Instagramのハッシュタグは、投稿を見つけてもらうための検索キーワードと思われがちです。しかし使い方を工夫すると、同じブランドや地域を好きな人たちの投稿が一か所に集まる「場」として機能します。企業がつくったひとつの言葉のもとにファンの写真や声が積み重なり、それを見た人が新しく加わっていく。これがハッシュタグを使ったコミュニティづくりの基本的な考え方です。
一方で、Instagramの仕様はここ数年で大きく変わりました。ハッシュタグのフォロー機能は2024年12月に終了し、2025年12月からは1投稿あたりのハッシュタグ数を5個までに制限する変更が段階的に進められています。「とりあえず30個付ける」という運用はもう通用しません。
この記事では、公的機関と企業の公式事例5件をもとに、少ないハッシュタグでファンの投稿を集める設計方法、UGC(ユーザー生成コンテンツ)を扱うときの許諾と法令上の注意点、効果測定と改善の進め方を順に解説します。コミュニティマーケティング全体の考え方を先に押さえたい方は、コミュニティマーケティングの基礎と最新事例もあわせてご覧ください。
Instagramハッシュタグがコミュニティの核になる理由
ハッシュタグは投稿の分類ラベルですが、ブランドが独自の言葉を用意すると、その言葉を使う人同士をゆるやかにつなぐ役割を持ちます。ここでは、コミュニティ運営の視点からハッシュタグの価値を整理します。
「見つけてもらう」から「集まる場所」へ
以前のハッシュタグは「#カフェ巡り」「#ファッション」のように、多くの人の目に触れるための検索キーワードとして使われるのが主流でした。コミュニティマーケティングで重視したいのは、もう一歩進んだ使い方です。たとえば「#(ブランド名)のある暮らし」「#(商品名)部」のような独自のハッシュタグは、大量の検索流入を狙うものではありません。そのブランドが好きな人たちが投稿を持ち寄り、互いの使い方や楽しみ方をのぞき合う「広場」として機能します。ユーザーがこうしたハッシュタグで検索するのは、「同じものを好きな人の投稿を見たい」「もっとこの世界観に浸りたい」という気持ちの表れです。
UGCが自然に集まる仕組みになる
企業からの一方的な発信よりも、実際に商品を使っている人の写真や感想のほうが信頼されやすいことは、クチコミが購買行動に与える影響を考えるとよく分かります。ハッシュタグは、こうしたUGCを無理なく集める受け皿になります。食器ブランドが「#(ブランド名)と今日の食卓」を提案すれば、愛用者が日々の食卓写真をそのタグ付きで投稿し、ハッシュタグのページにはリアルな使用例が蓄積されていきます。それを見た人が「こんなふうに使いたい」と感じて購入し、また投稿する。広告ではなくファンの自発的な表現が次のファンを呼ぶ循環が生まれます。
ブランドの価値観を共有する「旗印」になる
優れたハッシュタグは、ブランドとファンが共有する合言葉になります。タグを見ただけで、ブランドが大切にしている価値観や提案したいライフスタイルが伝わる設計が理想です。ファンはそのタグを付けて投稿することで、ブランドが描く世界の一員として参加します。企業が世界観を示し、ファンが投稿で肉付けしていく関係は、ストーリーでファンコミュニティを育てるブランディングとも共通する考え方です。
2026年時点のInstagramハッシュタグ仕様と運用の前提
戦略を考える前に、現在の仕様を正しく押さえておく必要があります。過去の常識のまま運用すると、手間をかけても成果につながりません。
ハッシュタグのフォロー機能は終了している
Instagramでは2024年12月13日をもって、ハッシュタグをフォローする機能が終了しました。それまでは「このハッシュタグをフォローしてください」と呼びかけ、タグ付き投稿をフォロワーのフィードに届けることができましたが、現在はその導線がありません。ハッシュタグの検索やハッシュタグページの閲覧は引き続き可能なので、コミュニティの「集合場所」としての役割は残っています。ただし、ユーザーに届けるには公式アカウントのフォローや投稿の保存、ストーリーズでの紹介など、別の導線を組み合わせる必要があります。
1投稿あたりのハッシュタグは5個までに
Instagramは2025年12月、フィード投稿とリールに付けられるハッシュタグの数を5個までに引き下げる方針を示し、アカウントごとに段階的に適用を進めています。Instagram責任者のアダム・モセリ氏は、ハッシュタグは投稿の内容を伝えたり関連する投稿をつないだりするのには役立つものの、リーチそのものを伸ばす手段ではないという趣旨の説明を繰り返しています。つまり、これからのハッシュタグは「数で露出を稼ぐ道具」ではなく、「投稿の文脈を示し、同じテーマの投稿を束ねる道具」と考えるのが現実的です。
この変化は、コミュニティ型のハッシュタグにとってはむしろ追い風です。5個しか使えないからこそ、ユーザーは汎用的なタグより、自分が参加している場を示す独自タグを優先して選ぶようになります。
公的機関・企業のInstagramハッシュタグ活用事例5選
ここでは、主催者の公式ページで内容を確認できる事例を5件紹介します。国内の公的機関3件と海外企業2件で、規模や目的は異なりますが、ハッシュタグの組み立て方や参加者への還元方法には共通するヒントがあります。
| 実施主体 | 主なハッシュタグ | 設計の特徴 | 参考になる点 |
|---|---|---|---|
| 環境省(2017年) | #○○国立公園 ほか計3種 | 場所・共通テーマ・主催者の3層構造 | 役割の違うタグの組み合わせ方 |
| 埼玉県(2026年) | #花どり埼玉+撮影場所 | タグ投稿を規約同意とみなす | 二次利用ルールの明示 |
| 藤沢市(2026年) | #ふじさわキュンライフ2026 | 年号入りで回ごとに区切る | 駅ポスター掲出という名誉型特典 |
| Apple(2019年) | #ShotOniPhone | 常設タグを期間限定の企画に活用 | 権利・クレジット・対価の明文化 |
| Aerie(2014年〜) | #AerieREAL | ブランドの価値観そのものをタグ化 | 長期的な「旗印」の育て方 |
事例1:環境省「私のイチオシ国立公園」キャンペーン
環境省は2017年12月、国立公園を世界水準のブランドに育てる「国立公園満喫プロジェクト」の一環として、「私のイチオシ国立公園」キャンペーンを実施しました。Instagram社と日本政府観光局(JNTO)が展開していた「#UnknownJapan」キャンペーンと連携した取り組みです。
参加者は国立公園の公式アカウントをフォローしたうえで、「#○○国立公園」「#UnknownJapan」「#visitnationalparksofjapan」の3つのハッシュタグを付け、撮影した都道府県名を記載して投稿します。投稿の一部は国立公園公式アカウントとJNTOの公式アカウントで紹介されました。
注目したいのは3つのタグの役割分担です。「#○○国立公園」は場所を示すタグ、「#UnknownJapan」は複数の主催者が共有する大きなテーマのタグ、「#visitnationalparksofjapan」は主催者独自の集約用タグとして機能しています。5個上限の現在でも、この「場所・共通テーマ・自社固有」という組み立ては十分に応用できます。また、景品ではなく公式アカウントでの紹介を還元にしている点も、ファンの承認欲求に応える設計として参考になります。
事例2:埼玉県「#花どり埼玉」フォトキャンペーン
埼玉県観光課は2026年6月、県内の花の観光スポットを起点に周辺の観光やグルメを楽しんでもらうため、「#花どり埼玉」フォトキャンペーンを始めました。投稿期間は2回に分かれ、第1回が6月24日から9月30日、第2回が10月1日から翌年1月31日までです。
応募方法は、Instagramの公開アカウントで「#花どり埼玉」と撮影場所のハッシュタグを付け、キャプションに撮影日と花の種類を書いて投稿するというものです。生成AIで作った画像や他人が撮影した写真の投稿は禁止されています。さらに、「#花どり埼玉」を付けて投稿した時点で応募規約に同意したものとみなすこと、投稿写真を特設ページや県の観光サイト、観光PRに使う場合があることも明記されています。
この事例から学べるのは、ハッシュタグを「参加の意思表示」と「権利処理の同意」を兼ねるトリガーとして設計している点です。企業がUGCを広告やWebサイトに転用したい場合も、どこまで使うのかを事前に示しておけば、後から個別に許諾を取る手間とトラブルを減らせます。撮影日や花の種類といった情報を書いてもらう仕組みは、投稿そのものを見た人にとって役立つ情報に変える工夫でもあります。
事例3:藤沢市「ふじさわキュンライフ2026」
神奈川県藤沢市は、公式Instagram「@fujisawakyun」での情報発信を強化する取り組みの一環として、2026年7月24日から8月31日まで参加型フォトキャンペーン「ふじさわキュンライフ2026」を実施しました。テーマは「みんなに伝えたい!わたしのお気に入りのふじさわ」です。
参加者は公式アカウントをフォローし、「#ふじさわキュンライフ2026」を付けて市内で撮影した写真を投稿します。応募作品から10点が選ばれ、小田急線の駅にポスターとして掲出されるほか、藤沢にちなんだ賞品が贈られます。前年の2025年にも市制85周年を記念したInstagramフォトキャンペーンが行われており、毎年の恒例企画として育てている様子がうかがえます。
ハッシュタグに年号を入れておくと、回ごとの投稿をきれいに分けて集計でき、過去の回とも比較しやすくなります。また、駅ポスターという「自分の写真が街に出る」特典は、金額の大きい賞品よりも地域への愛着がある人の参加を促します。景品の豪華さではなく、ファンが誇らしく感じる還元を用意する発想は、企業のブランドコミュニティにもそのまま応用できます。
事例4:Apple「Shot on iPhone Challenge」
Appleは2019年1月22日から2月7日まで、iPhoneで撮影した写真を世界中から募る「Shot on iPhone Challenge」を開催しました。参加者はInstagramまたはTwitterに「#ShotOniPhone」を付けて写真を投稿し、キャプションに使用した機種名を記載します。審査で選ばれた10作品は、各地のビルボード広告や直営店、オンラインで紹介されました。
この事例で特に参考になるのは、権利条件の明文化です。発表ページでは、撮影者が写真の権利を保持したまま、Appleに1年間の利用許諾を与えること、利用時には撮影者のクレジットを表記すること、選ばれた10人にはビルボードなどでの利用に対するライセンス料を支払うことが説明されています。ユーザーの作品を広告に使うなら、敬意と対価をどう示すかまで設計する必要があるという好例です。
「#ShotOniPhone」はもともと製品の撮影力を示すために長く使われてきたタグで、それを期間限定の企画に活用している点も見逃せません。日常的に使われている自社タグを、ときどきコンテストやテーマ企画で盛り上げる運用は、規模を問わず取り入れられます。
事例5:Aerie「#AerieREAL」
米国の衣料品企業American Eagle Outfittersが展開するインナーウェアブランドAerieは、2014年に「#AerieREAL」を立ち上げ、広告モデルの写真をレタッチしない方針を打ち出しました。2016年の同社のプレスリリースでは、ロールモデルの起用を発表するとともに、顧客に「自分にとっての#AerieREALとは何か」を共有するよう呼びかけ、投稿が公式サイトで紹介される機会を用意していることを伝えています。
このハッシュタグは商品名ではなく、「ありのままの自分を肯定する」というブランドの価値観そのものを表しています。そのため、商品を写していない投稿でも参加でき、共感する人が自分の言葉で語りやすい構造になっています。キャンペーンが終わっても使われ続けるタグにしたいなら、商品ではなく価値観を言葉にするという視点が役立ちます。
実践:コミュニティを育てるハッシュタグ戦略3ステップ
事例の共通点を踏まえ、自社でハッシュタグ戦略を組み立てる手順を3つのステップに分けて解説します。
Step1:目的・KPI・参加してほしい人を決める
最初に決めるべきは「何のためにやるのか」です。「なんとなくUGCが増えたらいい」ではなく、「半年でブランドハッシュタグの投稿数を1,000件増やす」「新商品の発売時にキャンペーン投稿を通じてリーチを広げる」など、数値で振り返れる目標を置きましょう。あわせて、そのハッシュタグを「誰に」「どんな場面で」使ってほしいのかを具体的に描きます。仕事終わりのリラックスタイムを楽しむ20代の会社員なのか、子どもとの日常を記録したい子育て世代なのか。参加してほしい人が明確になれば、響く言葉も自然と絞り込めます。コミュニティの熱量をどう測るかは、顧客エンゲージメントの考え方も参考になります。
| 目的 | 主要KPI | 具体例 |
|---|---|---|
| ブランド認知の拡大 | 公式投稿のリーチ数・閲覧数、ハッシュタグ投稿数の推移 | 新商品の発売時に、より多くの人に知ってもらう |
| UGC創出・コミュニティ活性化 | ハッシュタグ投稿数、投稿者数(ユニーク)、リピート投稿者の割合 | ファンの投稿を増やし、継続的な参加を促す |
| Webサイトへの送客 | プロフィールのリンククリック数、UTM付きURLからの流入 | InstagramからECサイトへ誘導し、売上につなげる |
Step2:役割の違う3種類のハッシュタグを設計する
目的が決まったら、ハッシュタグそのものを設計します。役割の違う3種類を用意し、組み合わせて使うのがポイントです。
- ①ブランドハッシュタグ(指名系):企業名、ブランド名、商品名そのものです。ユーザーがブランド名で検索したときに投稿が見つかる、基本となるタグです。
- ②コミュニティハッシュタグ(UGC創出系):コミュニティづくりの主役です。ブランドの世界観を表し、ファンが「使いたい」と思える言葉を考えます。「#(ブランド名)のある暮らし」「#(商品名)部」「#(ブランド名)と私」は参加しやすい定番の型です。Aerieのように価値観を表す言葉にすると、長く使われるタグに育ちやすくなります。
- ③キャンペーンハッシュタグ(期間限定):新商品の発売や季節企画など、特定の期間だけ使うタグです。藤沢市のように年号を入れると、回ごとの集計が容易になります。
5個上限の現在は、1投稿に「ブランド1個+コミュニティ1個(+キャンペーン期間中は1個)」を基本とし、残りの枠に投稿内容や場所を表すタグを1〜2個加える組み立てが現実的です。環境省の事例のように、場所を示すタグを入れると、同じ場所に関心を持つ人にも投稿が届きやすくなります。
Step3:最初の投稿を集める「初期ブースト」
どれほど良いハッシュタグをつくっても、誰も使っていなければ人は集まりません。立ち上げ期は、ブランド側から積極的に広める必要があります。まず公式アカウントのプロフィール欄にコミュニティハッシュタグを明記し、「このタグで投稿してください」と宣言しましょう。そのうえで、公式投稿でも粘り強く同じタグを使い続けます。
さらに、日頃からブランドを応援してくれている愛用者やアンバサダーにお手本となる投稿をお願いしたり、店頭POPや商品同梱のカード、イベント会場で投稿を呼びかけたりするのも効果的です。熱心なファンを推奨者に育てる考え方は、アドボカシー・マーケティングでも詳しく紹介しています。経験上、最初の100件ほどが集まるまでが最も大変ですが、そこを越えると、タグのページを見た人が自発的に使い始める流れが生まれやすくなります。
ハッシュタグキャンペーンとUGC活用の進め方
ハッシュタグキャンペーンは、景品で一時的に盛り上がって終わる「お祭り」になりがちです。参加しやすさを確保しつつ、集まった投稿をブランドの資産として長く活かすための進め方を整理します。
参加のハードルを下げる工夫
最初のお題は、「あなたのお気に入りの〇〇を教えてください」のように、誰でも答えられるものから始めましょう。創意工夫のある投稿を求める場合は、「#〇〇を使ったアレンジレシピ」のようにテーマを具体的にし、公式アカウントから投稿例をいくつか示しておくと、参加者がイメージを持ちやすくなります。
インセンティブについては、豪華な賞品だけが正解ではありません。環境省の公式アカウントでの紹介、藤沢市の駅ポスター掲出のように、ファンにとっては「自分の投稿が公式に取り上げられる」こと自体が大きな喜びになります。ファン限定イベントへの招待なども、ブランドとの距離を縮める特典として有効です。
集まったUGCを許諾を得て活用する
ハッシュタグ付きで投稿されたからといって、その写真を企業が自由に使ってよいわけではありません。紹介したい投稿を見つけたら、コメントやDMで「素敵なご投稿をありがとうございます。公式アカウントでご紹介させていただけないでしょうか」と、使い道を具体的に伝えて許諾を得ましょう。紹介する際は、投稿者のアカウントをメンションし、感謝を添えるのがマナーです。
公式サイトの商品ページや広告に使う場合は、利用範囲と期間をより明確に伝える必要があります。埼玉県のように事前に規約で利用範囲を示す方法や、Appleのように権利の帰属・クレジット表記・対価を明文化する方法を参考に、自社に合ったルールを決めておきましょう。リアルな利用者の声は説得力のある素材ですが、信頼関係があってこそ活きるものです。
見落としやすい法令上の注意点
アンバサダーやインフルエンサーに投稿を依頼する場合は、ステルスマーケティング規制への配慮が欠かせません。消費者庁は、2023年10月1日からステルスマーケティングが景品表示法違反になると案内しています。企業が第三者に依頼・指示した投稿も広告に含まれ、規制の対象になるのは依頼した側の事業者です。依頼投稿では、広告であることが一般消費者に分かるよう表示してもらいましょう。インフルエンサーとの協働の進め方は、インフルエンサーマーケティングの基本もあわせてご確認ください。
プレゼント企画を行う場合は、景品の上限にも注意が必要です。消費者庁の景品規制の概要によると、商品購入などを条件に抽選で景品を提供する「一般懸賞」では、取引価額が5,000円未満なら取引価額の20倍、5,000円以上なら10万円が景品の最高額で、総額は懸賞に係る売上予定総額の2%までとされています。一方、購入や来店を条件とせず誰でも応募できる「オープン懸賞」には景品規制が適用されず、具体的な上限額の定めもありません。「購入者限定」のハッシュタグキャンペーンなのかどうかで適用されるルールが変わるため、企画段階で確認しておきましょう。
よくあるキャンペーンの落とし穴
成功事例と同じくらい、つまずきやすいポイントを知っておくことも大切です。
一つ目は、参加条件が複雑すぎることです。「フォロー、いいね、コメント、リポストに加えて友人3人をタグ付け」といった条件を見ただけで、参加をやめてしまう人は少なくありません。条件はできるだけシンプルにするのが鉄則です。
二つ目は、ハッシュタグが長すぎる、または覚えにくいことです。入力ミスが起きやすい言葉は避け、短く覚えやすいものにしましょう。表記ゆれ(全角・半角、ひらがな・カタカナ)が起きにくいかも事前に確認しておくと安心です。
三つ目は、景品がブランドと無関係なことです。化粧品ブランドなのに景品がギフト券だけだと、ブランドに関心のない懸賞目的の応募が集まり、本来の目的であるファンとの交流につながりません。景品は自社製品やブランドの世界観に合ったものを選ぶのが基本です。
効果測定と改善:データに基づくハッシュタグ運用
ハッシュタグ戦略は、始めたら終わりではありません。数字で振り返り、改善を重ねることで、コミュニティは着実に育っていきます。
チェックしたい指標
まずはInstagramの公式インサイトを確認しましょう。プロアカウント(ビジネスアカウントまたはクリエイターアカウント)に切り替えれば、無料で利用できます。公式投稿のリーチや閲覧数、保存数、プロフィールのリンククリック数などは、Step1で設定したKPIの基本データになります。
ただし、インサイトは自社アカウントの投稿の数値です。コミュニティの活性度を見るには、ハッシュタグページに集まったファンの投稿を別途追う必要があります。月に一度など定期的に、投稿数、投稿者数、繰り返し投稿してくれる人の数、投稿内容の傾向を記録しておくと、コミュニティの変化がつかみやすくなります。
分析ツールを使う場合の注意点
投稿数が増えてきたら、分析ツールの導入も選択肢になります。多くのツールはMetaが提供するAPIを通じてデータを取得していますが、Instagram APIのハッシュタグ検索には、1つのビジネスアカウント(またはクリエイターアカウント)で7日間に照会できるハッシュタグは30種類まで、ストーリーズのハッシュタグには非対応といった制限があります。ツールを選ぶ際は、追跡したいハッシュタグの数や、ストーリーズでの投稿をどう把握するかを事前に確認しておきましょう。
分析結果を次のアクションにつなげる
データは眺めるだけでは意味がありません。気づきを次の施策に反映するサイクルを回すことが大切です。たとえば、「Aのハッシュタグよりも、Bのハッシュタグが付いた投稿のほうが保存されやすい」と分かったとします。そこから「Bが示すようなノウハウ系の情報が求められているのではないか」と仮説を立て、次の公式投稿ではBのテーマに沿った内容を増やしてみる。そして結果をまたデータで確かめる。この地道な繰り返しが、エンゲージメントを着実に高めていきます。
数字だけでは見えないことも多くあります。よく投稿してくれるファンに直接話を聞くと、そのタグを使う理由や、ブランドに期待していることが具体的に分かります。インサイトを探る顧客インタビューの手法も、改善のヒントを得るのに役立ちます。
まとめ:まずは2つのハッシュタグを決めるところから
Instagramのハッシュタグを軸にしたコミュニティづくりのポイントを振り返ります。
- ハッシュタグは「見つけてもらう」道具であると同時に、ファンが集まる「旗印」になる
- フォロー機能の終了と5個上限により、数より「どのタグで集まってもらうか」の設計が重要になった
- 「ブランド」「コミュニティ」「キャンペーン」の3種類を役割分担して使う
- UGCは許諾を得て活用し、依頼投稿のステマ規制や景品の上限にも注意する
- 公式インサイトとハッシュタグページの両方を定期的に確認し、改善を続ける
最初の一歩として、自社の「ブランドハッシュタグ」と、ファンに使ってほしい「コミュニティハッシュタグ」を1つずつ考えてみてはいかがでしょうか。ファンが自然に集まる関係づくり全体については、顧客をファン化する施策のポイントも参考にしてください。
よくある質問(FAQ)
Q. ハッシュタグは何個付けるのがよいですか?
A. Instagramでは2025年12月から、フィード投稿とリールに付けられるハッシュタグを5個までにする変更が段階的に進められています。以前は30個まで付けられましたが、現在は5個以内を前提に運用するのが安全です。数を増やすより、投稿内容と関係が深いタグや、自社コミュニティの独自タグを厳選することが大切です。
Q. 「ハッシュタグをフォローしてください」と呼びかけても意味はありますか?
A. ハッシュタグのフォロー機能は2024年12月に終了しているため、その呼びかけは効果がありません。代わりに、公式アカウントのフォローや、ハッシュタグ付き投稿をストーリーズで定期的に紹介するなど、ファンが投稿を見に来る別の導線を用意しましょう。ハッシュタグの検索やハッシュタグページの閲覧は引き続き可能です。
Q. 考えたハッシュタグがすでに他の人に使われていたらどうすればよいですか?
A. 一般的な言葉の組み合わせは、偶然重なることがよくあります。まずはそのタグがどのような文脈で使われているかを確認しましょう。ブランドのイメージと大きく異ならなければ、ブランド名を加えたり、年号を入れたり(例:#〇〇部2026)して独自性を高める方法があります。商標登録しているブランド名が不適切に使われている場合は、専門家への相談も検討してください。
Q. 英語のハッシュタグも使ったほうがよいですか?
A. ターゲット次第です。海外のユーザーにも届けたいブランドや、訪日客に向けた観光の発信であれば、英語のハッシュタグは有効です。環境省の事例でも英語のタグが使われていました。一方、国内の特定地域や限られた層に届けたい場合は、日本語のタグに絞ったほうがコミュニティのまとまりが強くなることもあります。5個の枠をどう配分するかで判断しましょう。
Q. ストーリーズでもハッシュタグは活用できますか?
A. 活用できます。ハッシュタグスタンプを使えば、見た目にも分かりやすくタグを示せます。24時間で消える手軽さを活かし、ファン投稿の紹介や、イベント当日のリアルタイムな呼びかけに使うのがおすすめです。なお、Instagram APIのハッシュタグ検索はストーリーズに対応していないため、ストーリーズでの投稿状況は手動で確認する前提で運用しましょう。
ファンとの関係を深めるコンテンツ制作をお手伝いします
コミュニティを活性化させるには、メンバーが読みたくなる記事や、参加者の声を伝えるコンテンツを継続して届けることが欠かせません。株式会社アワードは、ユーザーインタビューやメンバー紹介記事、活用事例の取材・執筆、Webコンテンツの企画・ディレクションまで、ファンとの関係づくりに役立つコンテンツ制作をお手伝いしています。「何を発信すればよいか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。