採用サイトに「動画も入れたほうがいい」と聞いたことがある方は多いかもしれません。ただ、いざコンテンツを設計しようとすると「何を動画にして、何をテキストで伝えるべきなのか」という判断に迷う方も少なくないようです。動画もテキストも、どちらも採用コンテンツとして有効ですが、得意なことと苦手なことがそれぞれ異なります。役割を整理せずに制作すると、コストをかけた動画が活用しきれなかったり、求職者に伝えるべき情報が抜け落ちたりするリスクがあります。この記事では、採用動画とテキストの役割分担を整理し、採用フェーズに応じた使い分けと組み合わせ方のポイントをお伝えします。
採用コンテンツの形式は動画とテキストの2種類が中心
まず、採用コンテンツのフォーマット全体を整理してみましょう。
採用サイトで活用されるコンテンツは、大きく「動画」と「テキスト」の2種類に分類できます。動画には会社紹介ムービー・社員インタビュー動画・オフィスツアー動画・ショート動画などが含まれます。テキストには社員インタビュー記事・募集要項・キャリアパス紹介・FAQ・1日の流れなどが代表的です。
ひとつの情報テーマに対して、動画とテキストのどちらで表現するかによって、求職者への伝わり方が変わります。たとえば、職場の雰囲気を伝えたい場合、テキストと写真だけで説明するより、オフィスの様子を動画で見せるほうが「空気感」は伝わりやすい傾向があります。一方で、選考フローや条件などの情報は、動画より文字で読める形式のほうが後から確認しやすいといえるでしょう。
つまり、動画とテキストは「どちらが優れているか」ではなく、「それぞれの得意領域に合わせて使い分けるもの」として設計することが重要です。
動画コンテンツが得意なこと・苦手なこと
動画の特性を整理しておくと、「どこに動画を使うか」の判断がしやすくなります。
動画が得意なこと
採用動画がもっとも力を発揮するのは、「感情に訴える情報」を伝えるときです。たとえば、次のような情報は動画との相性がよいといえるでしょう。
- 職場の雰囲気・チームの空気感
- 社員の表情・話し方・エネルギー感
- 経営者のビジョンや熱量
- オフィス環境・設備・立地の臨場感
これらは文字で説明することも可能ですが、実際に見て聞くことで感じられる「リアル感」は動画のほうが圧倒的に伝わりやすいといえます。求職者が「ここで働くイメージ」を持てるかどうかに大きく関わります。また近年は、TikTokやYouTubeショートへの採用ショート動画投稿を通じて、採用サイトを訪問する前の認知獲得にも動画が活用されています。
動画が苦手なこと
一方で、動画には以下のような限界もあります。
- 詳細な条件・数字の確認には向かない(スキップされやすい)
- 検索エンジンからの流入には直接つながりにくい
- 後から特定の情報を見返しにくい
- 制作・更新のコストがテキストより高い
条件変更や制度の更新が発生したとき、テキストなら即座に修正できますが、動画の場合は再撮影・再編集が必要になるため、フレキシブルな更新が難しいという実務上の課題もあります。
テキストコンテンツが得意なこと・苦手なこと
テキストの特性も整理しておきましょう。
テキストが得意なこと
テキストが採用コンテンツとして発揮する強みは、主に以下の3点です。
- 検索エンジン経由での流入(SEO)
- 条件・手順・数字など論理的な情報の伝達
- 求職者が自分のペースで読み返せる利便性
- 社員インタビューをはじめとした深い情報の積み上げ
たとえば、「この会社の福利厚生はどうか」「育休取得実績は何件か」「選考まで何週間かかるか」といった疑問に答えるのは、テキストのほうが適しています。読み飛ばしたり戻ったりしながら確認できるため、検討段階の求職者にとって使いやすい形式です。
テキストが苦手なこと
その一方で、テキストには以下のような弱点があります。
- 職場の空気感・社員の雰囲気を感情的に伝えるのが難しい
- 長文になると離脱率が上がりやすい
- ファーストインパクトが動画より弱い
テキストだけで「会社の雰囲気」を伝えようとすると、どうしても言葉の限界があります。ここに動画が補完的に機能するわけです。
採用フェーズ別・動画とテキストの使い分け
ここでは、採用活動の4つのフェーズ(認知→興味→検討→応募)に沿って、動画とテキストをどのように配置するかを整理してみましょう。
ステップ1: 自社の採用フェーズを整理する
まず、現在の採用活動でどのフェーズに課題があるかを書き出します。「そもそも認知されていない」「採用サイトへの流入はあるが応募につながらない」「応募後の辞退が多い」など、課題のフェーズによってコンテンツ設計の優先順位が変わります。
ステップ2: 各フェーズに必要な情報を決める
フェーズごとに求職者が求める情報は異なります。認知フェーズでは「どんな会社か」を一瞬で伝える企業の雰囲気・キャッチコピーが求められます。興味フェーズでは「ここで働く人たちはどんな人か」という社風・社員の姿が重要になります。検討フェーズでは「自分に合う条件か・成長できるか」という制度・キャリアパスが必要です。応募フェーズでは「どう応募すればよいか」という選考フロー・FAQが求められます。
ステップ3: 情報ごとにフォーマットを割り当てる
各フェーズに必要な情報を洗い出したら、動画とテキストのどちらに割り当てるかを判断します。感情共感・雰囲気伝達が必要な情報は動画に、条件・手順・詳細情報は検索・保存しやすいテキストに割り当てると機能しやすいといえるでしょう。
ステップ4: 動画とテキストをセットで設計する
同じテーマを動画とテキストの両方で展開する「並走設計」が、実務的には効果的です。社員インタビューを動画で見せつつ、テキスト記事としても読める形にしておけば、「動画を見ない求職者」にも情報が届き、SEO流入も期待できます。
ステップ5: 公開後に遷移率・完了率で検証する
動画の視聴完了率・テキストページの滞在時間・応募フォームへの遷移率を継続的に確認します。どのコンテンツで求職者の関与が高まっているかを把握しながら、動画・テキストの配置や内容を改善していきましょう。
[関連記事: 採用サイトのコンセプト設計手順]動画×テキスト組み合わせ事例
動画とテキストを効果的に組み合わせているコンテンツパターンを、いくつか整理してみましょう。
事例パターン1:社員インタビューの並走型
採用サイト上の社員インタビューページに、インタビュー動画(2〜3分)とテキスト記事を並べて掲載するパターンです。動画を視聴した求職者がテキストで詳細を確認するケースも多く、双方向で補完関係が生まれます。動画を見る時間がない求職者にも、テキストで内容が届く設計です。
事例パターン2:会社紹介動画+FAQテキスト
ファーストビューに会社紹介動画を配置し、その下にFAQやキャリアパスのテキストを続けるパターンです。動画でまず感情的な関与を引き出し、テキストで検討に必要な論理情報を届ける設計といえるでしょう。動画で「なんかいい会社そう」と思わせてから、テキストで「自分に合いそうか」を判断させる流れを意図しています。
事例パターン3:SNSショート動画→採用サイト誘導→テキスト記事
TikTokやInstagramのショート動画(30〜60秒)で職場の雰囲気を発信し、採用サイトへの流入を促します。サイトに訪問した求職者には、より詳細なテキストコンテンツ(社員インタビュー記事・制度説明)を読んでもらう設計です。認知獲得を動画、検討深化をテキストが担う分業構造です。
コスト・リソースの観点
採用コンテンツの設計では、制作コストとリソースのバランスも現実的な判断軸です。一般的に動画制作はテキスト制作よりコストが高く、専門的なスキルが必要です。予算・人手が限られている場合、まずテキストコンテンツを整備してSEO流入を確保し、段階的に動画を追加していくアプローチが現実的といえるでしょう。
よくある質問
採用動画の制作費用はどのくらいかかりますか? 採用動画の制作費用は内容・長さ・制作会社によって大きく異なります。撮影・編集込みの会社紹介動画で50〜200万円程度が目安です。スマートフォンで撮影したショート動画であれば社内制作も可能で、数万円程度のコストに抑えられる場合もあります。
採用コンテンツは動画とテキストのどちらを優先すべきですか? まず募集要項・選考フロー・FAQなどのテキストコンテンツを整備したうえで、社風や職場の雰囲気を伝える動画を追加するのが現実的な順序です。テキストは検索流入・情報保存に強く、動画は感情共感・イメージ形成に強いため、両者を補完的に設計することが重要です。
採用動画はどのくらいの尺が適切ですか? 採用サイトに掲載するメインの会社紹介動画であれば2〜3分程度が目安です。SNS向けのショート動画は60秒以内が推奨されます。ターゲットや訴求内容によって最適尺は変わるため、まず「何を伝えたいか」から逆算して尺を決めることが大切です。
動画とテキストを組み合わせるときのコツはありますか? 同じコンテンツテーマを動画とテキストで並走させる方法が効果的です。たとえば社員インタビューを動画で見せたうえで、その内容をテキスト記事として再掲すると、動画を見ない求職者にも情報が届き、SEO流入も期待できます。
採用動画の効果はどうやって測定すればよいですか? 動画の再生回数・視聴完了率・応募フォームへの遷移率を確認することが基本です。テキストコンテンツとの比較でページ滞在時間や直帰率を見ると、求職者の関与度の違いが把握しやすくなります。
採用コンテンツの設計を見直したい方は、まず自社のどのフェーズで求職者が離脱しているかを確認するところから始めてみてください。
まとめ
- 採用コンテンツは「動画」と「テキスト」に大別され、それぞれ得意・不得意が異なる
- 動画は感情共感・雰囲気伝達に強く、テキストは検索流入・詳細情報提供・後から読み返す利便性に強い
- 採用フェーズ(認知→興味→検討→応募)ごとに最適なフォーマットを割り当てることが設計の基本
- 同じテーマを動画とテキストで「並走」させる設計が、異なる視聴スタイルの求職者に対応できる実践的な方法
- 制作コストが限られる場合はテキストを先に整備し、段階的に動画を追加していくアプローチが現実的
今回ご紹介した内容が、採用コンテンツの設計を進めるうえでのお役に立てれば幸いです。