なぜ技術職・研究職のインタビューは「ありきたりな内容」で終わってしまうのか
「社員インタビューを企画したものの、技術職や研究職の社員が口を揃えて『特別なことは何もしていません』と謙遜してしまう」「質問に対して『はい』『いいえ』に近い短い回答しか戻ってこず、記事のボリュームが出ない」……。採用広報を担当する人事の方から、このようなお悩みを非常によく伺います。
専門職の彼らは、日々地道な研究や精緻な開発に向き合っており、自身の仕事を「当たり前の日常」として捉えがちです。また、専門知識がない人に説明しても伝わらないだろうという諦めや、誇大に表現することを嫌う誠実さ(職人気質)を持っていることも少なくありません。
つまり、彼らに「何か面白いエピソードはありますか?」とストレートに聞くのはNGなのです。彼らの頭の中にある「凄み」や「仕事への執念」を引き出せないのは、本人の口下手さが原因ではなく、人事側の「問いの立て方」に構造的な原因があります。
技術職の心を解きほぐす「インタビューシート」3つの設計思想
口数の少ない技術職・研究職からディープな本音を引き出すためには、取材前の「インタビューシート(質問表)」の設計が命運を握ります。以下の3つの視点を取り入れてシートをアップデートしましょう。
1. 「抽象的な問い」を「具体的なファクト」へ解体する
「やりがいは何ですか?」という抽象的な質問は、技術職が最も困る問いの一つです。やりがいという感情ではなく、彼らが日々向き合っている「モノ」や「現象」、「タイムライン」に焦点を当てた質問に変える必要があります。
2. 「自慢」ではなく「苦労と工夫」を開示してもらう
多くの技術職は、自分の成果を誇大に語ることを嫌います。しかし、「どこで最も苦戦したか」「どうやってそれを乗り越えたか」という壁とその突破口(プロセス)についてであれば、技術的な事実として滑らかに話してくれる傾向があります。
3. 「感情の動いた瞬間」をピンポイントで突く
ロジカルに見える技術職も、開発の過程では強烈なこだわりや悔しさ、喜びを感じています。その「感情の起伏」が起きた瞬間を特定する問いを用意しておきます。
明日から使える!インタビューシートの質問言い換え例
インタビューシートに記載する質問文を、以下のように「編集の視点」で翻訳してみてください。これだけで、返ってくるエピソードの具体性が劇的に変わります。
- 【Before】 仕事のやりがいは何ですか?
【After】 このプロジェクトの中で、「一番アドレナリンが出た瞬間(または最も脳に汗をかいた瞬間)」はどこですか? - 【Before】 当社の技術力の強みはどこだと思いますか?
【After】 競合他社やこれまでの既存技術と比べて、「ここだけは絶対に譲れない、うちが圧倒的に尖っている」と感じる部分はどこですか? - 【Before】 職場の雰囲気はどうですか?
【After】 開発中、チーム内で行き詰まったとき、メンバー同士でどんな議論やホワイトボードの書き込みが行われましたか?
【事例で見る】編集の技術によるBefore/After(リライト例)
取材で引き出した断片的な言葉を、求職者(同じく技術職・研究職)の心に刺さる文章へどう落とし込むか。「言葉の翻訳」の技術を事例でご紹介します。
【Before】一問一答をそのまま文章化した場合
「私の仕事は生産ラインの自動化プログラムの開発です。日々バグとの戦いですが、スケジュール通りにラインが稼働したときは達成感があります。比較的静かな職場ですが、困ったときは先輩が優しく教えてくれるので、働きやすい環境だと思います。」
※事実ですが、どこにでもある「ありきたりな記事」に見えてしまい、優秀な技術者の目には留まりません。
【After】プロの編集・翻訳を施した場合
「コンマ1秒の遅れも許されない生産ライン。私たちが挑むのは、人間でも見落とす微細なエラーを検知する自動化プログラムの構築です。開発の佳境では、1行のコードのバグを巡って先輩と夜遅くまでホワイトボードを数式で埋め尽くし、議論を戦わせることも珍しくありません。だからこそ、数ヶ月に及ぶ試行錯誤の末、巨大な工場のラインが一斉に非の打ち所なく動き出した瞬間は、鳥肌が立つほどの興奮があります。職人は寡黙ですが、技術への執念は誰よりも熱い。それが私たちのチームです。」
※単なる「働きやすさ」ではなく、「どのような技術的難易度に、どんな熱量で挑んでいるか」がビビッドに伝わる内容へと昇華されています。
まとめ:本当の「技術の凄み」を届けるために
技術職や研究職のインタビューのコツは、彼らの職人気質な誠実さに寄り添い、客観的なファクトと言葉の翻訳を通じて、内に秘めた熱量を引き出すことにあります。インタビューシートの問いの立て方一つで、彼らが語るエピソードの深さは見違えるほど変わるはずです。
とはいえ、「社内のリソースだけでは、専門的な技術内容を噛み砕いて魅力的なストーリーに仕上げるのが難しい」「取材時にどこまで技術に踏み込んでいいか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
株式会社アワード(A_WORD_INC.)では、長年の編集現場で培った「圧倒的なフィールド知識」と「編集の技術」を活かし、BtoB企業や大手メーカー様の採用ブランディング・コンテンツ制作を数多く手掛けています。技術の難しさを魅力に変え、優秀な理系人材の心を動かすオウンドメディア記事の制作実績は、下記よりご覧いただけます。
まずは他社がどのように自社の強みを言語化しているか、実際の事例をヒントにしてみてください。自社採用の可能性を広げる具体的なアイデアをご提案いたします。