「一次面接の現場社員と、最終面接の役員で言っていることが全く違う…」
求職者からそんな本音を打ち明けられ、ヒヤリとした経験はありませんか?優秀な人材ほど、企業の「ブレ」を敏感に察知します。面接官によって会社の魅力の語り方がバラバラでは、求職者に不信感を与え、最終的な内定辞退へと繋がってしまいかねません。
多くの人事担当者が「面接官トレーニング」や「想定問答集の配布」でこの問題を解決しようとしますが、実はそれだけでは根本的な解決になりません。この記事では、採用ブランディングの一環として構築する「採用オウンドメディア」を、社内のベクトルを合わせるインナーブランディングの最強のツールとして活用し、面接官の語りを統一する具体的なノウハウをプロの視点から解説します。
なぜ面接官によって「言うことが違う」のか?堅い業界特有の構造的要因
特に技術力が高く組織が強固なBtoB企業や大手メーカーにおいて、面接官の語りがブレる原因は、単なる「個人のアナウンス力の差」ではありません。そこには、専門職や歴史ある業界ならではの構造的な原因が存在します。
1. 所属部門による「部分最適化」の壁
研究開発、製造、営業、管理など、それぞれの部門が高度に専門化している企業では、社員は「自部署の論理」で会社を見がちです。開発職の面接官は「技術的な自由度」を魅力だと語り、営業職の面接官は「泥臭い顧客志向」を語る。どちらも真実ではありますが、全体を貫く「自社らしさ(コアバリュー)」が定義されていないため、求職者の目には矛盾として映ってしまいます。
2. 現場の「当たり前」の言語化不足
優秀な技術者や現場のキーマンほど、自社の凄さや独自の強みを「当たり前の日常」として捉えており、わざわざ言葉にしません。その結果、面接の場で「うちの会社の魅力は?」と急に問われた際、それぞれがその場で思いついた断片的なエピソードを話してしまい、メッセージに一貫性がなくなります。
採用オウンドメディアを「社内の意思統一ツール」に変える編集の技術
この課題を解決するために有効なのが、採用オウンドメディアを「社内向けの教科書(インナーブランディングツール)」として機能させることです。単に求職者へ向けて発信するだけでなく、「現場社員に自社の強みを再認識させ、言葉を翻訳するプロセス」としてメディアを活用します。明日から人事担当者が実践できる、具体的な「編集の手法」を3つご紹介します。
1. 「主観のバラつき」を整える「言語の翻訳」
現場社員へのインタビューを行う際、単に「仕事のやりがいは何ですか?」と聞くだけでは、抽象的な言葉やバラバラな回答しか返ってきません。人事が「編集者」となり、会社の共通理念(コアバリュー)へ紐付ける問いの立て方をします。
- NGな問いの立て方:「うちの会社の良いところはどこですか?」
- プロの問いの立て方:「当社の理念である『技術で社会に貢献する』を、あなたの最近のプロジェクトで一番実感した瞬間はどこですか?」
このように軸を固定して取材し、記事化することで、現場社員は「自分の仕事は会社のここに繋がっているんだ」と理解し、面接でも共通の文脈で語れるようになります。
2. 社員がそのまま面接で使える「リライト Before / After」
オウンドメディアの記事は、面接官にとっての「カンペ(虎の巻)」でなければなりません。専門用語や抽象論で終始した現場の言葉を、求職者の心に刺さり、かつ誰でも再現できる言葉へリライトします。
| Before(現場社員の生の声 / 抽象的) | After(記事化・翻訳後 / 面接で語るべき共通言語) |
|---|---|
| 「うちは他社に比べて、若手にも結構いろんな仕事を任せる風土があると思いますね」 | 「当社の『若手への裁量権』の本質は、放置ではなく、年次に関係なく『筋の良い提案には予算とチームをつけ、打席に立たせる』仕組みにあります」 |
| 「やっぱりBtoBだから地味だけど、社会のインフラを支えてるやりがいがあります」 | 「私たちが作っているのは部品ですが、それがなければ世界シェアNo.1のスマートフォンが作れない。つまり『世界の進化の起点にいる』のが当社の誇りです」 |
3. 記事URLを「面接官アサイン通知」に添える仕組み化
記事を作成したら、それを面接官に読ませる仕組みを作ります。面接への協力を現場社員に依頼する際、ただ「お願いします」と通知するのではなく、以下のようにメディアの記事を共有します。
「今回の求職者は、当社の『開発スピード』に関心を持っています。先日公開した〇〇さんのインタビュー記事(URL)の3章にある『泥臭い試作の繰り返し』のトーンが、まさに当社のリアルな魅力です。面接では、この記事の文脈をベースに、〇〇さんの言葉でエピソードをお話しいただけますと幸いです」
これだけで、面接官は「何を、どのトーンで話せばいいのか」を事前に理解でき、社内の意思統一が驚くほどスムーズに図れます。
まとめ:採用広報の力で、強い組織のDNAを呼び覚ます
採用オウンドメディアの構築は、外向けの発信(採用ブランディング)であると同時に、社内の言葉を一つにするインナーブランディングそのものです。ストーリーを通じて自社の輪郭を繰り返し発信していくことで、面接官ごとのブレはなくなり、全社が一丸となって「自社らしさ」を語れる強い組織へと変貌していきます。
しかし、「現場社員の本音を引き出す深い取材」や、「会社の理念を求職者向けに翻訳する一貫した編集方針の設計」を、通常業務を抱える人事担当者様だけでやり切るには、非常に多くの労力とノウハウが必要です。
株式会社アワードでは、大手・BtoB企業をはじめとする数々の採用ブランディングやオウンドメディア制作を手がけてまいりました。単なる綺麗な言葉づくりではなく、組織の「現場の事実」を泥臭くすくい上げ、求職者に刺さるコンテンツを制作します。
▶ 株式会社アワードの制作事例作成案内:https://www.awordinc.com/jirei/