体的な運用フローは抽象化する」など、公開範囲を柔軟に調整できることを伝えましょう。また、最終原稿の段階で、機密情報が含まれていないか法務部門や上長の方に厳密にチェックしていただける体制があることを強調してください。
Q3. 取材から公開まで、どれくらいの期間を見るのが一般的ですか?
一般的には、依頼から公開まで1ヶ月〜1.5ヶ月程度です。
- 取材・撮影:1日
- ライティング:1週間
- 顧客確認・修正:1〜2週間
- 社内公開準備:数日 余裕を持ったスケジュールを提示することで、顧客側の心理的負担を軽減できます。
Q4. ロゴだけならOKと言われた場合、どう活用すべきですか?
まずはロゴ掲載だけでも貴重な実績です。「導入企業一覧」として掲載し、信頼性を担保する材料にしましょう。ロゴ掲載の許可をいただけた顧客は、将来的に事例取材に応じてくれる可能性が高い「見込み顧客」でもあります。継続的にフォローアップを続けましょう。
Q5. 営業担当者が「顧客に負担をかけたくない」と協力してくれない場合は?
営業担当者に対し、事例コンテンツがどれだけ今後の営業活動を楽にするか(商談成約率の向上、説明コストの削減など)をデータで示しましょう。「営業担当者の手柄」として事例を紹介することを約束するのも有効なアプローチです。