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企業が価格に込めるメッセージとは

値上げをどう伝えるか-2020年代の米国企業に学ぶ「価格のメッセージ」

  • 2026-10-09
  • 2026-10-09
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インフレ、関税、そして消費者の不信。2020年代の米国では、価格は単なる数字ではなく、企業が投資家と顧客に向けて発するメッセージになりました。本稿では、グローバル企業、全米規模の企業、地域の事業者の事例と公的統計をもとに、2020〜2025年に米国企業が価格で何を伝え、それがどう受け止められたのかを論文形式で分析します。日本企業の価格戦略への示唆もあわせて整理しました。

エグゼクティブサマリー

2020~2025年の米国では、価格は単なる「需要とコストの結果」ではなく、企業が投資家と消費者に対して自社の強さ、顧客への姿勢、公平性、そして政治との距離を伝える媒体になった。本調査では、McDonald’s、PepsiCo、Starbucks、Netflix、Apple、Disneyといったグローバル企業、Walmart、Costco、Dollar Tree、Target、Chili’s、Chipotle、Southwest Airlines、Ticketmasterといった全米規模の企業、さらにIn-N-Out Burger、Market Basketという地域チェーンと、各地の独立系飲食店・小売店を比較した。本稿は筆者らが先に実施した英語の調査ノートを出発点とし、米国の政府統計、企業の一次資料、規制当局の資料、主要報道で再検証・拡張している。

結論を先に言えば、2020年代前半の米国企業にとって価格の最大の変化は、「価格決定力を誇る」から「手頃さと公平さを証明する」への反転だった。

2020~2021年は、パンデミック下の混乱の中で、Dollar Treeの1ドル均一の終了、Costcoの1.50ドルのホットドッグ据え置きなど、価格が企業のアイデンティティそのものとして扱われた。ところが2021~2022年、インフレが急加速した。米国労働統計局(BLS)の年平均で見ると、消費者物価上昇率は2020年1.2%、2021年4.7%、2022年8.0%、2023年4.1%、2024年2.9%となった。2022年6月には前年同月比9.1%と約40年ぶりの水準に達した。[1][2]

この局面で、企業は投資家に向けて「コスト上昇を上回る値上げができる」ことを誇った。Kroger CEOの「少しのインフレは、われわれのビジネスにとって常に良いこと」、AutoZone CFOの「インフレは少しばかり味方だった」という発言は、その空気を象徴する。報道によれば、Frito-Layの実効純価格は2022年に最大17%上昇した。[3][4]

しかし2023~2024年、販売数量と来店客数が崩れ始めると、同じ企業群が消費者に向けて「手頃さ」を公約する側へ回った。McDonald’sは2024年6月に5ドルのセットを投入し、Starbucksは植物性ミルクの追加料金を撤廃して北米のメニュー価格を据え置いた。PepsiCoは物言う株主Elliottとの合意の下、2025年12月に値下げ方針と品目数の約20%削減を発表した。[5][6][7]

もう一つの特徴は、価格の「見せ方」そのものが規制対象になったことである。カリフォルニア州は2024年7月に後出し料金を原則禁止し、連邦取引委員会(FTC)は2025年5月からチケットと短期宿泊に総額表示を義務づけた。地域の飲食店では、「COVIDサーチャージ」「インフレ料金」「キッチンへの感謝料」「トランプ関税」といった理由を冠した別料金が、繰り返し炎上した。[8][9][10][11]

さらに2025年には、関税によって値上げの理由を正直に語ること自体が政治的リスクになった。Walmartが関税による値上げを予告すると、2日後に大統領が「関税は自分で負担しろ(EAT THE TARIFFS)」と投稿した。[12][13]

したがって、2020年代前半の米国で成功した価格コミュニケーションに共通するのは、単純な「安い」「高級」ではない。①顧客が記憶する象徴的な価格を守ること、②値上げの理由をコストで説明すること、③別料金や容量削減ではなく総額で正直に見せることの三点である。

調査設計と米国の価格環境

本稿の「価格で伝える」とは、価格水準そのものだけでなく、値上げ、値下げ、据え置き、価格の固定化、値下げリスト、バリューメニュー、追加料金、サービス料、シュリンクフレーション、会費、サブスクリプション、階層型料金、ダイナミックプライシングなどによって、投資家や消費者に意味を伝える行為を指す。対象期間は2020~2025年とし、2026年の企業行動は分析対象に含めない。ただし対象期間の出来事の帰結として重要な2026年の動きは、末尾の補論に分けて記載した。

証拠の優先順位は、企業自身のプレスリリース・決算資料、BLSやFTCなどの公的資料、連邦準備銀行・大学・研究機関の資料、主要メディア、業界紙、消費者団体・政策団体の資料の順とした。企業が語る「値上げ理由」は事実そのものではなく、企業側が提示した正当化理由として扱い、外部資料と区別した。政策団体の推計や二次報道に依拠する箇所は、その旨を明記した。

米国の価格環境を理解するには、まずインフレの急激な変化を見る必要がある。以下はBLSのCPI-U(都市部消費者物価指数)の年平均上昇率である。なお2025年は政府閉鎖の影響で10月のデータが欠けているため、11か月の平均から算出した参考値(約2.6%)を示す。[1]

図1 米国の消費者物価上昇率(年平均、CPI-U)

単位:%(前年比)

2019年1.8%
2020年1.2%
2021年4.7%
2022年8.0%
2023年4.1%
2024年2.9%
2025年※2.6%
濃い青:2020年代、グレー:2019年。※2025年は政府閉鎖で10月の値がないため、11か月平均から算出した参考値。
出典
米国労働統計局(BLS)CPI-U:https://www.bls.gov/regions/mid-atlantic/data/consumerpriceindexhistorical_us_table.htm

その中でも企業に強い圧力を与えたのが、食品とエネルギー、そして外食だった。2021年12月から2022年12月にかけて、食品全体は10.4%、家庭内の食品は11.8%、外食は8.3%上昇した。電気は14.3%、都市ガスは19.3%、航空運賃は28.5%上昇した。米農務省の年平均でも、2022年の食品価格は9.9%、家庭内の食品は11.4%上昇している。[14][15]

図2 2022年の品目別上昇率(2021年12月→2022年12月)

単位:%(前年同月比)

航空運賃+28.5%
都市ガス+19.3%
電気+14.3%
家庭内の食品+11.8%
食品全体+10.4%
外食+8.3%
住居費+7.5%
総合+6.5%
ガソリン-1.5%
グレーは総合。ガソリンは年央に急騰した後、年末には前年水準を下回った。
出典
BLS「Consumer Price Index: 2022 in review」:https://www.bls.gov/opub/ted/2023/consumer-price-index-2022-in-review.htm

この価格上昇がどこまで企業の利益拡大によるものかは、2020年代の米国で大きな論争になった。カンザスシティ連銀の研究者は、2021年にマークアップ(上乗せ幅)が3.4%拡大し、同年のインフレ(5.8%)の半分以上を説明しうると指摘した。進歩派の政策団体グラウンドワーク・コラボレーティブは、2023年第2~第3四半期のインフレの53%が企業利益によるものだと推計した。一方で、これは会計上の恒等式にすぎず、需要回復の自然な結果だという反論も根強い。本稿はこの論争に決着をつけるものではないが、企業が値上げの理由を語る言葉が、社会的な監視の対象になったことは確認できる。[16][17]

同時に、米国では価格表示そのものへの規制が強化された。カリフォルニア州のSB 478は2024年7月1日に施行され、ほとんどの消費者取引で必須の手数料を広告価格に含めることを求めた。ただし飲食店は直前に成立したSB 1524によって、メニュー等に「明確かつ目立つように」表示すればサービス料を維持できることになった。ニューヨーク州は2024年2月、クレジットカード手数料の上限と事前表示を義務づけた。[18][8][19]

連邦レベルでは、FTCの「不公正・欺瞞的な手数料に関する規則」が2025年5月12日に施行され、ライブイベントのチケットと短期宿泊について、必須手数料を含む総額を最初に、最も目立つ形で表示することが義務づけられた。ただし対象はこの2分野に限られ、欺瞞的でないダイナミックプライシングは明示的に認められている。[9][20]

価格の決め方そのものも監視の対象になった。FTCは2025年1月、個人データを用いて顧客ごとに価格を変える「監視型価格設定」の調査中間結果を公表し、仲介業者が少なくとも250社の顧客企業にサービスを提供していたことを明らかにした。ニューヨーク州は2025年11月、アルゴリズムが個人データで価格を決めた場合にその旨の表示を義務づけた。同年12月には、同一店舗の同一商品が買い物客によって最大23%異なる価格で表示されていたとの調査を受け、Instacartが価格テストを終了した。[21][22][23]

内容量の削減(シュリンクフレーション)は、統計上の影響が小さい一方で、信頼への影響が大きい。米会計検査院(GAO)によれば、2019~2024年のCPI上昇率34.5%のうち、内容量削減の寄与は約0.06ポイントにすぎない。しかし内容量が減った商品の単位あたり価格上昇率は、ペーパータオルの11.6%からコーヒーの32.4%に及んだ。[24]

こうした事例を読み解く理論的な枠組みとして、本稿はカーネマン、ネッチ、セイラーが1986年に示した「二重の権原(dual entitlement)」を用いる。消費者はコスト上昇を転嫁した値上げは公正と感じるが、需要の高まりに便乗した値上げは不公正と感じる、という考え方である。[25]

企業ケーススタディ

グローバル企業

McDonald’s — 「価格の説明」から「価格の約束」へ。
2023年夏、コネチカット州の店舗で18ドルのビッグマックセットがSNSで拡散され、「マックフレーション」への批判が続いた。2024年5月、米国事業社長のジョー・アーリンガーは、同社のウェブサイトで価格データを公表した。2019年から2024年にかけてビッグマックの平均価格は4.39ドルから5.29ドルへ約20.5%、全メニューの平均価格は約40%上昇したが、それは人件費・紙資材・食材費の上昇とほぼ見合うと説明した。米国店舗の約95%はフランチャイズで、価格は加盟店が決めているとも付け加えた。[26][27]

これは典型的な「コスト転嫁による正当化」であり、二重の権原の枠組みでは公正な値上げの論理である。しかし説明だけでは客足は戻らなかった。同社は2023年第4四半期に約4年ぶりに市場予想を下回っており、2024年6月25日、主力商品4品をまとめた5ドルのセットを投入した。位置情報データ会社Placer.aiによれば、発売日の来店数は2024年の平均的な火曜日を約8%上回った。[5][28]

2025年1月にはMcValueを、同年9月には単品合計より15%安い「Extra Value Meals」を導入した。ケンプチンスキーCEOは、お得感は「定番メニューの価格に最も左右される」と述べた。期間限定の割引ではなく、日常的な価格そのものを手頃さの証拠にする方針への転換である。2025年通期のグローバル既存店売上高は3.1%増、第4四半期は5.5%超の増加となり、経営陣はバリュー施策を成長要因に挙げた。[29][30]

PepsiCo / Frito-Lay — 「価格決定力」の過信と撤回。
二次報道によれば、Frito-Layの実効純価格は2022年に最大17%上昇し、Walmartでのドリトスの価格は2021年から2025年にかけて50%近く上がった。ラグアルタCEOは2023年、投資家に対し「消費者に何が起ころうとも、われわれは選ばれる存在であり続ける」と述べた。[4][31]

しかし販売数量は2023年から減少し、Frito-Layの売上高は2024年に、53四半期続いた成長を終えて10年以上ぶりに前年割れとなった。2025年9月、Elliottが約40億ドル相当の株式を取得し、より手頃な価格を求めた。同年12月8日、PepsiCoはElliottとの合意を発表し、値下げ方針と米国での品目数の約20%削減を打ち出した。この時点では値下げの対象や幅は示されなかった。[4][31][7]

このケースは、投資家向けの「価格決定力」というメッセージが、消費者の現実から遅れていたことを示す。なおFrito-Layの価格推移や社内目標未達に関する一部の情報は、NY PostやBloombergの報道を引用した二次報道に依拠しており、確度には留保が必要である。

Starbucks — 追加料金の撤廃を「公平さ」のメッセージにする。
2024年9月に就任したブライアン・ニコルCEOは、同年10月の決算説明会で、米国とカナダで植物性ミルクの追加料金を11月7日から廃止すること、2025会計年度は北米の直営店でメニュー価格を引き上げない方針であることを発表した。ニコルは、代替ミルクを注文する顧客にとって実効価格が最大10%下がると説明した。カスタマイズ料金は2022年までに年10億ドル超の収入源になっており、米国の有料カスタマイズの約半分が植物性ミルクだった。[6]

同社はこれを、値引きの乱発でプレミアムな位置づけが弱まったことへの修正と位置づけた。つまり値下げではなく、「不公平に見える料金」を取り除き、価格体系を単純にすることで信頼を回復しようとした。2025年10月に発表された2025会計年度第4四半期決算では、北米の既存店売上高は横ばいまで改善し、米国では9月に既存店売上高がプラスに転じた。[32]

Netflix — 料金の階層化で「成長の源泉」を語り直す。
Netflixは2023年5月、世帯外の利用者に月7.99ドルの追加料金を課す「有料共有」を米国で導入した。同社はアカウント共有世帯が1億を超えると見積もっていた。同年第3四半期には会員を880万人増やし、ベーシックとプレミアムを値上げした一方、広告付きプランは6.99ドルに据え置いた。[33][34]

2025年1月には、スタンダードプランを15.49ドルから17.99ドルに引き上げた。この発表は、2024年第4四半期に1,900万人の会員増を記録した決算と同時だった。同社はその後、収益と利益を重視するとして会員数の公表をやめた。Netflixの価格は投資家に対し、成長の源泉が会員数から会員1人あたり収益へ移ったことを伝えている。[35]

Apple — 関税を「価格に含めない」と明言する。
2025年9月に発表されたiPhone 17シリーズでは、iPhone 17は799ドルに据え置かれ、iPhone 17 Proは基本ストレージを256GBに増やしたうえで開始価格が100ドル上がって1,099ドルとなった。ティム・クックCEOはCNBCに対し、「はっきり言っておくと、価格に関税分の上乗せはない」と述べた。同社は前四半期に約8億ドルの関税コストを計上し、当四半期には約11億ドルを見込んでいた。[36]

Appleの価格は、関税コストを吸収しているという姿勢を示すと同時に、仕様の変更によって実質的な価格帯を引き上げている。評論家はこれを実質値上げと評したが、Appleの意図は確認できない。ここでは、政治的に注目度の高い企業が、関税と価格の関係を語ること自体を避けた点が重要である。

P&G、Nike、Coca-Cola — 関税の語り方の分岐。
P&Gは2025年7月、2026会計年度に約10億ドルの関税コストを見込み、米国製品の約4分の1で1桁台半ばの値上げを行うと公表した。値上げは製品改良と組み合わせると説明した。Nikeは2025年9月、関税コストを年換算で約15億ドルと見積もった。一方Coca-Colaのクインシー CEOは、アルミ関税の影響を「誇張する危険がある」と述べ、缶が高くなればペットボトルに重点を移せばよいと語った。[37][38][39]

Disney — 待ち時間に価格をつける。
Disneyは2024年10月、行列を避けられる「Lightning Lane Premier Pass」を試験導入した。ウォルト・ディズニー・ワールドでは需要に応じて1日129~449ドルで、119ドルからの入園券に上乗せされる。動画配信のDisney+も2025年10月、4年で4回目の値上げを行った。広告上の入園料や基本料金は低く保ちつつ、支払い意思の高い顧客から追加の収益を得る階層化の典型である。[40][41]

全米規模の企業(ナショナル企業)

Walmart — 値上げの理由を語ることが政治問題になる。
2025年5月15日の決算説明会で、Walmartは関税による値上げがすでに4月下旬から店頭に表れ始めており、6~7月にかけて影響が大きくなると説明した。レイニーCFOは「当社は価格を低く保つことが身に染みついているが、負担できるものには限界がある」と述べ、コスタリカ産バナナが1ポンド50セントから54セントに、350ドルの中国製チャイルドシートが約100ドル高くなりうると具体例を示した。[12]

その2日後、トランプ大統領はSNSに「Walmartは関税を値上げの理由にするのをやめるべきだ」「関税は自分で負担しろ」と投稿した。Walmartは「常に価格を可能な限り低く保つよう努めてきた」と応じた。二重の権原の枠組みでは、コスト転嫁を具体的に説明したWalmartの姿勢は公正な値上げの論理に沿う。しかし2025年の米国では、コストの説明が政治的な対立を招くという新しい制約が生まれた。[13]

Costco — 象徴価格を守り、会費で回収する。
Costcoのホットドッグとソーダのセットは、1985年から1.50ドルのままである。一方で同社は、セットのソーダ単品を2022年に59セントから69セントに、2025年に79セントに引き上げ、チキンベイクも2025年に2.99ドルから3.99ドルにした。[42]

2024年9月には、約7年ぶりに米国とカナダの年会費をGold Starで60ドルから65ドル、Executiveで120ドルから130ドルに引き上げた。同社はこれを「価格を低く保つための運営費の補填」と説明した。2025会計年度の会費収入は10%増え、米国の更新率は約92%を維持した。顧客が最も記憶する価格を守り、透明な会費でコストを回収するという構造である。[43][44]

Dollar Tree — 「1ドル」を捨てる理由を説明する。
Dollar Treeは2021年11月23日、35年続いた1ドルの基本価格を1.25ドルに引き上げた。同社は発表資料で「この決定は恒久的なもので、短期的・一時的な市場環境への反応ではない」と説明した。同社のテストでは、77%の買い物客がすぐに新価格に気づいたが、91%が来店頻度は変わらないか増えると答えた。[45]

その後、同社は3ドル、5ドル、7ドルの価格帯を追加したが、同時期に約1,000店舗の閉鎖と2023会計年度の純損失を発表している。一度の明確な価格改定は受け入れられたが、多価格帯化が事業全体を救ったとは言えない。[46]

Target — 値下げリストを投資家と消費者の双方に示す。
Targetは2024年5月20日、約5,000品目の値下げを発表した。2016年以来初めての年間売上減を経験した後で、決算発表の2日前だった。2025年11月にも、関税と政府閉鎖による食料支援の停止を背景に約3,000品目を値下げした。値下げの発表時期は、消費者向けの手頃さの訴求が、同時に投資家向けのメッセージでもあったことを示唆する。ただし値下げによる来店客数への効果は確認できなかった。[47][48]

Chili’s — 日常価格を固定し、比較対象を変える。
カジュアルレストランのChili’sは、前菜・メイン・飲み物のセット「3 for Me」を10.99ドルに据え置き、「ファストフードより上(Better Than Fast Food)」と打ち出した。比較の相手を他のファミリーレストランではなく、ファストフードのセットに変えたのである。[49]

その結果、2024年12月までの四半期で既存店売上高は31%増、来店客数は約20%増となった。2025年9月までの四半期でも既存店売上高は21.4%増、来店客数は13%増で、6四半期連続の2桁成長だった。最も伸びたのは年収6万ドル未満の世帯である。Applebee’sも2024年11月に9.99ドルのセットで追随した。[49][50][51]

Chipotle — 盛り付け量も価格の一部になる。
2024年半ば、SNSでChipotleの盛り付け量が減ったという批判が広がった。アナリストがニューヨークの8店舗で75個のボウルを計量したところ、14~27オンスと大きなばらつきがあった。ニコルCEO(当時)は量を減らす指示は出していないと否定した。同社は2024年12月、インフレと盛り付け量の改善費用を理由に約2%値上げした。[52][53]

2025年第2四半期、来店客数は4.9%減少した。ボートライトCEOは「消費者から評価してもらえていない」「価値をどう伝えるかを考えなければならない」と述べた。顧客は内容量の減少を値上げとして数えることを示すケースである。高価格帯のSweetgreenも2025年第3四半期に既存店売上高が9.5%減少し、CEOは「明確な入口価格」をつくる余地があると認めた。[54][55]

Wendy’s — 「ダイナミック」という言葉の代償。
2024年2月の決算説明会で、CEOは2025年から「ダイナミックプライシング」などの機能を試験すると述べた。メディアがこれを「サージプライシング(需要に応じた割増料金)」と報じると、同社は約2週間後に「需要が最も高い時に価格を上げるサージプライシングは導入しない」と否定した。需要に連動するように見える価格は、それだけで不公正と受け取られることを示す。[56]

Southwest Airlines — ブランドを象徴した価格の約束を手放す。
Southwestは54年にわたり、「手荷物2個まで無料(Bags Fly Free)」と自由席を特徴としてきた。2024年9月の投資家説明会では無料手荷物を維持し、手荷物料金の導入で年15億ドルの収入が得られる一方、18億ドルの顧客離れが生じうると試算していた。[57]

しかし物言う株主Elliottの圧力の下、2025年3月に方針を転換し、5月28日以降の予約から手荷物料金を導入した。発表日の取引開始前、株価は9%以上上昇した。2025年第3四半期には顧客推奨度(NPS)が一時低下した後に元の水準へ回復し、経営陣は手荷物料金の年間価値を約7億ドルと見積もった。象徴的な約束を手放しても短期的な指標は回復したという、本稿の主張に対する重要な反例である。[58][59]

同じ航空業界でDeltaは、プレミアム席の収入が2025年第3四半期に9%増の約58億ドルとなり、2026年にはメインキャビンを上回る見通しを示した。同社社長は、プレミアム商品は「かつては集客用の赤字商品だったが、今では最も利益率の高い商品だ」と述べた。[60]

Ticketmaster — ダイナミックプライシングの象徴から「総額表示の推進者」へ。
2022年7月、ブルース・スプリングスティーンのツアーで需要連動型の「プラチナ」チケットが5,000ドル近くに達し、大きな反発を招いた。2025年5月にFTCの総額表示規則が施行されると、同社は「総額表示が全米の標準になるよう長年提唱してきた」と表明した。それでもFTCと7州は2025年9月、2019~2024年に160億ドルの手数料を得たとして同社を提訴した。透明性の言葉を採用しても、手数料への根本的な不信は解消されなかった。[61][62][63]

Trader Joe’s — 4セントの値上げがニュースになる。
Trader Joe’sは2024年3月、バナナ1本の価格を19セントから23セントに引き上げた。20年以上ぶりの値上げで、同社は「コストの変化」を理由に挙げた。わずか4セントの変更が全国ニュースになったことは、長く固定された価格が、それ自体でブランドの約束として機能していたことを示す。[64]

地域チェーンと独立系の事業者

In-N-Out Burger — 低価格を経営者個人の約束にする。
カリフォルニア州でファストフード従業員の最低賃金が2024年4月に時給20ドルへ引き上げられた際、リンジー・スナイダー社長は、値上げをめぐって幹部と「真っ向からやり合った」と語り、「お客様を守る義務がある」と述べた。ただしニューヨーク・ポストの調査では、ロサンゼルス周辺の一部店舗で値上げが確認された。低価格が個人の物語として語られるほど、値上げは「約束違反」として報じられる。[65]

Market Basket — 「1ドルでより多くを」を外部の比較で裏づける。
ニューイングランドのスーパー、Market Basketは「More for your dollar」を掲げる。2025年7月のボストン・グローブ紙の10品目の比較では、同社が38.28ドルで最も安く、Whole Foodsは50.00ドルだった。同年の経営混乱の際には、取締役が価格は「変わっておらず、可能な限り低く保っている」と表明する必要に迫られた。価格が企業のアイデンティティであるほど、経営危機の局面でも価格の維持が最優先のメッセージになる。[66]

独立系飲食店 — 理由を冠した別料金が炎上する。
2020年5月、ミズーリ州ウェストプレーンズのBootleggers BBQは全注文に5%の「COVIDサーチャージ」を導入した。店頭の客は好意的だったが「SNSでの反発はひどかった」とオーナーは語り、2日で撤回してメニュー価格に上乗せした。ミズーリ州南部の別の店も2.19ドルのCOVID料金をやめ、メニュー価格の調整に切り替えた。[10]

2022年には、コロラドスプリングスのOmelets Etc.が3.99%の「インフレ料金」を導入し、Odyssey Gastropubは料金を「おとり商法だ」と批判された後、メニュー全体の価格改定に切り替えた。ボストンなどで展開するSaltie Girlは、厨房スタッフの賃金に充てる3%の「キッチンへの感謝料」を導入し、経営者は「ロブスターロールに払える金額には限度がある」と語ったが、消費者擁護の立場からは「こそく」と批判された。[67][68]

一方、カンザスシティの老舗Arthur Bryant’sは2022年3月、ブリスケットが18ドル近くに上がった理由をレジ横の掲示で説明し、不満があれば地元の連邦議員に連絡するよう客に促した。理由を掲示で説明するほうが、請求書に別項目を立てるより反発を招きにくかった。背景として、2022年1月には値上げした小規模事業者の割合が差し引きで61%に達し、1974年以来の高水準となっていた。[69][70]

独立系小売店 — 関税を請求書に書く、または書かない。
2025年の関税強化後、バーモント州のVillage Wine and Coffeeは請求書に10%の「トランプ関税」を加えた。オーナーは「政治的な意図はない」と強調し、客に値上げの理由を知ってほしいと語った。イリノイ州の焙煎業者は原産国ごとの関税率から料金を算出し、関税の一時停止とともに撤廃した。あるD2Cブランドの経営者は、5ドルのサーチャージは「主張を示すため」だと語った。[11][71]

対照的に、ボストンの玩具店Boing! Toy Shopは在庫を積み増して価格を抑え、「誰もが余分に数ドル払えるわけではない」と語った。ボストン連銀の調査では、10%の関税を想定した場合、輸入を行う小規模事業者はコスト上昇を上回る値上げを見込んでいた。ただし関税サーチャージを導入した事業者の数を示すデータは見つからず、ここでの証拠は個別事例にとどまる。[72][73]

比較表と定量チャート

以下の表は、各企業が「数字を変えること」によって何を伝えようとしたのかを横断比較したものである。企業区分は法的な分類ではなく、本調査上の分析区分である。

企業分析区分セクター主な価格行動価格が伝えたメッセージ主な根拠
McDonald’sグローバル外食価格データの公表、5ドルのセット、定番メニューの値下げ「値上げはコスト相応」から「手頃さでは負けない」へ全メニュー平均5年で約40%上昇、Extra Value Mealsは単品合計の15%引き[27][29]
PepsiCo / Frito-Layグローバル食品大幅値上げ後の値下げ「価格決定力」から「手頃さ」への撤回2022年最大+17%(二次報道)、2025年12月に値下げ方針、2026年初めに最大15%近く値下げ[4][7][74]
Starbucksグローバル外食追加料金の撤廃、価格据え置き「価格体系を公平で単純にする」植物性ミルク注文で実効最大10%低下[6]
Netflixグローバル動画配信有料共有、広告プラン、値上げ「成長は会員数から1人あたり収益へ」追加会員7.99ドル、スタンダード17.99ドル[33][35]
Appleグローバルテクノロジー仕様変更を伴う価格帯の引き上げ「関税は価格に含めていない」17 Proは1,099ドル(+100ドル)[36]
Disneyグローバル娯楽待ち時間の有料化、階層化「支払い意思に応じた体験」Premier Pass 1日129~449ドル[40]
Walmart全国小売関税による値上げの予告「負担には限界がある」バナナ50→54セント、大統領の非難[12][13]
Costco全国会員制小売象徴価格の据え置き、会費値上げ「最も見える価格は変えない」1.50ドル据え置き、更新率約92%[42][44]
Dollar Tree全国小売1ドルから1.25ドルへ「恒久的で、一時的な便乗ではない」91%が来店頻度を維持・増加と回答[45]
Chili’s全国外食10.99ドルの日常価格「ファストフードより上」既存店+31%、来店客数約+20%[49]
Chipotle全国外食約2%の値上げ、盛り付けの是正意図せず「量で値上げした」と読まれる来店客数−4.9%(2025年第2四半期)[54]
Southwest全国航空無料手荷物の廃止「収益性を優先する」株価+9%、NPSは一時低下後に回復[58][59]
Ticketmaster全国チケット需要連動価格から総額表示へ「透明性の推進者」を自称FTCなどが提訴、手数料160億ドル[62][63]
In-N-Out地域外食最低賃金引き上げ時の値上げ抑制「経営者が顧客を守る」社長発言と一部店舗の値上げ[65]
Market Basket地域食品小売低価格の維持「1ドルでより多くを」10品目で最安38.28ドル[66]
独立系飲食店ローカル外食理由を冠した別料金「値上げは自分たちのせいではない」COVID料金を2日で撤回[10]
独立系小売店ローカル小売関税サーチャージ「関税のコストを見える化する」10%の「トランプ関税」[11]

選択した価格変更を同一スケールに置くと、2020年代の価格コミュニケーションがいかに異質だったかが分かる。以下は企業の代表的な商品・サブスクリプション・料金の名目変化であり、商品カテゴリーや期間が違うため、企業間の価格競争力を比較する指数ではない。各値は公表価格や報道値から本稿で計算した。

図3 代表的な価格アクション(概算変化率)

単位:%

Xbox Game Pass Ultimate 月額(2025年)+50.0%
Dollar Tree 基本価格(2021年)+25.0%
米国CPI 2019→2024(参考)+22.7%
Trader Joe’s バナナ1本(2024年)+21.1%
ビッグマック平均価格 2019→2024+20.5%
Amazon Prime 年額(2022年)+16.8%
Netflix スタンダード(2025年)+16.1%
Costco 年会費(2024年)+8.3%
Costco ホットドッグセット(1985年〜)±0%
Starbucks 植物性ミルク注文の実効価格(最大)-10.0%
Target 値下げ例:除菌シート(2024年)-13.8%
PepsiCo スナック値下げ(最大約15%、2026年初め)-15.0%
企業の公表価格・報道された価格から本稿で計算。商品・期間が異なるため、企業間の価格競争力を比べる指数ではない。グレーは参考値。PepsiCoの値下げは対象期間後の実施。
出典
Xbox:https://www.wokv.com/news/local/microsoft-announce-game-pass-price-reduction-popular-franchise-wont-be-day-one-launch/6TFWKBMZ2BHYZJSCHPLGUUHJFI/
Dollar Tree:https://www.businesswire.com/news/home/20211123005478/en
CPI:https://www.bls.gov/regions/mid-atlantic/data/consumerpriceindexhistorical_us_table.htm
Trader Joe's:https://www.ky3.com/2024/03/25/trader-joes-raises-price-bananas-first-time-decades
McDonald's:https://corporate.mcdonalds.com/corpmcd/our-stories/article/providing-meaningful-value-to-our-fans-with-a-side-of-facts.html
Amazon:https://www.npr.org/2022/02/03/1077088524/amazon-raises-price-of-annual-prime-membership-to-139
Netflix:https://retailwire.com/netflix-prices-rise-19-million-subscribers/
Costco 年会費:https://abc7news.com/post/costco-membership-fees-current-new-customers-pay-increased-annual-rate-amid-rising-inflation/15255834/
Costco ホットドッグ:https://www.scrippsnews.com/business/company-news/costcos-1-50-hot-dog-combo-faces-inflation-the-ceos-answer
Starbucks:https://www.restaurantdive.com/news/starbucks-ends-non-dairy-upcharge-november-7-holds-prices-steady-in-2025/731591/
Target:https://fortune.com/2024/05/20/target-cutting-prices-5000-items
PepsiCo:https://www.nasdaq.com/articles/pepsico-reduces-chip-prices-15-address-consumer-concerns

この図から分かるのは、値上げ幅そのものと価格メッセージの強さは一致しないということである。Xbox Game Passの50%値上げは強い反発を招いたが、Netflixの16%の値上げは記録的な会員純増と同時に受け入れられた。Dollar Treeの25%値上げは「恒久的」という説明で受け入れられ、Trader Joe’sの21%(わずか4セント)は全国ニュースになった。逆にCostcoのホットドッグの「±0%」は、どの値上げよりも強いメッセージを発し続けている。[75][35][45][64][42]

消費者の反応も同じ方向ではない。ピュー・リサーチ・センターの2023年の調査では、72%が自動的に加算されるサービス料に反対し、画面や請求書でチップ額を提示することに賛成するのは24%にとどまった。それでもPOS事業者Toastのデータでは、フルサービス店のチップ率は約19%で安定していた。つまり消費者の不満は、支払い行動よりも、SNSでの炎上と規制強化という形で表れた。[76][77]

セクター別に見える価格メッセージ

食品・日用品では、「価格決定力」の語りが最も早く逆転した。 PepsiCo、P&G、Coca-Colaはいずれも2021~2023年に価格・ミックスで成長したが、2024年以降は語り方が分かれた。PepsiCoは値下げに追い込まれ、P&Gは製品改良と組み合わせた値上げを公言し、Coca-Colaは容器の切り替えで価格への影響を抑えると語った。食品は毎週購入されるため、消費者が価格の変化に最も敏感なカテゴリーである。[31][37][39]

外食では、「期間限定の割引」より「日常の価格」が評価された。 5ドルのセットは来店数を押し上げたが、McDonald’sは最終的に定番メニューの価格を下げる方向に移った。Chili’sは10.99ドルを固定し、比較対象を変えることで6四半期連続の2桁成長を遂げた。一方、ChipotleとSweetgreenは高価格に見合う価値を伝えられず、来店客数を落とした。2023年以降、外食の価格上昇は家庭内の食品を上回ったため、外食企業は最も強く「手頃さ」を語る必要があった。[15][29][50][54][55]

小売では、値下げリストと象徴価格が「味方である」ことの証拠になった。 Targetの5,000品目、Aldiの400品目超の値下げ、Costcoの1.50ドル、Dollar Generalの1ドル以下の2,000品目は、いずれも具体的な数字で手頃さを示している。小売の価格メッセージは、平均価格よりも数えられる数字によって伝えられた。[47][78][42]

サブスクリプションでは、値上げと階層化が「成長の物語」になった。 Netflix、Disney+、Amazon Primeはいずれも値上げを重ねたが、Netflixは有料共有と広告付きプランで階層化し、Amazonは2022年のPrime値上げを特典の拡充と賃金・輸送費の上昇で説明した。ただし動画配信の解約率は2025年第1四半期に過去最高の5.5%に達しており、繰り返し見える価格の変更には上限がある。[35][79][41]

航空・娯楽では、価格が需要管理の仕組みになった。 Southwestの手荷物料金、Deltaのプレミアム席、Disneyの有料の優先入場、Ticketmasterの需要連動価格は、同じ商品をさまざまな価格で売り分ける仕組みである。これらは富裕層の支払い意思を取り込む一方で、「公平さ」への疑念を招きやすい。FTCの総額表示規則がこの2分野(チケットと宿泊)から始まったのは偶然ではない。[58][60][40][9]

地域・独立系の事業者では、価格の説明が「人」と結びついた。 In-N-Outの社長、Market Basketの経営者、Arthur Bryant’sの掲示は、いずれも価格を個人の言葉で語っている。大企業が決算説明会で語る価格と異なり、小規模事業者の価格は顧客との直接の関係の中で評価される。そのため、理由を冠した別料金のような「仕組みの言葉」は反発を招きやすく、掲示や対話のような「人の言葉」は受け入れられやすかった。[65][66][69][10]

企業発表と外部のフレーミングを比べると、この違いはさらに鮮明になる。

ケース企業側のフレーム外部・メディア側のフレーム
McDonald’s値上げは人件費・原材料費と見合う「マックフレーション」、18ドルのビッグマックセット[27][5]
PepsiCo消費者に何が起ころうと選ばれる存在値上げのしすぎ、物言う株主の介入[31]
Walmart負担には限界がある、価格は可能な限り低く「関税を自分で負担しろ」という大統領の非難[13]
Wendy’s顧客のためのデジタル機能「サージプライシング」の導入[56]
Chipotle量を減らす指示はない盛り付け量の削減による実質値上げ[52]
Ticketmaster総額表示を長年提唱してきた手数料による「おとり商法」でFTCが提訴[62][63]
独立系飲食店COVIDやインフレによるやむを得ない料金隠れた値上げ、おとり商法[10][67]

この比較から重要なのは、企業は価格の意味を一方的には決められないということである。企業が「コスト相応の値上げ」と呼ぶものを消費者が「便乗値上げ」と読み、「デジタル機能」を「サージプライシング」と読み、「関税の見える化」を「政治的な主張」と読む可能性がある。価格メッセージは、企業、メディア、消費者団体、規制当局、政治、消費者の相互作用によって完成する。

タイムライン

2020~2025年を通して見ると、米国企業の価格コミュニケーションは、ポジショニングと危機対応 → 価格決定力と正当化 → affordability(手頃さ)への回帰と透明性の制度化という三段階で変化したと整理できる。この三段階は公式の分類ではなく、本調査のケース横断分析から導いた解釈である。

図4 2020〜2025年の価格コミュニケーションの三段階

2020〜21年

平時のポジショニングと危機対応

Dollar Treeの1.25ドル、Costcoの据え置き、COVIDサーチャージの炎上

2022〜23年

「価格決定力」と値上げの正当化

Frito-Layの大幅値上げ、Netflixの有料共有、「インフレは味方」発言

2024〜25年

affordabilityへの回帰と透明性の制度化

McDonald’sの5ドル、Chili’sの10.99ドル、FTC総額表示規則、関税と大統領の介入

本調査のケース横断分析による整理(公式の分類ではない)。

2020~2021年の第一段階では、パンデミックによる混乱の中で、価格はブランドの既存イメージを守る役割を担った。Costcoは象徴価格を維持し、Dollar Treeは1ドルを手放す際に「恒久的」と説明した。一方、地域の飲食店では「COVIDサーチャージ」が炎上し、理由を冠した別料金の危うさが最初に表面化した。[42][45][10]

2021~2023年の第二段階では、インフレの急加速により、値上げが投資家への成果報告になった。決算説明会では価格への言及が急増し、Frito-Layの大幅値上げやNetflixの有料共有が成長の源泉として語られた。同時に、「強欲インフレ」をめぐる論争が始まり、企業の言葉そのものが社会的な監視の対象になった。[80][3][4][33][17]

2024~2025年の第三段階では、インフレ率が3%前後に落ち着いても、消費者が価格に鈍感な世界には戻らなかった。McDonald’sの5ドル、Chili’sの10.99ドル、Starbucksの追加料金撤廃、Targetの値下げリスト、PepsiCoの値下げが相次いだ。同時にFTCの総額表示規則やカリフォルニア州の法律によって透明性が制度化され、関税は値上げの説明に政治的なリスクを持ち込んだ。[5][49][6][47][31][9][13]

米国の生活費の変化

企業の価格メッセージが2024年以降に「手頃さ」へ傾いた背景には、家計の負担感の蓄積がある。パンデミック前の2019年から2024年にかけて、消費者物価指数(総合)は年平均で約23%上昇した。生活に身近な費用はそれ以上に上がり、外食は約30%、家賃(主たる住居)は約27%、家庭内の食品は約27%上昇した。ガソリンの年平均価格も1ガロン2.69ドルから3.42ドルへ約27%上がった。一方、McDonald’sが公表したビッグマックの平均価格は4.39ドルから5.29ドルへの約21%の上昇で、物価全体をやや下回った。[1][81][82][83][84][26]

地域差も大きい。マンハッタンの家賃中央値は、2024年12月の4,334ドルから2025年12月には4,720ドルへ、1年で8.9%上昇した。[85]

図5 米国の生活費:2019年から2024年までの上昇率

単位:%(年平均の比較。ビッグマックは2019年と2024年5月の比較)

外食+29.7%
ガソリン(全グレード、年平均)+27.2%
家賃(主たる住居)+26.9%
家庭内の食品+26.8%
消費者物価指数(総合)+22.7%
ビッグマック平均価格+20.5%
BLSの指数とEIAの価格は2019年・2024年の年平均(月次値の単純平均)から本稿で計算。グレーは総合。
出典
BLS CPI-U 総合:https://www.bls.gov/regions/mid-atlantic/data/consumerpriceindexhistorical_us_table.htm
BLS 家賃:https://fred.stlouisfed.org/series/CUUR0000SEHA
BLS 家庭内の食品:https://fred.stlouisfed.org/series/CUUR0000SAF11
BLS 外食:https://fred.stlouisfed.org/series/CUUR0000SEFV
EIA ガソリン:https://www.eia.gov/dnav/pet/hist/LeafHandler.ashx?n=PET&s=EMM_EPM0_PTE_NUS_DPG&f=A
McDonald's(ビッグマック):https://corporate.mcdonalds.com/corpmcd/our-stories/article/providing-meaningful-value-to-our-fans-with-a-side-of-facts.html

ムーディーズの試算では、2023年7月の標準的な世帯は、同じ商品・サービスに2年前より月709ドル多く支払っていた。ミシガン大学の消費者信頼感指数は2022年6月に過去最低の50.0を記録した。こうした生活実感が、2024年以降の「バリュー戦争」の土台になった。[86][87]

日本企業への示唆

本節は米国の事例を日本企業の価格戦略に引き寄せるために設けた補足である。日本の物価上昇は米国より遅れて本格化した。総務省の消費者物価指数(総合)は、2020年0.0%、2021年−0.2%、2022年2.5%、2023年3.2%、2024年2.7%、2025年3.2%で推移した。米国が2022年に経験した急激なインフレの後、日本では2023年以降、物価上昇が定着しつつある。[88]

図6 消費者物価上昇率の日米比較

単位:%(年平均の前年比)

米国 日本

2020年米 1.2%日 0.0%
2021年米 4.7%日 -0.2%
2022年米 8.0%日 2.5%
2023年米 4.1%日 3.2%
2024年米 2.9%日 2.7%
2025年米 2.6%日 3.2%
日本は総務省、米国はBLSの統計(労働政策研究・研修機構の整理による)。
出典
日本:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shuyo/0107.html
米国:https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shuyo/0108.html

帝国データバンクによれば、主要食品メーカー195社の値上げ品目数は、2022年に25,768品目、2023年に32,396品目、2024年に12,520品目、2025年に20,609品目だった。値上げは一度きりの出来事ではなく、毎年の価格改定が前提になっている。[89][90]

日本の消費者調査にも、米国の事例と同じ構造が見られる。ボストン コンサルティング グループが2026年4月に実施した調査では、約5割が「値上げ理由の明確な説明があれば受け入れやすい」と答えた。2026年7月の別の調査(回答者200人)では、値上げに納得できない理由として「内容量が減ったのに価格が同じ」が48.5%、「値上げの理由がわからない」が47.0%で上位を占めた。[91][92]

日本にも、説明によって値上げを受け入れられた先例がある。赤城乳業は2016年、ガリガリ君を25年ぶりに60円から70円へ値上げした際、会長と社員100人超が頭を下げるCMを放映し、企業努力をたたえる声が多く寄せられた。[93]

米国の2020年代の経験から、日本企業が引き出せる示唆は次の5点に整理できる。

  1. 顧客が記憶する象徴価格を特定し、守る。 CostcoやChili’sのように、すべての価格ではなく、顧客が最も注視する価格を守ることで、全体の印象を保てる。
  2. 値上げの理由は、コストの言葉で具体的に説明する。 Dollar TreeやWalmartのように、何がどれだけ上がったのかを示すことが、二重の権原の観点からの公正さを支える。
  3. 理由を冠した別料金は避け、総額で示す。 米国の地域の飲食店は、別料金を数日で撤回する経験を繰り返した。
  4. 内容量の削減は、気づかれた時点で値上げより重い不信を生む。 Chipotleの盛り付け量問題と日本の調査結果は同じ方向を示している。
  5. 投資家向けの言葉と消費者向けの言葉を一致させる。 PepsiCoの「選ばれる存在」発言は、消費者の現実との乖離を示し、後の撤回につながった。

補論:対象期間後(2026年)の動き

対象期間外ではあるが、2020~2025年の価格行動の帰結として、以下の動きを記録しておく。いずれも本稿の分析には含めていない。

  • 関税の法的地位の変化: 2026年2月20日、連邦最高裁はIEEPA(国際緊急経済権限法)は関税を認める根拠にならないと判断した。同年2月24日から通商法122条に基づく15%の関税が発効した。ミネアポリス連銀は2026年8月、関税の価格転嫁が遅れて到来し、2026年7月時点でコアPCEを0.2~0.4ポイント押し上げていると推計した。[94][95]
  • Walmart: 2026年8月、約30億ドルの関税還付金を「価格への投資」に優先的に充てると説明した。関税をめぐるメッセージは、値上げの説明から還付金による値下げへと変わった。[96]
  • PepsiCo: 2026年初め、Lay’s、Doritos、Cheetos、Tostitosなどで最大15%近い値下げを実施した。[74]
  • Starbucks: 2026会計年度第2四半期に米国の既存店売上高が7.1%増、来店客数が4.3%増となり、来店客数主導の回復を示した。[97]
  • Xbox Game Pass: 2026年4月、Ultimateを29.99ドルから22.99ドルに引き下げた。新CEOは社内メモで「プレイヤーにとって高すぎるものになった」と認めたと報じられた。[98]
  • 物価の再上昇: 2026年はエネルギー価格の高騰により消費者物価が再び上昇し、5月には前年同月比4.2%となった。[2]

結論とデータギャップ

本調査から導かれる第一の結論は、2020年代の米国では、価格が投資家への成果報告であると同時に、消費者への公約になったということである。

McDonald’sの5ドルは「手頃さでは負けない」、Costcoの1.50ドルは「最も見える価格は変えない」、Dollar Treeの1.25ドルは「一時的な便乗ではない」、Chili’sの10.99ドルは「ファストフードより上」、Starbucksの追加料金撤廃は「価格体系を公平にする」、Netflixの有料共有は「成長の源泉が変わった」、Appleの据え置きは「関税は価格に含めない」、Walmartの値上げ予告は「負担には限界がある」を伝えた。[5][42][45][49][6][33][36][12]

第二に、「価格決定力」は消費者が取り消すことのできる許可である。 2021~2023年に投資家から評価された値上げは、2024年以降に販売数量と来店客数の減少として跳ね返った。PepsiCoの値下げは、その最も明確な例である。価格決定力を「消費者についての事実」として扱った企業ほど、後に公の撤回を迫られた。[31]

第三に、価格を下げることと、手頃さを伝えることは同じではない。 Chili’sが強かったのは安いからだけではなく、10.99ドルという数字を固定し、比較対象を変えたからである。McDonald’sも期間限定の割引から定番メニューの価格へ軸足を移した。価格コミュニケーションでは平均価格よりも、消費者が記憶する象徴的価格が重要になる。[49][29]

第四に、正当な理由があることと、受け入れられることは別である。 Walmartは関税というコストを具体的に説明したが、それは政治的な非難を招いた。Arthur Bryant’sの掲示は受け入れられたが、同じ理由を請求書の別項目にした店は炎上した。理由の正当性だけでなく、どこで、どのような言葉で伝えるかが受容を左右する。[13][69][10]

第五に、透明性は選択肢から義務へ変わった。 カリフォルニア州の法律、ニューヨーク州のアルゴリズム価格の表示義務、FTCの総額表示規則は、価格の決め方と見せ方そのものを規制の対象にした。後出し料金や個人別価格は、評判のリスクだけでなく法的リスクも伴う。[18][22][9]

第六に、内容量の削減は、価格コミュニケーション上もっとも危険な戦略の一つである。 GAOのデータが示すように、シュリンクフレーションの物価全体への影響は小さい。しかしChipotleのケースが示すように、顧客は内容量の減少を値上げとして数え、気づいた瞬間に企業のメッセージは「値上げを抑えた」から「値上げを隠した」へ逆転する。[24][54]

第七に、象徴的な約束を手放しても、短期的な指標は回復しうる。 Southwestは無料手荷物を廃止したが、顧客推奨度は回復し、株価は上昇した。これは「信頼は常に勝つ」という単純な結論への重要な反例である。市場は手数料収入を、失われたロイヤルティよりも早く評価する可能性がある。長期的なブランドへの影響は、現時点では測定されていない。[58][59]

証拠の強さには差がある。McDonald’s、Costco、Dollar Tree、Chili’s、Starbucks、Netflixは、価格・日付・企業説明・業績に関する一次資料や主要報道が充実している。PepsiCoの価格推移の一部は二次報道に依拠している。地域の飲食店や小売店の事例は個別の報道に基づくもので、全体の傾向を示す定量データではない。関税サーチャージを導入した事業者の数、Targetの値下げによる来店客数への効果、Southwestの長期的なロイヤルティへの影響は、公開データからは確認できなかった。

また、本稿の「信頼」に関する主張は、既存店売上高、来店客数、更新率などの業績データからの推論であり、ACSIやYouGov BrandIndexのようなブランド信頼度調査に基づくものではない。2020~2025年には、パンデミック、サプライチェーンの混乱、インフレ、関税、金利上昇が同時に起きている。そのため、各社の業績を「価格コミュニケーションだけの効果」と断定することはできない。本稿で強く言えるのは、企業が何を伝えたかと、限定されたケースで消費者がどう反応したかまでであり、売上への純粋な因果効果ではない。

最終的に、2020年代前半の米国で企業が価格を通じて伝えたメッセージは、一つではなかった。

McDonald’sは「値上げには理由がある」と説明し、やがて「手頃さでは負けない」と約束した。
PepsiCoは「価格決定力がある」と語り、やがて「手頃さが最大の課題だ」と認めた。
Costcoは「この1.50ドルは変えない」と伝えた。
Dollar Treeは「1ドルを手放す理由」を伝えた。
Chili’sは「ファストフードより上」と伝えた。
Starbucksは「不公平に見える料金をなくす」と伝えた。
Walmartは「負担には限界がある」と伝え、政治の反発を受けた。
地域の飲食店では、理由を冠した別料金に対して、消費者から「それは隠れた値上げだ」というメッセージが返ってきた。

したがって米国市場で2020年代の価格戦略を考える際、最も重要な問いは「いくらにするか」だけではない。顧客はどの価格を記憶しているのか。その価格の変化を、どのような言葉と場所で説明するのか。そして、投資家に語る言葉と顧客に語る言葉は一致しているのか。 2020~2025年の事例を見る限り、この三つに答えられる企業ほど、価格を単なる会計上の数字ではなく、信頼と立場を伝えるメディアとして使うことができた。

参考文献

  1. BLS「CPI-U, U.S. city average(Historical)」
    https://www.bls.gov/regions/mid-atlantic/data/consumerpriceindexhistorical_us_table.htm
  2. US Inflation Calculator「Current US Inflation Rates」(BLSデータ)
    https://www.usinflationcalculator.com/inflation/current-inflation-rates/
  3. NPR via VPM「Corporations are booking record profits…」
    https://www.vpm.org/npr-news/2022-11-15/corporations-are-booking-record-profits-is-it-thanks-to-price-gouging
  4. Complex via Yahoo Finance(二次報道)「Doritos helped cost Pepsi」
    https://finance.yahoo.com/markets/stocks/articles/7-doritos-helped-cost-pepsi-152032680.html
  5. Fortune「McDonald's $5 value meal」
    https://fortune.com/2024/06/20/mcdonalds-5-dollar-value-meal
  6. Restaurant Dive「Starbucks ends non-dairy upcharge」
    https://www.restaurantdive.com/news/starbucks-ends-non-dairy-upcharge-november-7-holds-prices-steady-in-2025/731591/
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    https://www.fox5vegas.com/2025/12/09/pepsico-cut-prices-eliminate-products-part-deal-with-activist-investor/
  8. FSR Magazine「California Restaurants Avoid Service Fee Ban」
    https://www.fsrmagazine.com/feature/california-restaurants-avoid-service-fee-ban-thanks-to-new-law
  9. TechCrunch「FTC bans hidden fees for live events and short-term rentals」
    https://techcrunch.com/2025/05/05/ftc-bans-hidden-fees-for-live-events-and-short-term-rentals-effective-may-12/
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    https://jonesday.com/en/insights/2025/11/new-yorks-novel-algorithmic-pricing-disclosure-law-takes-effect
  23. Groundwork Collaborative「Instacart ends pricing experiments」
    https://groundworkcollaborative.org/news/facing-backlash-and-ftc-probe-instacart-ends-pricing-experiments-in-wake-of-groundwork-report/
  24. GAO「GAO-25-107451(シュリンクフレーション)」
    https://files.gao.gov/reports/GAO-25-107451/index.html
  25. Kahneman, Knetsch & Thaler (1986), American Economic Review
    https://ideas.repec.org/a/aea/aecrev/v76y1986i4p728-41.html
  26. McDonald's「Providing meaningful value to our fans, with a side of facts」(2024年5月29日)
    https://corporate.mcdonalds.com/corpmcd/our-stories/article/providing-meaningful-value-to-our-fans-with-a-side-of-facts.html
  27. MarketBeat/AP「McDonald's says $18 Big Mac meal was an exception」
    https://www.marketbeat.com/articles/mcdonalds-says-18-big-mac-meal-was-an-exception-and-news-reports-overstated-its-price-increases-2024-05-29
  28. QSR Magazine「McDonald's sees big boosts in traffic」
    https://www.qsrmagazine.com/food/burgers/mcdonalds-sees-big-boosts-in-traffic-thanks-to-5-meal-deal/
  29. Restaurant Dive「McDonald's launches Extra Value Meals」
    https://www.restaurantdive.com/news/mcdonads-launches-extra-value-meals/758961/
  30. Franchise Times「McDonald's reports systemwide sales increase」
    https://www.franchisetimes.com/franchise_news/mcdonald-s-reports-systemwide-sales-increase-driven-by-value-meals/article_05d6e122-bfce-487d-b335-e02b4b69b673.html
  31. Fortune「PepsiCo Frito-Lay chips…」
    https://fortune.com/2026/04/07/pepsico-frito-lay-chips-food-and-drink-inflation-consumer-products-doritos-cheetos-tostitos
  32. Starbucks「Q4 and Full Fiscal Year 2025 Results」
    https://about.starbucks.com/press/2025/starbucks-reports-q4-full-fiscal-year-2025-results/
  33. CNBC「Netflix password sharing crackdown」
    https://www.cnbc.com/amp/2023/05/23/netflix-password-sharing-crackdown.html
  34. ABC7 Chicago「Netflix raising prices」
    https://abc7chicago.com/netflix-raising-prices-price-increase-2023-tiers/13937378/
  35. RetailWire「Netflix prices rise after 19 million subscribers」
    https://retailwire.com/netflix-prices-rise-19-million-subscribers/
  36. AOL/Yahoo「iPhone price hikes aren't…」(ティム・クックCEOのCNBCインタビュー)
    https://www.aol.com/articles/iphone-price-hikes-aren-t-184704948.html
  37. AP via Hawaii News Now「P&G to raise prices partly due to tariffs」
    https://www.hawaiinewsnow.com/2025/07/30/pg-maker-tide-charmin-raise-prices-part-due-tariffs/
  38. Modern Retail「Nike expects $1.5B in annualized tariff costs」
    https://www.modernretail.co/operations/nike-grappling-with-further-fallout-from-tariffs-now-expects-1-5b-in-annualized-costs/
  39. CNN via KRDO「Why aluminum tariffs won't raise the price of Coke」
    https://krdo.com/news/2025/03/02/why-trumps-aluminum-tariffs-wont-raise-the-price-of-your-can-of-coke/
  40. NBC News「Disney rolls out line-skipping passes」
    https://www.nbcnews.com/business/business-news/disney-rolls-line-skipping-park-passes-costing-449-rcna175799
  41. eMarketer「Disney announces fourth streaming price hike」
    https://www.emarketer.com/content/disney-announces-fourth-streaming-price-hike-many-years
  42. Scripps News「Costco's $1.50 hot dog combo」
    https://www.scrippsnews.com/business/company-news/costcos-1-50-hot-dog-combo-faces-inflation-the-ceos-answer
  43. ABC7 News「Costco membership fees」
    https://abc7news.com/post/costco-membership-fees-current-new-customers-pay-increased-annual-rate-amid-rising-inflation/15255834/
  44. Anchorage Daily News/WaPo「Costco tested members with higher fees」
    https://www.adn.com/business-economy/2025/10/20/costco-tested-members-with-higher-fees-the-results-are-in/
  45. Dollar Tree(Business Wire)「$1.25 price point」
    https://www.businesswire.com/news/home/20211123005478/en
  46. Supermarket News「Dollar Tree bumping some products up to $7」
    https://supermarketnews.com/finance/dollar-tree-bumping-some-products-up-to-7
  47. Fortune「Target cutting prices on 5,000 items」
    https://fortune.com/2024/05/20/target-cutting-prices-5000-items
  48. NACS Daily「Target to cut prices on over 3,000 items」
    https://www.convenience.org/Media/Daily/2025/November/12/5-Target-to-Cut-Prices-on-Over-3,000-Items_Finance
  49. Restaurant Dive「Chili's 31% comparable sales」
    https://www.restaurantdive.com/news/chilis-31-percent-comprable-sales-broke-records-traffic-up-fiscal-q2-2025/738678/
  50. Restaurant Dive「Chili's sixth quarter of double-digit growth」
    https://www.restaurantdive.com/news/chilis-sixth-quarter-double-digit-sales-growth-everyday-value/803929
  51. Nation's Restaurant News「Applebee's launches $9.99 meal deal」
    https://www.nrn.com/casual-dining/applebee-s-launches-999-meal-deal-part-its-value-refinement-strategy
  52. CNN via KTVZ「Chipotle's CEO weighs in on portion size debate」
    https://ktvz.com/money/cnn-business-consumer/2024/07/24/chipotles-ceo-weighs-in-on-the-burrito-bowl-portion-size-debate/
  53. Fortune「Chipotle admits to raising prices」
    https://www.fortune.com/2024/12/06/chipotle-admits-to-raising-prices
  54. Fortune「Chipotle earnings: CEO says not getting credit」
    https://fortune.com/2025/07/24/chipotle-earnings-ceo-scott-boatwright-credit-consumers-affordable
  55. Nation's Restaurant News「Sweetgreen's 9.5% same-store sales decline」
    https://www.nrn.com/fast-casual/sweetgreen-s-9-5-same-store-sales-decline-highlights-value-perception-issues
  56. FOX6「Wendy's denies surge pricing」
    https://www.fox6now.com/news/wendys-backlash-surge-pricing-reports-denies-claims
  57. AP via KVIA「How much will Southwest change」
    https://kvia.com/news/2024/09/25/how-much-will-southwest-airlines-change-to-boost-profits-some-details-are-emerging-2/
  58. ABC7 NY「Southwest Airlines is getting rid of free checked bags」
    https://abc7ny.com/post/southwest-airlines-is-getting-rid-free-checked-bags/16006438/
  59. Customer Experience Dive「Southwest's NPS bounces back」
    https://www.customerexperiencedive.com/news/southwests-nps-bounces-back-after-elimination-of-marquee-policies/803686/
  60. Fortune「Delta premium seats surpass main cabin」
    https://fortune.com/2025/10/09/delta-earnings-premium-seat-surpass-main-cabin-wealthy-americans-economy
  61. The Ticketing Business「Ticketmaster releases statistics after Springsteen pricing anger」
    https://www.theticketingbusiness.com/2022/07/ticketmaster-releases-statistics-following-bruce-springsteen-ticket-pricing-anger/
  62. PBS NewsHour/AP「Junk fee rule now in effect」
    https://www.pbs.org/newshour/nation/a-biden-era-junk-fee-rule-is-now-in-effect-ticketmaster-says-it-will-display-fees-more-clearly
  63. FOX5 Vegas「FTC sues Ticketmaster, Live Nation」
    https://www.fox5vegas.com/2025/09/18/ftc-sues-ticketmaster-live-nation-over-deceptive-pricing-resale-tactics/
  64. KY3「Trader Joe's raises price of bananas」
    https://www.ky3.com/2024/03/25/trader-joes-raises-price-bananas-first-time-decades
  65. KTVU/Fox Business「In-N-Out president fought to keep prices down」
    https://ktvu.com/news/in-n-out-president-fought-to-keep-prices-down-amid-california-minimum-wage-hike
  66. Boston Globe「Market Basket grocery prices」
    https://www.bostonglobe.com/2025/07/21/business/market-basket-groceries-super-market-costs-prices
  67. Colorado Springs Gazette「Inflation fees at local restaurants」
    https://gazette.com/?p=1087859
  68. Retail Brew「Kitchen appreciation fees」
    https://www.retailbrew.com/stories/2023/01/31/tipflation-with-kitchen-appreciation-fees-restaurants-try-to-address-the-back-of-house-pay-gap
  69. KCTV5「Kansas City barbeque staple raises prices again」
    https://www.kctv5.com/2022/03/18/inflation-kansas-city-barbeque-staple-raises-prices-again-suggests-customers-call-washington-dc/
  70. NFIB「Inflation continues impact on small businesses」
    https://www.nfib.com/news/press-release/new-nfib-survey-inflation-continues-impact-on-small-businesses/
  71. Modern Retail「Brands debate tariff surcharges at checkout」
    https://www.modernretail.co/operations/brands-debate-the-pros-and-cons-of-tariff-surcharges-at-checkout-as-costs-climb/
  72. KTVZ/CNN「Toy store owner keeps prices down」
    https://ktvz.com/cnn-regional/2025/05/02/toy-store-owner-takes-steps-to-keep-prices-down-for-customers-due-to-tariffs/
  73. ボストン連銀「SMB expectations concerning tariffs, costs, and prices」
    https://www.bostonfed.org/publications/current-policy-perspectives/2025/smb-expectations-concerning-tariffs-costs-prices.aspx
  74. Nasdaq「PepsiCo reduces chip prices 15% to address consumer concerns」
    https://www.nasdaq.com/articles/pepsico-reduces-chip-prices-15-address-consumer-concerns
  75. TechRadar「Xbox Game Pass price hikes」
    https://www.techradar.com/gaming/pc-gaming/the-xbox-game-pass-price-hikes-are-so-bad-it-literally-crashed-the-membership-site-due-to-widespread-cancellations
  76. Pew Research Center「How Americans see recent developments in tipping」
    https://www.pewresearch.org/2023/11/09/how-americans-see-recent-developments-in-tipping/
  77. Toast「What is the average tip percentage」
    https://pos.toasttab.com/blog/on-the-line/what-is-the-average-tip-percentage
  78. FOX Business via FOX 26「Aldi is cutting prices on hundreds of items」
    https://www.fox26houston.com/money/aldi-is-cutting-prices-hundreds-items-summer
  79. NPR「Amazon raises price of annual Prime membership to $139」
    https://www.npr.org/2022/02/03/1077088524/amazon-raises-price-of-annual-prime-membership-to-139
  80. GlobalData「Mentions of pricing saw double-digit rise in earnings calls, Q1 2022」
    https://www.globaldata.com/media/business-fundamentals/mentions-pricing-saw-double-digit-rise-company-earnings-call-discussions-q1-2022-amid-russia-ukraine-conflict-says-globaldata/
  81. BLS「CPI: Rent of primary residence」(FRED経由)
    https://fred.stlouisfed.org/series/CUUR0000SEHA
  82. BLS「CPI: Food at home」(FRED経由)
    https://fred.stlouisfed.org/series/CUUR0000SAF11
  83. BLS「CPI: Food away from home」(FRED経由)
    https://fred.stlouisfed.org/series/CUUR0000SEFV
  84. EIA「U.S. All Grades All Formulations Retail Gasoline Prices」
    https://www.eia.gov/dnav/pet/hist/LeafHandler.ashx?n=PET&s=EMM_EPM0_PTE_NUS_DPG&f=A
  85. Douglas Elliman / Miller Samuel「Rental report, December 2025」
    https://elliman.com/media/Rental_12_2025_35625b754f.pdf
  86. CNN「Inflation: families spending more per month」(ムーディーズの試算)
    https://us.cnn.com/2023/08/11/economy/inflation-rate-spending/index.html
  87. FXStreet「UoM consumer sentiment plunges to record low of 50」
    https://www.fxstreet.com/amp/news/us-uom-consumer-sentiment-plunges-to-record-low-of-50-final-in-june-202206241409
  88. 労働政策研究・研修機構「主要労働統計指標:物価」(総務省データ)
    https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/shuyo/0107.html
  89. DIME「帝国データバンク:食品値上げ」(2022・2023年)
    https://dime.jp/genre/1719952/
  90. マイナビニュース「帝国データバンク:食品値上げ」(2024・2025年)
    https://news.mynavi.jp/article/20251228-3876868/
  91. ボストン コンサルティング グループ「価格転嫁に関する企業・消費者調査」
    https://www.bcg.com/ja-jp/press/27may2026-pricing-survey-april2026
  92. コマースピック「商品の値上げ『納得できない』が52.5%」
    https://www.commercepick.com/archives/97384
  93. J-CAST「ガリガリ君、社員総出の『お詫びCM』」
    https://www.j-cast.com/2016/04/02263113.html
  94. McCarter & English「IEEPA tariffs held unlawful」
    https://www.mccarter.com/insights/ieepa-tariffs-held-unlawful-section-122-tariffs-commence-trade-deals-likely-to-falter/
  95. ミネアポリス連銀「The pass-through of tariffs to consumer prices has arrived」
    https://minneapolisfed.org/article/2026/initially-delayed-the-pass-through-of-tariffs-to-consumer-prices-has-arrived
  96. FOX 7 Austin「Walmart tariff refunds」
    https://www.fox7austin.com/news/walmart-tariff-refunds-prices
  97. Quartz via Yahoo Finance「Starbucks Q2 2026 earnings」
    https://finance.yahoo.com/markets/stocks/articles/starbucks-q2-2026-earnings-beat-204005223.html
  98. WOKV/Cox「Microsoft announces Game Pass price reduction」
    https://www.wokv.com/news/local/microsoft-announce-game-pass-price-reduction-popular-franchise-wont-be-day-one-launch/6TFWKBMZ2BHYZJSCHPLGUUHJFI/

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